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災害発生時、ペットをどうする? 犬、猫の飼い主が知っておくべき準備と対策

東日本大震災などで被災した飼い主と専門家の声から、ペットの命を守るために必要な準備と対策をご紹介。

災害に備えて飼い主は何を準備し、いざ災害が起こったとき、どのように行動するべきなのでしょうか? 東日本大震災などで被災した飼い主と専門家の声から、ペットの命を守るために必要な準備と対策をご紹介します。

※この原稿を作成するにあたり、2020年5月31日に放送した「明日へ つなげよう 証言記録 東日本大震災『ペットの命を守るために~動物救護チームの闘い~』」と環境省による「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」などを参考にしています。

【ペット災害対策のポイント】

  • 飼い主の安全を確保して、原則的にはペットと同行避難
  • 災害への備えは「しつけ・健康管理・備蓄」
  • 避難時の車中泊はエコノミー症候群に注意!
  • ふだん以上にペットの体調に気配りを
  • 避難所では飼い主同士の助け合いが不可欠

飼い主の安全を確保して、原則的にはペットと同行避難

東日本大震災では、飼い主とはぐれた多くのペットが放浪状態になったり、命を落としてしまったりしたことから、2013年に環境省は「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を作成。2018年には「人とペットの災害対策ガイドライン」へ変更・改訂し、避難する際の基本行動について説明しています。このガイドラインでは、ペットと飼い主は「同行避難」が原則です。

環境省「人とペットの災害対策ガイドライン(PDF)※NHKサイトを離れます

災害時は、飼い主の安全をまずは確保し、安全が確認できたら原則的にはペットと「同行避難」をします。
環境省が発行するペットの防災対策ガイドブックでは、避難の際に犬にはリードをつけ、道にガラスなどの危険なものがないか確認しながら歩くこと。小型犬や猫はキャリーバッグに入れ、ドアが開かないようガムテープなどで固定することや、安心させるために毛布などでくるんで暗くすることなどを推奨しています。

番組でも触れていますが、2011年の東日本大震発生当時、避難指示区域で飼われていた犬と猫はおよそ1万6500匹。そのうち、飼い主とともに同行避難したのはわずか1670匹でした。

当時、被災した渡辺登さんは、町が緊急手配したバスで避難しましたが、猫のクロとトラの姿は見当たらず、連れて行くことができませんでした。

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猫のクロ(番組より)

「キャリーバッグの用意もしていなかったし、仮に家のなかに隠れていると、戸を閉めると出てこれなくなるので、いつでも出入りできるように、戸を開けていったんです」(渡辺さん)

環境省のガイドブックでは、やむを得ず自宅などにペットを残していかなくてはいけない場合は、自治体の動物担当部署に相談すると記載されています。また、ペットが迷子になった際に飼い主のもとに戻れるよう、ペットにはマイクロチップを装着したり、首輪や迷子札などをつけておくといった対策も示しています。


災害への備えは「しつけ・健康管理・備蓄」

避難所などで他の人と共同生活をする場合に備え、基本的なしつけと健康管理も大切です。例えば、無駄吠えをさせないようにしつけをする、キャリーやケージに慣らしておく、不妊去勢をする、一緒に避難できる頭数だけを飼育する、予防接種やワクチンなどを定期的に受けておく、などです。

東日本大震災を機に、福岡VMAT(災害派遣獣医療チーム)を設立し、多くのペットを診察した獣医師の船津敏弘さんは、避難に備えて、次のような備蓄が必要だと番組で言っています。

~犬のための備蓄品~

  • フード、水、常備薬(最低5日分)
  • ペットシーツ、うんち袋
  • 首輪
  • リード
  • 食器
  • 持ち運びができるクレートやケージ

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犬用防災グッズ(番組より)

一方、「猫はどうすればいいの?」という方はこちら。「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン 一般飼い主編(抜粋版)」(環境省)では以下のような備蓄品を推奨しています。

~猫のための備蓄品~

  • フード、水、常備薬(最低5日分)
  • 猫砂または使用済み猫砂の一部、トイレ用の箱
  • 首輪
  • キャリーバッグやケージ
  • 洗濯ネット(猫を安心させて、動きを制限するため)

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猫用防災グッズ
※「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン一般飼い主編(抜粋版)」(環境省)より転載。

一度、ガイドブックに目を通しておくと、万が一の際にも、安心して行動をとることができます。ぜひ、以下から、ご覧ください。

環境省(※NHKサイトを離れます)


ふだん以上にペットの体調に気配りを

災害時、ペットの様子はどうなるのでしょうか?

