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災害から子どもの心を守るためには?(「いつか来る日のために」より)

このコロナ禍の中で子どもが受けている心的ストレスを見逃さず、柔軟に対応するためにはどうしたらよいのか?

新型コロナウイルスは新しい“災害”、とも言えます。
このコロナ禍において、経済へのダメージや営業自粛の要請など、大人が直面する問題についてはニュースや新聞等でよく取り上げられます。
しかしその裏で、突然学校や保育園が休みになり、長いあいだ友だちと自由に外で遊べなかった子どもたちも、それぞれに不安を抱えていたことと思います。
このコロナ禍の中で子どもが受けている心的ストレスを見逃さず、柔軟に対応するためにはどうしたらよいのか?

そのヒントを、「災害時の子どもの心のケア」を考える防災番組「証言記録スペシャル いつか来る日のために ~災害から子どもの心を守る~」(2020年3月8日放送)の中で、精神科医の本間博彰先生が解説されたポイントを抜粋してご紹介します。

<医学博士 本間博彰氏 プロフィール>

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2001年より宮城県子ども総合センターの医師として乳幼児の心のケアなどに従事。

2011年の東日本大震災で、被災地の子どもたちへのケアや追跡調査を実施した。

2018年から福島県郡山市の病院で子どもを主とした精神科診療に取り組み、子どもの健やかな発達を支援する診療を目指している。


災害によって子どもにどんな変化が起きうるのか?

地震や水害などの災害によって心的ショックを受けたり、平時と異なる環境によるストレスで塞ぎこんだりする子どもたちはたくさんいます。
例えば、震度7を観測し、災害関連死を含めて44人が犠牲となった2018年の北海道地震では、子どもたちに次のような変化が見られたといいます。

○札幌市で暮らす3歳(放送当時)の後藤彩香理(あかり)ちゃんは、地震の後、突然「地震だー地震だー」と言ってテレビをガタガタ揺らしたり、積み木を崩して地震の場面を再現したりといった“地震ごっこ”を始めました。こうした彩香理ちゃんの行動が続き、母親の友理恵さんは戸惑ったといいます。

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○地震があった日から2日後から園を再開した安平(あびら)町の子ども園では、子どもたちに興奮状態のままで奇声を発して走り回ったり、暗いところを過度に怖がったりする様子が見られました。


大人はどう接したらいいのか?

子どもにつきあう

子どもにとって遊びは言葉と同じです。“地震ごっこ”で恐怖心を表現している訳ですから、親はその遊びに少しお付き合いをしてください。子どももある程度表現すると安心感が出てきます。そうなってから、「そろそろおしまいにしようか」「おやつを食べようか」と切り替えてあげましょう。

彩香理ちゃんの母親・友理恵さんは、“地震ごっこ”を避難訓練に発展させて、一緒に座布団をかぶったり、地震が起きたら家の中でどこに逃げるかを決めて実際に行動してみるようにしました。

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その際、ガラスが割れたり照明が落ちてくることも想定しながら、「大丈夫、ママ、あーちゃん守ってあげる」と伝えることで、彩香理ちゃんに安心感を抱いてもらうことができました。

視線を子どもの目の高さに合わせる

物理的に目を合わせるだけでなく、子どもの視点で物を見ることが大切です。子どもと視線を合わせると、子どもは自分のことを分かってもらえると思って安心します。
こうして子どもが必要としていることを親がくんであげて、子どもの気持ちを把握していくことが大切です。心に傷を負った子どもと視線を合わせると、共感が得られます。
話は注意深く聞いてあげましょう。

特に思春期の人には発言を尊重して接する

子どもは思春期に至る前から自分のことを一人前だと思っています。思春期の子どもならなおさらです。大人同士のように対等に話しかけましょう。
子どもの言い分や考え、アイディアを尊重することが重要です。

普段から子どもにしっかり目を向けて、災害時の変化に気づく

子どもから発せられる「異常」のサインはケースバイケースであり、マニュアル化できるものではありませんが、子どもが普段どんな過ごし方をして、どんな表情をしているのかを把握しておくと、災害の後に表情や雰囲気の変化に気づくことができます。
大人が日常的に子どもに関心を向ければ、子どもは本能的に自分のことを出してもいいと思えて、心を開いてくれます。そうするといろいろな症状が見えやすくなります。


子どもの心を癒やすものとは?

動物とのふれあいや好きな音楽を聴くこと、クラブ活動など、何か打ち込めるものがあると子供たちの心にゆとりができます。
また、遊びは子どもにとって生きていくための大事な手段で、一番の心のケアになります。こどもが自由に遊べる居場所や、一緒に遊べる友だちの存在も大切です。


最後に、本間先生から伺った「子どもの心を守るために一番必要なこと」を紹介します。

これからも災害は次々と来るだろうと思います。東日本大震災というのは、たくさんの教訓があったんですね。一つは平時の備えをきちんとするっていうことですよね。
人のつながりをきちんとするとか。人間の持っている共感性というのは、災害を救う大きな手段です。その共感性みたいなものを考えるとか。
子どもに関していえば、災害があった時には子どもに気遣う姿勢をきちんと持つということですね。気遣ってもらうと子どもは安心します。

日常生活の基本はやっぱりそういう“つながり”と“気遣い”だと思います。