この記事は、明日をまもるナビ「教えて!斉田さん どうなる?この夏の天気」(2022年6月19日 NHK総合テレビ放送)の内容をもとに制作しています。
これだけは知っておきたい、この夏の天気を左右する気象の用語
▼「ラニーニャ現象」の影響でこの夏の日本は猛暑に!
▼「線状降水帯」の予報が今年6月からスタート。情報に気をつけるきっかけに
▼昨年から始まった「熱中症警戒アラート」は、気温だけなく湿度も重要視
どうなる?この夏の天気
今年も世界中で異常気象による災害が相次いでいます。5月、パキスタンでは強烈な熱波で氷河が溶け、洪水が発生。ブラジルでは1週間にわたる大雨で、洪水や大規模な土砂災害が発生し、犠牲者は100人を超えました。

日本でも、沖縄では5月の雨量が平年の3倍を記録し、道路の冠水、車の水没など被害が相次ぎました。
群馬県高崎市では5月に35℃を超える猛暑日を記録。6月の東京や埼玉では大粒のひょうが降り注ぎ、窓ガラスが割れたり、けが人が出たりするなど被害が続出しました。

今年の夏の日本の天気はどうなるのでしょう。
5月に気象庁から発表された最新の3か月予報をもとに、「NHKニュースウオッチ9」の気象キャスターを務める気象予報士の斉田季実治さんが解説します。

斉田さんによると「いつもの年とはちょっと違う夏になりそう」とのこと。
●斉田さん解説!ことしの夏の予想

6月から8月にかけての降水量は全国的に平年並みの予想です。
一方、例年では梅雨の終わりの頃に起こりやすい大雨が、梅雨前線が早めに北上するため、すぐに大雨になりそうなので備える必要があります。
梅雨が早く明けると、それだけ早く暑い夏がやってきます。
気温は7月からすぐに暑くなりそうです。西日本は平年並みか高く、東日本、北日本は平年よりも高い予想となっています。
梅雨が早く明けて短くなりますが、短い梅雨の期間にある程度雨量が多くなりそうです。
「大雨の備えも暑さの備えも早めにしておいた方がいいでしょう」(斉田さん)
日本にも影響及ぼす南米の「ラニーニャ現象」とは?
平年より暑くなるというこの夏の日本の天気に大きな影響を与えているのが「ラニーニャ現象」。南米ペルー沖の太平洋の海面水温が平年より低い状態が続いている現象です。
この「ラニーニャ現象」によって、日本は猛暑になりやすくなります。
ラニーニャ現象について、気象庁は、「今年夏前半までは続く可能性が高く、状況によっては秋まで続くかもしれない」と発表しています。
遠く離れた南半球の海面水温がどのように日本の天候に影響しているのか、そのメカニズムです。
●ラニーニャ現象のメカニズム
①南米沖の太平洋の海域で、海面水温が平年より低くなります。
②赤道付近で東からの風=貿易風が強まります。
③太平洋の西方インドネシア近海の海上に、暖かい海水が集まり、海水温が高くなります。
④海水温が高いと積乱雲の発生が多くなり、上昇気流が生まれます。
⑤上昇した空気が北側の日本の近海に降りてきて、太平洋高気圧を強めることになります。
太平洋高気圧が強まることによって、日本は猛暑になりやすくなります。
ラニーニャ現象と対比してよく聞くのが「エルニーニョ現象」です。これはペルー沖の海水温がいつもより高い状態のことで、日本では、夏は気温が低い冷夏になりやすくなります。
【参考】
梅雨時期は早く夏は高温傾向 “ラニーニャ現象”継続か 気象庁(NHK NEWS WEB)
2022年5月12日
ラニーニャ現象は日本以外にも影響を及ぼします。
今年5月のブラジルでの1週間にわたる大雨の災害もラニーニャ現象が原因ともされています。
予測が始まった「線状降水帯」
近年、集中豪雨を引き起こす原因として重要視されているのが「線状降水帯」です。
気象庁は今年6月からこの線状降水帯の予測を開始しました。発生するおそれのある場合、半日から6時間前までに予測を発表することにしています。
●線状降水帯のメカニズム
●予測を可能にした気象庁の取り組み
●最近の被害の例
など、詳しい解説記事はこちら→
熱中症を防ぐには?
猛暑が予想されるこの夏も注意したいのが熱中症です。
この数年、年間1200人を超える方が亡くなっており、「猛暑は災害」だと思って備える必要があります。
夏を前にした今だからこそ、改めてこの熱中症の正しい知識を身に付けましょう。
●熱中症の症状とは?
●特に注意が必要な高齢者の対策は?
●熱中症になったらどうする?効果的な体の冷やし方
●熱中症予防のポイント!暑さよけ&「経口補水液」の作り方
など、詳しい解説記事はこちら→