この記事は、明日をまもるナビ「台風上陸に備えよう!知っておくべき対策」(2022年8月28日 NHK総合テレビ放送)の内容をもとに制作しています。
検証 2019年台風19号の記録的な大雨
2019年10月、強い勢力を保ったまま関東甲信越から東北地方を襲った台風19号。
24時間降水量は、100か所以上の地点で観測史上1位を更新。まさに記録的な大雨となりました。
東京23区では初めて大雨特別警報が出され、各鉄道会社は計画運休を実施。
大雨は広い範囲に及び、東日本の各地で次々と河川が氾濫し、堤防の決壊は140か所以上にのぼりました。
長野県の千曲川では、70メートルにわたって堤防が決壊。およそ2000人が暮らす長沼(ながぬま)地区は、ほぼ全域が浸水しました。
濁流による浸水域が広範囲にわたったことから、自宅で被害に遭った高齢者や自動車での移動中に被災した人が多くいたといいます。
さらに、山間部や河川の中流域を中心に952か所で土砂災害が発生。多くの家が損壊や流失などの被害を受けました。
この台風による記録的な大雨は、犠牲者100人以上、3万棟以上の家屋が全半壊という甚大な被害をもたらしました。
大雨への対策はハザードマップと分散避難
台風の大雨への備えは、水害への備えと基本的に同じで「早めの避難」が大事です。
避難を考える上では、ハザードマップで自宅がどういう状況にあるのかを事前に確認しておくことがとても重要になります。
以下の3つの点をご確認ください。
①自分の家が浸水域になっているか?
ハザードマップを確認する上で注意すべきことがあります。
どのくらいの浸水が想定されているのか?ハザードマップでは、色で浸水の深さを示しています。数字だけだとイメージしづらいので、この図を参照してください。
2メートルは1階の軒下まで浸かる深さ。マンションやアパートの1階も危なくなります。3メートル以上になると、2階も浸水する可能性があり、雨の予報によっては事前の避難等が必要になってきます。
川の近くや、流れが速くなりそうな斜面の近くに住んでいる場合は、浸水が浅くても危険な場合があるので、早めの対応を取ることが必要になります。
②土砂災害の危険区域になっているか?
大雨のときは浸水だけでなく、土砂災害にも警戒してください。
土砂災害のハザードマップで、黄色や赤色が付いているのが土砂災害の警戒区域や特別警戒区域で、注意を促している地域です。崖や扇状地のそばにお住まいの方はぜひ確認してください。
また土砂災害は、事前に危ないと判定されて「いない」ところでも起こる例が非常に多くなっています。ハザードマップは、色の付いていないところの人たちに安心を与える材料ではありません。地域の避難情報をしっかり聞いて、早めの避難を検討しましょう。
③最寄りの避難所はどこか?
いざというときの最寄りの避難所や避難ルートを検討しましょう。
また、避難所に行くことだけではなく、自分にとって安心できる避難のあり方をそれぞれ考える必要があります。
その時に重要になってくるのが、近年注目されている「分散避難」です。
大都市では、避難所だけではすべての住民を受け入れるスペースがなかったり、プライバシーが限られたりします。慣れない場所は心も体も疲れてしまうため、避難先を分散させた方がいいという考え方です。
なるべく事前に、実家や知人宅、台風の進路にないホテルや旅館なども選択肢にいれて考えてみましょう。
長距離の移動が困難な方など、どうしても避難所を利用せざるを得ない方々がいるため、ゆとりのある人たちが他へ行くことが、個々の避難所の環境を良くすることにもつながります。
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