「VMAT」の船津さんは、避難所でのペットの様子を次のように振り返ります。

「食欲不振やおう吐、下痢などの消化器系の不調がいちばん多かったです。次いで、いつもよりおとなしいとか、震えているといったメンタルの部分。飼い主が不安になっているのが動物に伝わっているのだと思います」(船津敏弘さん)

災害時には飼い主も不安になり、いつもと同じような態度でペットに接することができないこともあります。ふだん以上にペットの体調に気を配り、異常を感じたら獣医師などに相談しましょう。


避難所では飼い主同士の助け合いが不可欠

避難所では周りの被災者とのトラブルにも気をつけましょう。熊本地震で大きな被害を受けた益城町の避難所では、同行したペットへの苦情が寄せられました。

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被災者とペットが混在する避難所
写真提供:林眞二さん(番組より)

避難所ではペットを飼っている人も、苦手な人も、いろいろな人が不安の中を過ごしています。ペットがOKとされている場所でも、とくに排泄場所や排泄物の処理、抜け毛など衛生面に気をつける必要があります。給餌やフードの確保、散歩などは飼い主が責任を持って行い、飼い主仲間同士で情報交換や協力し、可能な場合はボランティアや獣医師などの支援も活用しましょう。

東日本大震災の教訓をいかし、益城町の避難所ではトラブルを防ぐため、ボランティアが避難所の裏に飼い主がペットとともに過ごせるテントを設営。さらに「VMAT」の船津さんの提案によって、飼い主たちが自宅の片付けをしたりする際にペットを預けられるよう、避難所内にペットの一時預かり所も設けられました。

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ボランティアが設立した、飼い主がペットとともに過ごせるテント
写真提供:ピースウィンズ・ジャパン(番組より)

災害時にペットの命を守るためには飼い主たちの自助が欠かせません。日頃の備えと、安全な避難行動が、自分や家族だけではなくペットの命を守ることにつながるのです。


この記事を作成する際に参照した番組
明日へ つなげよう 証言記録 東日本大震災(92)「ペットの命を守るために~動物救護チームの闘い~」 (2020年5月31日 NHK総合テレビ放送)


【防災チェックリスト】

準備編

□住まいの防災対策は行いましたか?(家具やケージの転倒防止、屋外なら囲いや鎖の破損防止、チェック)
□ 避難ルートやう回路、避難場所の確認はしましたか?
□ 家族でペットを連れた防災訓練に参加し、防災について話し合いましたか?
□ ペットに迷子札(犬の場合は鑑札と狂犬病の接種済票も)やマイクロチップはつけましたか?
□ ペットの基本的なしつけをしたり、キャリーなどの避難用品に慣らしたりしていますか?
□ 定期的なワクチン接種や健康診断を受けていますか?
□ 飼い主の緊急連絡先やペットの情報、預かり先などの準備をしましたか?
□ ペットのものを含めた備蓄をし、非常用バッグを用意しましたか?

備蓄品リスト

□ フード、水、常備薬(必要な場合)
□ 使い慣れた首輪、リード(犬の場合。伸縮しないもの)
□ 食器
□ キャリーやクレート
□ 飼い主の連絡先、ペットの写真(携帯電話の画像でもOK)や情報を記したもの、かかりつけ医や預かり先の情報
□ ペットシーツや猫砂、排泄用品(うんち袋など)
□ 洗濯ネット(猫の場合。逃げだし防止のため)
□ ブラシや爪切りなどのお手入れ用品
□ 匂いのついたタオルや毛布(ペットをくるめる大きさのもの)
□ ガムテープ、新聞
□   おもちゃ

【ペットの災害対策Q&A】

Q)災害発生時はどのように対応すればいいですか?
災害発生時は飼い主だけでなく、ペットもパニックになり、いつもと違う行動をとることがあります。まずは人の安全を確保し、犬にはすぐにリードをつけましょう。猫は使い慣れたケージやキャリーバッグに入れましょう。その後、情報を確認して、落ち着いて避難の用意をはじめましょう。避難するときは、電気のブレーカー、ガスの元栓を切り、原則としてペットと同行避難します。

Q)災害時、どんな場所を飼育環境として確保できますか?
災害時の飼育環境としては「避難所」「自宅」「車中」「知人や施設」などが考えられます。災害に備えて、あらかじめ確認・相談しておきましょう。

Q)災害対策として犬に必ずしつけておいたほうがいいことは?
犬のしつけのうち、「待て(静止)」と「おいで(呼び出し)」はとくに重要です。避難所でも受け入れられやすくなるほか、交通事故の防止や、犬がパニックになった際などにも効果的です。

Q)避難所でペットと一緒に過ごせますか?
原則として、ペットは避難所の飼育専用スペースなどで過ごし、ペットの世話は飼い主が行うことになります。避難所ではケージの中(とくに猫)で過ごすことが多くなるため、目隠しをするなど、ストレスを減らす工夫をしましょう。

Q)災害時、ペットと自宅にとどまるときの注意点は?
自宅が安全であれば、住み慣れた家にいるほうがペットも安心して過ごすことができます。家具が転倒・落下しないようにしっかりと固定しましょう。屋外で飼育している場合は、塀やガラス窓の近くを避けるなど、飼育場所の安全確認も行いましょう。ただし、救援物資や情報は避難所に集まるため、必要に応じて取りに行く必要があります。二次災害の危険があるときは、同行避難しましょう。

【防災チェックリスト】【ペットの災害対策Q&A】は下記を基に作成しました。
環境省(※NHKサイトを離れます)