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温暖化なのになぜ大雪?どう備える?

寒気が流れ込みやすく、雪の量が多くなると予想されている、この冬。短時間で集中的に降る“ドカ雪”への注意が必要です。温暖化でなぜ大雪が起こるのか?変化する気候にどう対処すればよいのか?私たちができる「大雪への備え」を考えていきましょう。

この記事は、明日をまもるナビ「温暖化でリスク増大!大雪にどう備える?」(2021年12月5日 NHK総合テレビ放送)の内容をもとに制作しています。

これだけは知っておきたい、大雪への備えと心構え
▼地球温暖化の影響で、一度に大量の雪が降る「ドカ雪」が増えてきている。
▼雪道の渋滞では「スタック」しないよう、急にアクセルをふかすのは禁物。
▼マフラーが雪に埋まると一酸化炭素中毒に。こまめに周辺を除雪する。


この冬は大雪の予報!その傾向と対策は?

近年、頻発する雪の災害といえば “立往生”。今年(2021年)1月、北陸自動車道では1500台以上の車が立往生する事態となりました。中には三日三晩、車の中で耐えた人もいました。

2021年1月北陸自動車道で1500台が立往生

2018年には、首都高速道路でも山手トンネルなどで大規模な立往生が発生。総延長の7割以上にあたる230キロにわたって通行止めとなり、完全復旧には97時間を要しました。

近年どこで大雪による立往生が起こっているのか。新潟大学 災害・復興科学研究所教授の河島克久さんがまとめた分布図によると、関東地方だけでなく四国や九州といった温暖な地域でも発生しています。

全国に広がる雪による立往生
全国に広がる雪による立往生

●この冬は「大雪」の心配

2021年もまた大雪が心配されています。そこで、NHKニュースでおなじみの気象予報士・斉田季実治さんにこの先の最新の冬の3か月予報を聞いてみました。

「まず12月から2月の平均気温は、西日本と沖縄・奄美で平年よりも低く、東日本で平年並みか低い予想となっています。2021年は西回りで寒気が流れ込むのが冬の特徴になりそうです。
このことが雪の予想にも現れて、西日本の日本海側で平年よりも多く、東日本の日本海側も平年並みか多い予想となっています。特に12月から1月、年末年始の移動の多い時期に大雪になる可能性もありますので、十分にご注意ください」(斉田さん)

2021〜22年、冬の3か月予報
2021〜22年、冬の3か月予報

●大雪は「ラニーニャ現象」が原因

斉田さんは年末年始の大雪を「ラニーニャ現象」が原因だと説明しています。2018年に大雪が降った時も、このラニーニャ現象が発生していました。

気象予報士・斉田季実治さん
気象予報士・斉田季実治さん

「ラニーニャ現象」とは、南米のペルー沖、赤道付近の海面水温が低くなる現象です。発生すると東からの風が通常よりも強まり、温かい海水が太平洋西部にたまりやすくなります。そこで積乱雲が次々に発生し、ユーラシア大陸上空の偏西風の通り道が北に上がり、その反動で日本付近では南下。シベリアなど大陸からの寒気が日本上空に西回りで入ってくることになり、西の方ほど平年より寒くて、雪が多くなる可能性があるのです。

ラニーニャ現象の影響で偏西風の通り道が変わる
ラニーニャ現象の影響で偏西風の通り道が変わる

●「ドカ雪」が増えている!

近年は地球温暖化の影響で、一晩で1メートルぐらい積もるような「ドカ雪」が増えてきていると言われています。

積雪地域の複数の観測点でのひと冬での降雪量を足したグラフでは、ひと冬で降る雪の量は、昭和に比べて平成は少なくなっていることがわかります。

一方、1日の降雪量の平均値をあらわした折れ線グラフを見ると、一気に降る雪が頻繁に来て、1日あたりの降雪量は大きくなっているのです。

年平均累計降雪量は減っているが、日平均降雪量は増えている
年平均累計降雪量は減っているが、日平均降雪量は増えている

●便利な「今後の雪」情報

今年(2021年)11月から、気象庁のホームページで「今後の雪」という便利な情報が始まりました。
6時間後までの雪の予想や、降雪量と積雪の深さが地図上に表示され、誰でも簡単に見られるようになっています。
雪が強まっているところを拡大表示したり、道路や鉄道など地図の情報と重ねて見たりすることができるため、目的地までのコースの変更や交通障害への備えなどにも役立ちます。

