ティーチャーズ·
ライブラリーとは?

NHKの番組を無料で学校現場にお届けします

ティーチャーズ·ライブラリーは、NHKが放送した膨大な番組の中から、学校教育に役立つものをDVDにして学校現場に無料で貸し出すサービスです。NHKの映像資産を社会還元する事業の一つとして2009年に始まりました。学校教育番組だけでなく、NHKスペシャル、仕事ハッケン伝など、ネットで見ることのできない一般番組を数多くそろえており、小学校から大学までの授業に対応しています。

迫力のある映像を教室で

高画質のDVDですので、ネット環境がなくてもご利用いただけます。授業の実践を通して、「高画質·高音質の迫力ある映像は子供の心を強く動かし、感動させることができる」と報告されています。

貸し出し番組は約300タイトル

  • 貸し出し番組は、学校教育に必要とされるテーマについて現場の先生方のご意見を伺い、利用された方の要望も取り入れつつ、すぐれた番組を厳選しています。
  • 平和学習や修学旅行の事前学習向け番組、職業観や勤労観を培う番組が多数ある他、道徳の時間に活用できる「命」「いじめ」「異文化理解」などの番組、情報、防災、環境などの番組も充実しています。
  • 毎年20本程度を新しく追加しています。

7つのジャンル

番組は大きく7つのジャンルに分かれています。授業のねらいやテーマにそってお選びください。

貸し出ししている全番組の内容を掲載しています。また多くの番組に「学習展開例」や「活用ポイント」が添えてあり、授業を組み立てる際の参考にしていただけます。

平和
広島・長崎・沖縄など、平和学習や修学旅行の事前学習などにおすすめ
キャリア
職場体験学習、キャリア教育だけでなく、生き方を考える授業にも活用できる
ともに生きる
命・生き方、いじめ、差別などのテーマで、道徳の時間などの授業におすすめ
情報と表現
情報化社会を生きる知恵と、表現やコミュニケーションの技術を育む
防災
自然災害のしくみや実態を扱った番組、防災意識を高めるために役立つ番組
環境
地球温暖化、生態系破壊など、環境問題の実態を学べる教材
学ぶ楽しさ
いつもの「勉強」とは一味違う切り口で、学ぶ意欲をかきたてる

ティーチャーズ·ライブラリー編集委員会 · 藤村裕一委員長からのアドバイス

Society5.0に対応した「学校Ver.3.0」の実現を強力にバックアップ

新学習指導要領の目標に対応して

NHKティーチャーズ·ライブラリーは、NHKの優れた一般番組を先生方が授業等でお使いいただけるようにDVDで貸し出すサービスです。

新学習指導要領が目指す「主体的·対話的で深い学び」への転換、知識重視から能力重視への転換、問題発見・解決能力等の学びの基盤となる力の育成を実現する必要があります。今後は、変化の激しい社会にも対応できる人材を育成する教育(学校ver2.0)から、人間ならではの強みを生かし想定外にも対応できる「学校ver3.0」の実現をも指向します。

「主体的·対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)を支援する番組と、学校ver.3.0対応指導案

  1. 「主体的な学び」を支援する、問題意識や知的好奇心を高め、子供たちを突き動かす番組
  2. 「対話的な学び」「深い学び」を支援する、異なる考えを引き出し、練り合う必然性を生む番組
  3. フローチャート型指導案による学校ver.3.0
    (主体的・対話的で深い学び+個別最適な学び=個の違いに対応した学び)対応「学習展開例」

ティーチャーズ·ライブラリーを「主体的·対話的で深い学び」で活用するために

主体的・対話的で深い学びの基本理念

すべての授業は、図のとおり4つのタイプに分類することができます。その中で主体的·対話的で深い学びは、児童生徒が主体的に学ぶ場面のある、以下の2つの授業類型です。

❸ 児童生徒主体の課題解決学習
❹ 問題解決学習


新学習指導要領は、「問題発見·解決能力」(問題発見能力と問題解決能力)をすべての学びの基盤となる力として掲げています。つまり、従来多く見られた、教師がめあてとして「○○しよう」などと示し、問題意識も生まれていないのに、教師主導で授業を始めることは好ましくないことを示しています。問題発見能力と問題解決能力の両者が育ち、社会がどんなに激しく変化しても主体的に生きゆける児童生徒を育てることができるのは、❹の問題解決学習のみとなります。その際ティーチャーズ·ライブラリーの番組は、映像によって児童生徒の興味・関心を高め、問題発見につながる優れた教材です。

