【さかなクン いのちの授業SP】魚と海のQ&A大公開!
東日本大震災をきっかけに、魚類学者・さかなクンがはじめた「いのちの授業」。
魚たちの暮らしや海を守る人々の活動を紹介して、子供たちに「命の大切さ」を伝える活動を続けてきました。
そして震災から10年目の夏、オンライン型で行われた特別授業の様子を放送。
「明日へ つなげよう さかなクン いのちの授業SP ギョ苦楽!東北の海へ」
・放送:8/23(日)総合10:05〜(※関東地域は、8/29(土)総合10:05~)
・再放送:8/28(金)総合1:40〜 ※木曜深夜
https://www.nhk-ondemand.jp/share/free/?np_banID=gn_al_14
見逃し配信:8/28(金)2:28~9/4(金)2:28まで
同時配信:8/29(土)10:05~10:53のみあり
https://plus.nhk.jp/
番組では、全国各地から参加した子供たちから、「魚の生態」「おいしい食べ方」「環境問題」など、実にさまざまな質問が投げかけられ、さかなクンと専門家がとことん答えました。
放送だけでは実にもったいな〜い!!
ということで、番組で紹介しきれなかった質問とさかなクンからの答えを、ここでたっぷりギョ紹介しちゃいます!
お魚や海にまつわるQ&A
専門家もびっくりの質問が続出!(@!@)
■東京都 カステラーノ礼門人さん(小学5年生)
Q:海の魚で、絶滅危惧種に指定されている魚は、何種類くらいいますか? また、そうした魚たちを守るために、僕たちができることはありますか?
さかなクン:
環境省さまの絶滅が心配されている野生生物の種のリストを“レッドリスト”といいまして、海のお魚でいうと、217種(2020年7月時点)ということが報告されています。217種、多いですよね!!
そのうち絶滅危惧種のお魚は16種です。
そして、準絶滅危惧種といって、絶滅の危険性は少ないけど、大切にしなければ絶滅の危険性が高まりますよというお魚は、89種も知られています。本当にたくさんいるんですね。
なかには一部の地域にしかいないお魚や、限られた干潟とか藻場にしかいないお魚っていうのもいるんですね。ちなみに東北の海では、どういったお魚の絶滅が心配されてるんでしょうか?
阿部拓三先生、教えてくださーい。
阿部拓三先生:(南三陸町自然環境活用センター研究員)
環境省のレッドリストによりますと、東北の海では10種類ぐらいが入っています。「ガンギエイ」とか、「クダヤガラ」なんかも入っています。
ただ、東北の海の魚っていうのは、実はあんまり詳しく調査されていなくて、どれぐらい数がいるかというのもまだわかってない魚がすごく多いんですね。
東北の海の生き物、魚のことって、まだまだわかっていないことがたくさんあるので、是非これからみんなで一緒に研究できたらいいかなと思います。
それが生き物を守っていくことにもつながるんじゃないかなと思います。
さかなクン:
ありがとうギョざいます!阿部先生とギョ一緒に、ギョ研究できたらうれしいですね。
カステラ―ノ礼門人さん。いかがでしたでしょうか?
絶滅危惧種はいっぱいいるんですけど、阿部先生がおっしゃるように、みんなでしっかりと調べていくということも大切なんですね。
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■大阪府 原田修哉さん(小学5年生)
Q:脂がのって太っている魚はおいしいけど、魚の立場からすると、太っていることは良いことなのでしょうか?
さかなクン:
うおお!さすが原田さん!お魚さんにとって太っているのは良いことなんですよー!
さかなクンも、おいしいお魚って、なぜあんなに脂がのってるんだろう?って思いました。
実はお魚の脂っていうのは、食べている食べ物からゲットするのです。
まず海の中にはプランクトンという生き物達が漂ってますよね?プランクトンちゃんは、水の中で沈まないようにふわふわ漂うために、脂を持っています。
脂は水よりも軽いので、プランクトンちゃんは脂を持つことによって沈まず、漂うことができますよね。そのプランクトンを今度はイワシちゃんなどが食べると、イワシちゃん達は脂がいっぱいのっておいしくなります。更にはその脂がいっぱいのったイワシちゃんをサバちゃんが食べ、サバちゃんも脂をいっぱいゲットします。今度はそのサバちゃんをカツオちゃんが食べ、マグロちゃんが食べ、そうしているうちに、お魚はどんどんいい脂をいっぱい持つようになるのです。
あとは深海に暮らすお魚。深海は冷たいです。
冷たい海に過ごすためには脂をいっぱい持つと、たくさん洋服を着込んで寒さに耐えるのと、同じなのです。だから冷たい深海に暮らすお魚は、たくさんの脂を持って、防寒具のように寒さから体を守ってるという事が言われてます。脂があるっていうことは、良いことなんですね!