気象庁「今後の雪」の画面
気象庁「今後の雪」の画面

【参考】
気象庁「今後の雪
※NHKサイトを離れます


“立往生”の原因は「ドカ雪」

なぜ毎年各地で立往生は起こってしまうのか。大規模な立往生の事例を見ていきます。

2021年1月、北陸地方を襲った記録的な大雪。福井県の北陸自動車道では、上下線合わせて4か所、1500台以上が立往生しました。

北陸道の立往生区間(赤線)
北陸道の立往生区間(赤線)

巻き込まれたトラックドライバーの山本英樹さんによると、1月9日の夕方、高速道路に入るときには、渋滞や通行止めなどの情報はまったくなかったといいます。電光掲示板は、「タイヤチェーンの規制」が2か所のみでした。
しかし、山本さんはその後、立往生に巻き込まれ、何の情報も得られないまま、不安な時間を過ごしました。

運転席から撮影した立往生の様子
運転席から撮影した立往生の様子

自衛隊の救助が始まったのは翌日の10日。高速から脱出できた車は平行する国道8号線へ。ところが、そこでも再び大渋滞が発生。
ふだんなら、高速を降りてから山本さんの会社までは20分ほど。しかし、このときは実に16時間もかかり、もう一晩車内で過ごすことになってしまいました。

なぜ、雪に慣れているはずの北陸地方で立往生が起きたのか。実は近年、雪の降り方が短時間で大量の雪が降る「ドカ雪」に変わっているためです。
1月9日、福井市ではたった1日で54センチの雪が降り、平年の10倍を超えました。
北陸道を管轄する中日本高速道路では、この日、通常の7倍近い人数で対策にあたりました。しかし、除雪や交通誘導に追われ、情報の把握や周知が遅れてしまったことも、立往生を拡大させた要因となったのです。

重機による懸命な除雪作業
重機による懸命な除雪作業

●「スタック」で車が動かなくなる

冬用タイヤを履いていても安心とは限りません。アクセルを踏んでも前に進めない「スタック」という状態になることがあります。

大雪時には地吹雪などで視界不良になり、しだいに車の速度が落ちてきます。そのときに、タイヤからの熱や車の重みで、圧雪の中にタイヤが沈み込んでしまい、そこにくぼみができてしまいます。いざ発進しようとして急にアクセルをふかすと、タイヤが空転して、くぼみがもっと大きくなり、ついには車両が登れなくなる深い溝ができてしまうのです。

雪に沈み込む タイヤからの熱 車の重み

タイヤが空転 くぼみが大きくなる

後続車のタイヤが空転しどんどんくぼみが大きくなる

●対応策は?

行政や高速道路会社でも、近年の被害を受けて対策を練っています。
いったん立往生が発生すると、除雪車が入れず、被害が長期化してしまうため、早めに通行止めにする「予防的通行止め」を行い、車がいない状態で一気に除雪するよう考えています。

また中日本高速道路では大雪の気象予測が発表された場合
3日前から▼不要不急の外出自粛や▼広域う回の呼び掛け、
1日前には▼通行止めの区間、日時、う回経路などの情報提供を行うことに。
テレビやWebサイト、SNSなどでも繰り返し発信していくことになっています。

大雪の気象予測が発表された場合の情報提供
大雪の気象予測が発表された場合の情報提供

車に備えておきたい大雪対策グッズ

どうしても車で外出しなければならない場合、車に積んでおくとよいモノを紹介します。

  • 防寒のためのカイロ
  • ペットボトルの水
  • 軍手(作業用の手袋)
  • 懐中電灯
  • 携帯用トイレ
  • ようかん:糖分が多くエネルギーが取りやすい上に、水分も適度に含まれている
  • スコップ:立往生したときの雪かきに必需品
水・懐中電灯・軍手・携帯トイレ・ようかん
水・懐中電灯・軍手・携帯トイレ・ようかん
毛布・カイロ
毛布・カイロ
スコップも必需品
スコップも必需品

マフラーが雪に埋まってしまうと、排気ガスが車の下にたまり、あっという間に車内に入って、一酸化炭素中毒を及ぼします。一酸化炭素は色もにおいもないため、気づかずに吸ってしまい、命を落とす人が少なくありません。寒さのため、やむをえずエンジンをかける場合は、こまめにマフラー周辺を除雪することが必要です。

マフラーの周りの雪を取り除く
マフラーの周りの雪を取り除く

【参考】明日をまもるナビ「車中泊避難を快適にするには?災害時の車の使い方(2)」
冬場は「低体温症」と「一酸化炭素中毒」に注意!