しかし、児童生徒が追究したい問題をそのまま追究させるだけでは、戦後の「這い回る経験主義」の失敗で明らかなように、学びが深まらず、学習目標に到達しません。児童生徒が本時の学習目標に必然的に到達する鋭い問い(学習問題)を発見するには、教師の深い教材研究とともに、その学習問題を「児童生徒自らが発見した」と思えるように導入場面を設計する教師の高い授業力も必要です。

「主体的な学習」が必然的に「深い学び」となるように開発されたのが、「対話的な学び」を取り入れた改良型の「問題解決学習」です。ティーチャーズ·ライブラリーの番組等の資料や活動をとおして児童生徒が自ら問題を発見し、多様な見方·考え方をできるだけ多く出し合って、予想・仮説を立て、それに合った方法で追究し、その結果を練り合うことで、「ああこういうこともあるのか!」と見方·考え方が広がったり、「これはこういうことだったんだ!」と深まったりする複線型の学習は、学校ver.3.0が目指す、一人一人の個性·人間ならではの強みを生かした個別最適な学びの一つでもあります。

ティーチャーズ·ライブラリーでは、このような教材研究と授業デザインを編集委員があらかじめ行い、利用する皆さんが自校の児童生徒に合わせて若干アレンジするだけで、授業の最終形である❹の「問題解決学習」ができるようにしてあります。

「主体的・対話的で深い学び」の授業デザイン

「問題解決学習」は、基本的に右図のような学習過程をたどります。その場面ごとの注意すべき点、授業改善のポイントを示します。

導入:問題発見場面

授業冒頭に、以下の「問題発見の4つの方法」で学習問題を発見する場を位置づけてください。

①既有経験や既習との「ズレ」
これまでの経験や学習では説明できない事象と出合う場を設定し、追究せずにはいられない強い問題意識を生みます。
②友達との意見の対立・拮抗
児童生徒の異なる意見を採り上げ、違いを際立たせることによって、どちらが正しいのかという問題意識を生みます。
③目的達成へ向けての障害克服
児童生徒が目的に向かって活動する際、どうしたらその障害を乗り越えることができるのかという問題意識を生みます。
④素朴な疑問からの問題意識の醸成
「これはどうなっているんだろう?」などの素朴な疑問から、何のど こが分かっていないかを明らかにし、強い問題意識を醸成します。

展開:個別の予想·追究場面

学習問題ができた後、他者と交流せずに一人で予想·仮説を考える場を設定します。その際、できるだけたくさんの考えや解き方の案などを出し、練り合い、深め合う必然性が生まれるようにします。

自分なりの追究が終わったら、グループや学級全体で交流し、見方や考え方が広がったり深まったりするようにします。グループで交流したことを学級全体でさらに練り合う際には、グループで一つの考えにまとめるのではなく、どのような意見が出たかを紹介するようにして、せっかく出た多様な見方·考え方が失われないようにします。

終末:学級全体での問題解決場面

学級全体で学習問題の解決を図る際には、各教科等特有の見方·考え方(価値観)を基に、どれが最も優れた答えかを考えたり、学習問題に対応した答えになっているかをチェックしたりするようにします。

また、優秀な児童生徒の意見が一つ出て、それで学習問題が解決したとするのではなく、みんなで学習問題の解決(答え)がそれでよいかどうかを吟味した後、必ずもう一度一人一人に立ち返って、本時の学びでどのように自分の見方·考え方が深まったのか、応用問題や発展問題、学習の振り返りなどによって、一人一人の中に学びが確実に定着するようにします。

[参考]もっと深く学びたい方は、拙著『アクティブ·ラーニング対応 わかる! 書ける! 授業改善のための学習指導案』参照のこと(ISBN-13: 978-4906768288)

編集委員あいさつ

藤村裕一

編集委員会委員長
鳴門教育大学
大学院学校教育研究科
教授
教員養成DX推進機構長

藤村 裕一

本年度は、全国でGIGAスクール環境が整備され、主体的・対話的で深い学びへの移行がより求められる年となっています。主体的・対話的で深い学びにとって最も重要なのは、児童生徒が心や知的好奇心を揺さぶられ、主体的に学習を進め多様な考えを練り合うことです。児童生徒をそのように突き動かす上で、学習スタート時の教材として、学習を深める教材として、高画質・高音質で良質なNHKの各種番組の良さが再認識され、道徳・社会・理科・学級活動・総合的な学習の時間等、多種多様な教科・領域での活用が広がっています。
本年度も、「こんな番組を使いたい!」という皆さんの声により、新しい番組が多数加わりました。積極的にご活用ください。

