「花は咲く」オリジナルバージョン

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宮城県出身の映画監督・岩井俊二さんに作詞を、同じく宮城県出身の菅野よう子さんに作曲を依頼。

被災地にゆかりのある34組の歌手やタレント、スポーツ選手がリレー形式で歌唱。2012年3月に誕生しました。

「花は咲く」出演者(敬称略・五十音順)

秋吉久美子、荒川静香、生島ヒロシ、イケメン'ズ、岩田華怜、梅沢富美男、大友康平、 加藤茶、門倉有希、狩野英孝、かの香織、熊谷育美、佐藤B作、さとう宗幸、沢田知可子、 サンドウィッチマン、涼風真世、鈴木京香、千昌夫、中村雅俊、仲谷明香、新沼謙治、 西田敏行、野村克也、畠山美由紀、原田直之、本田武史、マギー審司、村上弘明、森公美子、 杜けあき、山川恵里佳、遊佐未森、由規

インタビュー

岩井俊二
岩井俊二さんのメッセージ
正直難しい仕事でした。普段想像力という見えないチカラを糧に仕事をしている身ですが、今回ほど自身の想像力の真価を問われていると感じたことはなかったかも知れません。

さてどうしたものかと思案する中、被災した石巻の先輩が語ってくれた言葉を思い出しました。「僕らが聞ける話というのは生き残った人間たちの話で、死んで行った人間たちの体験は聞くことができない」生き残った人たちですら、亡くなった人たちの苦しみや無念は想像するしかないのだと。 もっと読む

この言葉が後押しになり、力まず自分の想像力に身を委ねることにしました。

思い返せば震災の直後、僕は被災地の家族や友人の消息を求めて、twitterに書き込みを続けていました。同じような境遇の人たちとお互いに情報を拡散し合い、これは随分役に立ちました。石巻の先輩の消息も、twitterを見た人がわざわざ家を訪ねてくれて生存が確認できたのです。

そんなtwitterの中に片想いの人を探して欲しいという女の子の声がありました。片想いであるが故に自分が探していることは知られたくないというかわいい注文つきでした。こんな最中にも恋があったりするのかと、それが何とも微笑ましく、思えばかの地は僕自身が初恋なるものを育んだ聖地であり、そんな聖地に今もしっかり若者たちが恋を育んだりしているんだなあと思ったら、まだ震災から一週間ぐらいのことではありましたが、瓦礫だらけになったこの場所にもちゃんと花が咲いてるじゃないかと思えました。

この体験がこの歌の種となって、あとはひたすら想像力との戦いでした。

亡くなった人たち、生き残った人たち、あの震災を遠くから心配していた人たち、3.11から今に至るまで、それぞれが一体どんな想いをしているのか、数行では到底描きようもない想いの、せめて僅かな片鱗でも書き留めることができたら、という想いで書きました。
菅野よう子
菅野よう子さんのメッセージ
作曲するにあたって心がけたこと。それは自分を出来る限り消し、音楽が、パフォーマーや聴く人の気持ちを載せることのできる透明な器であるようにする、ということでした。

そのためには、私自身が子供のようにのびのびと健やかである必要がありました。チャリティーである意味や、聴く人を傷つけない心遣いさえ一度忘れ、滝に打たれこそしませんでしたが、1週間ほどかけて音楽家としての下心や技巧を落としてゆきました。 もっと読む そして1月のある晴れた午前中、「いま、生まれていいよ」と岩井監督からいただいた詩に導かれるままに、私の中にいた4歳の自分が一気に作りました。そんなふうに作品に取り組める経験は、とても豊かなものでした。 歌の録音では、もしも天国があるならばそこにいる人に、「わたしはこんなふうに元気でやってます」と伝わるようなテイクを選ばせていただきました。少しずつ、あなたの傷が癒えますように。

100年経って、なんのために、あるいはどんなきっかけで出来た曲か忘れられて、詠み人知らずで残る曲になるといいなあと願っています。

作詞家・作曲家のご厚意により、著作権料がNHK厚生文化事業団を通じて被災地への義援金として届けられています。