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避難の極意(水害編)

今年も各地で起きている大雨による災害。「うちは大丈夫」「ここなら安全なはず」との油断が思ってもいなかった被害を招きかねません。一方で水害はある程度事前に予測ができる災害です。初めて身近に迫る災害からどう身を守ったらよいのか。これまで番組で取り上げた水害時の「避難」に関する情報を再構成してご紹介します。


ハザードマップの活用法

この項目は、明日をまもるナビ「住んでいる場所の災害リスク」(2021年4月4日 NHK総合テレビ放送)の内容をもとに制作しています。

ハザードマップとは、地震、洪水、土砂災害など、過去の災害データや地理情報をもとに、それぞれの地域で起こる災害を予測し、被害範囲を地図にしたもの。役所や役場で入手できるほか、各自治体のホームページでも確認することができます。

東京都渋谷区の浸水予想ハザードマップ
東京都渋谷区の浸水予想ハザードマップ

ハザードマップを見るポイント

①避難場所や避難経路を確認する
ハザードマップには避難すべき方向や、避難場所、救急指定病院なども書かれています。自宅からの避難経路に危険がないかもチェックしておきましょう。

②よく使う場所なども確認する
自分が住んでいる家だけでなく、よく買い物に行く場所や子どもの学校や通学路、親戚の家、会社などの危険性も確認しておきましょう。また、危険箇所を示す地図上の色は自治体によって「赤」や「緑」など、異なります。

③災害ごとにハザードマップがある
「洪水」「土砂災害」「津波」「火山噴火」など、災害ごとにハザードマップがあります。地域の災害リスクをひと通り確認しておくことが重要です。

④紙で持っておく
ハザードマップはパソコンやスマートフォンで見ることができますが、停電やアクセス集中で見られなくなる場合があります。あらかじめプリントアウトしておきましょう。

国土交通省が日本全国のハザードマップを網羅したポータルサイトがあります。
重ねるハザードマップ
※NHKサイトを離れます


3つの「避難スイッチ」で命を守るー最新版「避難情報」の見方

この項目は、明日をまもるナビ「水害からの避難の極意」(2021年5月30日 NHK総合テレビ放送)の内容をもとに制作しています。

2018年の西日本豪雨の被災者に「避難に関して困ったこと」を聞いた結果、最も多かった回答は「避難をいつ行ったらいいか判断できなかった」でした。そこで、京都大学防災研究所教授の矢守克也さんが提唱するのが、避難を実際の行動に移すきっかけになる「避難スイッチ」です。

避難スイッチ

避難スイッチ ①情報

今年(2021年)5月20日から「避難情報」が変更になりました。気象庁が発表する警報・注意報に基づいて、自治体が避難情報を発表します。お年寄りや体の不自由な方は警戒レベル3が避難。レベル4までに、危険な場所から全員避難です。

避難情報

「緊急安全確保」は、5段階の大雨警戒レベルの中で最も高く、レベル4の「避難指示」より、さらに上の情報です。出された時には、すでに災害が発生しているか、発生している可能性が高く、避難場所への移動は手遅れになっているおそれがあります。大事なことは、「レベル5を待たずに レベル4までに避難を終えること」です。

▼周囲の状況を確認し、避難場所までの移動が危険な場合には、近くの頑丈な建物に移動する。
▼外に出るのがすでに危険な場合は、建物の2階以上や崖の反対側など、少しでも安全な場所で命が助かるような行動を取る。

避難スイッチ ②身近な異変

「情報はあくまでも目安。参考の基準と考えてほしい」
「何かふだんと違うことを身近な異変として見つけてほしい」(矢守さん)

避難スイッチ ③人からの呼びかけ

「お隣の人から『雨がすごくて聞いたことがない音がするね』とか、SNSで『あなたの住んでいるところにこんな情報が出ているけど大丈夫?』などの連絡があると、人は避難のスイッチが入ります」(矢守さん)

避難に大切なのは「素振り」

避難スイッチを確認しておくことは大切です。一方で、避難には「空振り」の問題があります。

「避難したが結果的に大きな災害は起きず、『これなら避難しなくてもよかった』と、損した気分になることを『空振り』と呼びます。でも、これは『素振り』と呼ぶべき。逃げたけど何も起こらなかったのは、本当に逃げなくてはいけないときのためのいい練習になった、むしろ得をしたと考えます」
「災害からの避難は、100回目に来るかもしれない被害のために、99回『素振り』するくらいの気持ちで毎回避難することが大事です」(矢守さん)

