雲上雲下(全9回)
物語こそが、答えのない問いを語り継ぎ、雲上と雲下を繋ぐものだ
【ラジオ第1】
2020年1月5日~3月1日 毎週日曜 午後7時20分~午後7時50分
※配信は、放送の翌月曜日の正午~翌々月曜日の正午まで
【出演者】
西田敏行 竹下景子
【原作】
朝井まかて
【脚色】
石谷洋子
【音楽】
小六禮次郎
【スタッフ】
演出:小見山佳典
技術:浜川健治 岩佐美波
音響効果:石川恭男
【あらすじ】
「龍に乗る少年」など誰もが知っているお話だが、今までのお話とは微妙に違う。西田敏行と竹下景子という当代一の語り部が織りなす物語の世界をどうぞお楽しみください。
私は身の丈二丈の草である。切り立った崖の上にいる。いつからそこに根を張っているのか分からない。眼下にはのどかな山里が見え、背後には祠がある。その先は深い森だ。私はうつらうつらと時をすごしていたが、ある日、子狐が祠から飛び出てくる。子狐は私に怯えることもなく、「草どん」となつき、物語をせがむ。私の口から驚いたことに昔話がスラスラと出てきた。ある日、私の前に少年が迷い出てきた。私はこの少年を知っていた。少年は私に、西南のかなたの湖への道を尋ねる。母を探しに行く旅を続けているのだ。名は小太郎という。子狐は崖を下る案内をかって出て、小太郎と一緒に降りていった。夜になって、帰ってきた子狐は、私になぜ小太郎を知っているのか問うた…。
私たちは何を信じて生きていくのかという“答えのない問い”に対し、人は物語なしには生きていけない、という<物語の力>を改めて感じさせてくれる極めて現代的なおとぎ話。