突然のドカ雪にどう備えるか?

これまであまり雪が積もらなかった地域でも、短時間で集中的に降る“ドカ雪”が増えています。
2014年2月。記録的な大雪に見舞われた山梨県甲府市。明治の統計開始以来、それまで最も積もったのは49 センチ。しかしこの日は114センチ。実に2倍を超える大雪でした。

記録的な大雪に襲われた山梨県甲府市
記録的な大雪に襲われた山梨県甲府市

県内の主要幹線道路は除雪が間に合わず、ほとんどが通行不能に。事実上、山梨県は孤立状態に陥りました。

ドカ雪で県内の道路網が寸断、通行不能に
ドカ雪で県内の道路網が寸断、通行不能に

物流が途絶えたため、市場は空っぽに。スーパーやコンビニの商品も品薄の状態。農業用ハウスも積雪に耐えきれず、県内の農家に大打撃となりました。道路では、緊急車両の移動もままならず、住民の命も危険にさらされました。

雪に押しつぶされた農業用ハウス
雪に押しつぶされた農業用ハウス

県西部の早川町では、およそ660世帯1200人が1週間以上孤立するなど、山間部を中心に多くの集落が行き来できない状態に陥ったのです。

●大雪の停電に備える

大雪による孤立でとりわけ深刻なのは「停電」です。
電気がなくても暖を取れる、冬場の停電に便利な装備を紹介します。

▼ガスボンベを入れて使うヒーター。1本で3時間から4時間もちます。
ガスボンベで使えるヒータ—
ガスボンベで使えるヒータ—
▼ガスボンベで使える発電機
ガスボンベを熱源として発電
ガスボンベを熱源として発電

大雪による停電への備えには、台風などに備える備蓄品が参考になります。

【参考】明日をまもるナビ「備蓄品」関連記事
家庭でいますぐ準備したい10の備蓄品
明日ナビmini 停電時に役立つ4つのアイテム


雪国でなくても大雪に注意

●危険な「レイン・オン・スノー」

温暖化で雪の降り方が変わっている中で、もう一つ注意しなければならないことがあります。それは「レイン・オン・スノー」という現象です。

その恐ろしさがあらわれた例が、2014年2月に関東地方を襲った大雪でした。この時、カーポートやベランダ屋根の倒壊・崩落が相次ぎ、死者は関東甲信越で4人にのぼりました。

住宅のカーポートが積雪で崩落
住宅のカーポートが積雪で崩落

原因は、雪の上に雨が降る「レイン・オン・スノー」。
このとき、東京では27センチの積雪でしたが、途中から雪が雨に変化。積もった雪に大量の水分が加わり、屋根にかかる重さは大幅に増加。車1台のカーポートで450キロを超えていたとみられています。

さらに衝撃的だったのが、埼玉県・富士見市の体育館。金属製の巨大な屋根が、突然、崩落したのです。この体育館は県が定める建築基準を満たしていました。しかし、「レイン・オン・スノー」により、想定をはるかに超える重量となってしまったのです。

雪の重みで崩落した富士見市の体育館の屋根
雪の重みで崩落した富士見市の体育館の屋根

住宅でも大雪の後の雨によって、屋根の上の雪が一気に落ちて、人に直撃したり雪に埋もれたりしてしまう事故が起き、死者も複数出ています。

このように、雪国でなくても今までなかったような大雪や災害が起こることを心がけておく必要があります。そのための心構えを河島さんはこう語っています。

「防災・気象情報、道路情報をよくチェックして、どう行動していったらいいのかという判断を適切にそのつどやっていくことが、災害の防止にとって非常に重要だと思います」(河島さん)

新潟大学 災害・復興科学研究所教授の河島克久さん
新潟大学 災害・復興科学研究所教授の河島克久さん

●雪に慣れていない人のための「正しい歩き方」

雪に慣れていない地域では、歩行中に足を滑らせて転倒し、思わぬけがにつながることがあります。雪道での正しい歩き方とは?

  1. 歩幅を小さく、重心を低くして歩く
  2. 足の裏をしっかりと雪面に付け、接地面を増やして歩く
  3. ヒールや革靴は危険。底の柔らかい、面積の広い靴(例えばゴム長靴)で歩く

足の裏全体をつけて歩く

【参考】NHK「災害列島」命を守る情報サイト
大雪に備える 注意したいポイントは?