甲斐崇

沖縄県西原町立西原東小学校
校長

甲斐 崇

ティーチャーズ·ライブラリーは、NHKの優れた一般番組を学校教育や授業の中で活用できるサービスです。ラインナップされたたくさんの番組は、子供たちの心を揺さぶり、学習意欲や探究心などを喚起します。まずは、どのような番組があるか見ていただき、使えそうな教科・領域からご活用ください。

加納 真

静岡県沼津市立第四小学校
教頭

加納 真

子供に世の中・現実を見せ、問いや見通しをもたせたい。そんな時、役に立つ番組がたくさんラインナップされています。映像のもつ力は、教師の言葉を超えて子供に届きます。

前多 香織

北海道石狩市立双葉小学校
教諭

前多 香織

ティーチャーズ·ライブラリーから『伝える極意 キャッチコピー』を借りて小学校で授業をしました。この番組は、伝えることをプロとしている達人から極意(技)を学ぶことができます。視聴した子供たちは、言葉を大切にして、言葉の順番を変えたり、インパクトのある言葉を探したりするなど、試行錯誤しながら学習を進めていました。そして最後には、納得のいくキャッチコピーを作ることができました。達人から伝える技を学ぶことができるこうした番組はおすすめです。

溝内 正剛

徳島県海陽町立海部小学校
指導教諭

溝内 正剛

NHKティーチャーズ·ライブラリーは、子供たちの心を掴み、心を動かす映像にあふれています。GIGAスクール時代に向け、今までの授業に、NHKの豊富なコンテンツをプラスしてみませんか。

山内 雅博

愛媛県西条市立西条小学校
教頭

山内 雅博

「NHKスペシャル」「プロフェッショナル 仕事の流儀」など、NHKの魅力ある番組を、授業で効果的に活用するにはどうすればよいでしょうか。ティーチャーズ·ライブラリーのホームページには、子供たちの興味・関心を高め、問題意識を大事にした授業改善のヒントがいっぱいです。ぜひご活用ください。

嵯峨 静人

秋田県藤里町立義務教育学校藤里学園
教頭

嵯峨 静人

中学3年社会科公民の、人権の学習での活用が効果的でした。「日本国憲法の第24条は22歳のアメリカ人女性ベアテさんが原案を作った」という事実が生徒に衝撃を与えます。番組視聴から、第24条の原案にあった「給料の男女平等」や「妊婦は最大の保護を受ける」などの条文が削除されたことを知り、「もし憲法を改正するとしたら男女平等をどうするか」を考えることで授業に深まりが見られました。

座間味 浩二

沖縄県多良間村立多良間中学校
教頭

座間味 浩二

学び楽しさの教材は、単元導入や教科の専門性を追求しており、学びの深化に役立てられます。映像という視覚から得られる情報によって、どの校種においても理解しやすく確認することができます。番組視聴から、子供たちの学習活動や協働学習の質の向上につながります。

鈴木 英太

京都教育大学総合教育臨床センター
専任講師

鈴木 英太

どうしたら生徒の主体性が高まるのか。現場の私たちは試行錯誤しながら授業づくり励んでいます。多くの教材教具とともに「映像」の力は強力です。普段TVを見ていて「このシーンは授業で活用できるな」と感じることがあると思います。ティーチャーズ·ライブラリーはNHKの番組を授業で使うことができ、手続きもシンプルです。一人一台端末と組み合わせることで活用の幅が広がります。一緒に新しい授業改善の可能性を探っていきましょう!

瀬崎 邦博

島根県松江市立義務教育学校玉湯学園
教諭

瀬崎 邦博

「仕事ハッケン伝」をセットで借りて、修学旅行のバス移動中に利用しましたが、コロナ禍で距離を取り静かに過さなくてはならない状況にはピッタリでした。また、ティーチャーズ·ライブラリーの番組を使った授業でGIGA端末を活用して意見を広げたり、深めたりが当たり前にできるようになってきました。ティーチャーズ·ライブラリーの番組×GIGA 端末の活用で、さらに新しい授業ができそうでワクワクしています。

永野 直

特定非営利活動法人
みんなのコード
学校教育支援部講師

永野 直

ティーチャーズ·ライブラリーは、学校放送番組の枠にとどまらない多様なテーマの番組が揃っています。指導案例もぜひご覧いただき、「見て終わり」ではなく、生徒の主体的・対話的・深い学びの実現に向けた授業展開をしていただけたらうれしく思います。

森 浩三

大分県立大分商業高等学校
教頭

森 浩三

過去の番組のラインナップが豊富であり、授業の用途に合わせていろんなジャンルから番組選択ができます。学習展開例を参考に番組の部分視聴や分割視聴、まるごと視聴など、授業者のカスタマイズで学びの可能性が広がります。

所属・肩書は2023年4月現在