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■三重県 北川柚子香さん(小学6年生)
Q:コロナの活動自粛によって、地球や空気が良くなったとニュースで聞きましたが、海の環境も良くなりましたか? 海や魚にとって、そのほうが良いのですか?
さかなクン:
新型コロナウィルスで、ステイホーム期間が長く続いた結果、自然界の生き物たちが元気になって、空気もきれいになって、海もきれいになったっていう報告もあるのですね。
やっぱり、自然も人も、そしてお魚さんたちも、どの生き物も、これが大事だと思うんですね。「お休みすること」。
僕たち私たちも、ずーっと働き続けたり、ずーっとお勉強し続けたり、がんばったりすると、絶対疲れてしまうんですね。そういう時は、ちょっと休憩時間が必要ですよね?ちょっとおやつを食べたり、ジュースを飲んだり、あとはお友達としゃべったり。睡眠も大切です。よく眠ること。
そういう「休むこと」が、実は私たちにとって、とても大切ですし、自然の生き物にとっても大切なんですね。ずっとがんばり続けると、どうしても無理が大きくなってしまいます。
おうちでじっと我慢することは大変だけど、そういった時間があると、「おやおや?空気がきれいになってきた!」「あっ、海もきれいになってきた!」と。
お魚も、取る期間を少しお休みすると、お魚さん達もちょっとお休みできて、元気にまた卵を産んでくれたり、海藻もすくすく育ったり。そういう大切な時間につながるわけなんですね。ですので、私たちもがんばりすぎちゃうと大変。時にはちょっとお休みすると、人も自然もまた、元気にもとに戻る。そういう時間も大切にしたいですね!
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■栃木県 市村永遠さん(中学1年生) 夢空さん(小学4年生)
Q:さかなクンの帽子と同じ「ハコフグ」について詳しく知りたいです!
赤ちゃんの時、どんな姿で何を食べて成長しますか?どういう場所に住んでいますか?
さかなクン:
ハコフグちゃんは、さかなクンの頭にもいつもギョ一緒してくれてます。
暮らしている場所というのは、ちょうど東北の辺りの海から九州辺りの海に、広く分布してるんですね。生まれたての赤ちゃんは、とっても小ちゃいんです。小ちゃな数ミリの赤ちゃんが一生懸命どんどん大きくなって、一番大きくなると、20センチから20ギョセンチぐらいの大きさになるんですね。段々大きくなってくると、黄色っぽい色になります。黄色に黒い点々模様があって、なんだか泳ぐサイコロみたいでかわいいんですねえ。もっともっと大きくなってきますと、雌のハコフグちゃんは、色がオレンジ色っぽくなって、水玉模様がいっぱい出てきます。
雄のハコフグちゃんは、さかなクンの頭のハコフグちゃんのように、背中は青い色、体の横はきれいな黄色になって、水色の模様がいっぱい付いて、とっても目立ちます。そして小ちゃなおちょぼ口で、岩肌にいる小さなエビちゃんとか、小さなカニちゃん、あとゴカイちゃんなど、そういった小さな海の生き物を主に食べています。
ハコフグちゃんは、とってもかわいいんですけど、ひとつだけ注意しなければいけない点があります。
それは、水そうやバケツにいろんなお魚と一緒に入れると、ギョギョギョ〜!なんと水面がボコッと泡立って、他のお魚がたちまち弱って死んでしまいます。それはハコフグちゃんが危険を感じた時に、体の表面からパフトキシンという毒を出してしまうからです。ハコフグちゃんを水そうで飼う時は、ハコフグちゃんだけにした方がいいということなんですね。
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■群馬県 萩原一颯さん(小学6年生) 竜誠さん(小学4年生)
Q:僕たちは魚取りが大好きで、千葉や静岡で黒潮に乗ってやってくる季節遊魚を捕まえて家で飼育しています。
最近は地球温暖化で南の海の魚が北の方に住みつくこともあるそうですが、さかなクンが東北の海で見つけてびっくりした魚がいたら教えてください。
さかなクン:
地球温暖化の影響もあるのかもしれませんね。海のお水もだんだん温度が高くなっています。
さかなクンの暮らす、千葉県館山市でも、年々暖かい海に暮らすお魚が、たくさん黒潮に乗ってきて、目にする機会も多くなってきました。
阿部先生はベニカエルアンコウちゃんや、20センチをこえるコブダイちゃんを見たとおっしゃっていました。
さかなクンは東北の海ではトビウオちゃんやシイラちゃんなどを見て、ギョギョッとびっくり!
地元の館山の海では沖縄県の県魚“ぐるくん”の名で親しまれるタカサゴちゃん、オジサンちゃんなども見て驚きました!!