【放送日】
2006年12月23日(土曜日)22:00-22:50
原作:芥川龍之介
脚色:カイ・グレーン
音楽:カイウベー・コールシュミット
演出:小林武 カイ・グレーン
技術:大塚豊
音響効果:片平洋資

出演:小原雅人 木下浩之 入江純 ウルリッヒ・ヌーテン
メリイ・エンドウ 井上倫宏
あらすじ:芥川龍之介が自殺を図る直前に書いた『或阿呆の一生』を、ドイツのラジオ放送局Northen German Broadcasting Corporation(NDR)がラジオドラマとして制作することになった。ドイツの放送局が作った『或阿呆の一生』をもとに、日本語版を作り、制作者のインタビューなども交えながら『FMシアター』で紹介する。
ドイツ側が作成した効果音をフルに使用し、一部ドイツ語のセリフを日本語に吹き替えて放送します。
一体、現代のドイツ人が、どのような興味や視点で、80年近くも前に書かれた芥川作品『或阿呆の一生』を描くのか。そこには、彼らの<日本人観>や、日本人も気付かない作品が持つ<人類普遍の価値観>等が込められるだろう。
現場からひとこと〜演出:小林武:
芥川龍之介が自殺を図る直前に書いた『或阿呆の一生』を、ドイツの北ドイツ放送協会がドイツ語をベースに一部日本語を使った55分のラジオドラマとして、今年12月6日ドイツ国内で放送しました。
『或阿呆の一生』は、芥川龍之介が一生を振り返り、その心象情景として心に浮かぶものを51節にわたって詩的に綴ったものです。芥川が自殺する直前に書かれ、その内容は絶望感と行き詰まり感に満ちています。
ドイツ向けの放送では、自伝的作品である「或阿呆の一生」を脚色し、<芥川自身>と、彼の分身であり心の内側を表す<芥川の影>に分けて、二人の俳優で朗読しています。<芥川自身>をドイツ人俳優がドイツ語で、<芥川の影>は日本人俳優が日本語で演じています。また女性もドイツ語と日本語の橋渡し役として出てきます。効果音はドイツ人のディレクターが今年6月来日し、鎌倉の禅寺や築地の魚市場など日本各地で実際に録音したものが使われています。
今回、日本国内で放送するために、ドイツ人スタッフが作った作品のドイツ語の大部分を日本語に吹き替えました。ドイツ版総ての放送では有りません。ただし、ドイツ側の脚色の意図を汲んで、音楽や効果音、そして一部ドイツ語はそのまま生かしてあります。
一体、現代のドイツ人が、どのような視点で、80年近くも前に書かれた『或阿呆の一生』を描いたのでしょうか。
是非お楽しみ下さい。 |