【参考】
避難情報の変更と大雨警戒レベル


車での避難は要注意

この項目は、明日をまもるナビ「水害からの避難」(2021年4月11日 NHK総合テレビ放送)の内容をもとに制作しています。

一般的に車で避難することは原則禁止と言われています。一斉に避難すると大渋滞を引き起こし、動けない状態では水害の危険が増すためです。しかし、車で移動しないと不便な地域の人たちや、家族に足腰の悪い高齢者がいると車を使わざるをえません。そこで、車で避難するときの3つの心構えを東京大学大学院特任教授の片田敏孝さんが勧めています。

車での避難の心構え

①ふだんから避難先をいくつか決めておく。水につからない安全な場所であることを確認しておく。

②ハザードマップを見て、道が水につかる危ない状況ならそのルートを避ける。抜け道も複数決めておくこと。浸水の情報はカーナビには出てこない。

③なによりもいちばん大事なのは、早めに出発すること!


密を防ぐ避難の基本は「分散避難」

この項目は、明日をまもるナビ「新しい避難生活」(2021年6月20日 NHK総合テレビ放送)の内容をもとに制作しています。

新型コロナなどの感染症対策として有効な避難所のソーシャルディスタンス。しかしテントやベッドの導入で問題になるのはスペースの確保です。密を避ければ避難所の収容人数が減ってしまいます。避難所に行っても入れないという事態を避けるには、災害の種類にもよりますが、「分散避難」が必要となることもあります。

災害によって違う 避難生活
災害によって違う 避難生活

①自宅が安全な場合→在宅避難

自宅が浸水域ではない場合、耐震性があって倒壊の恐れがない場合などは、住み慣れた自宅で「在宅避難」しましょう。

②自宅が危険な場合→親族宅やホテルに避難

自宅が危険な場合、例えば、高台にある安全な親族宅、あるいはホテルへの避難を検討。自治体が避難所として指定しているホテルもあります。

③車中泊

プライバシーを保ちやすく、エアコンやラジオなども利用できる利点があります。しかし、狭い車内で身体を長時間動かせない場合には、「エコノミークラス症候群」に注意しましょう。

【参考】
マイ避難先と車中泊の極意「ばすだし」


避難所に求められる感染症対策

この項目は、明日をまもるナビ「新しい避難生活」(2021年6月20日 NHK総合テレビ放送)の内容をもとに制作しています。

災害によって違う避難のタイミング

避難所は人を集める場所です。新型コロナウイルスだけでなく、ノロウイルスなどさまざまな感染症の対策が求められます。避難所設置者もさまざまな対策を講じていますが、避難する皆さんの協力が不可欠です。ふだん皆さんが気をつけていることを避難所でも続けましょう。

①体温計で体調をチェック

避難所に入るときは体温計などで体調をチェック。体調に不安があれば、避難所の運営者に申し出ましょう。避難所が学校であれば別の教室など、ほかの人と離れた場所に移る必要があります。

②避難者同士の間隔を2メートル以上保つ

間仕切りなどを活用し、避難者同士の間隔を2メートル以上保って密を避けましょう。炊き出しなど、人が集中しやすい場所では密集を避ける行動を心掛けましょう。

③手洗い、うがい、そして消毒を欠かさずに

「あらゆる感染症の対策として基本になるのが手洗い、うがい、そして消毒です。避難所に行ってもそれを一人ひとりが続けていくことが大事です」(慶應義塾大学准教授 大木聖子さん)

【参考】
新型コロナウイルスと災害避難 どうすれば?

熱中症のリスクを避けよう

被災した上に、避難生活が長引くと疲労がたまり、体調不良や栄養不足、夏場は熱中症リスクが高まります。

①こまめに水分補給
避難所などではトイレの混雑や汚れを避けるためにトイレを我慢しようと、水分を控える人が増えます。熱中症のリスクがあるので、こまめに水分補給をしましょう。

②いつも以上に体調管理に気をつける
コロナ対策としてマスクを着用する機会が多くなります。暑い場所などではいつも以上に熱中症の危険を高めるので気をつけましょう。

高齢者の口腔ケアも大切

「口腔ケア」とは歯を磨いたり、口をゆすいだりすること。口腔ケア不足によって、口の中で細菌が増えていって、誤えんで肺の中に細菌が入ってしまい、肺炎を起こし死に至る場合もあります。歯ブラシなどがない場合の対策として、普通のガーゼを指に巻いて歯を拭く方法が有効です。これだけで十分な予防となります。ガムを噛んだり、水やお茶でうがいをしても対策になります。


水害時に役立つ防災グッズ

「明日をまもるナビ」サイトでご紹介した記事を参考にしてください。

必須!防災グッズをチェック(1)家庭の災害備蓄品リスト 10の必需品
必須!防災グッズをチェック(3)災害時の車中泊を快適に過ごすためのグッズ3つ
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