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バーデルさんの父は脳神経系の難病、パーキンソン病だった。かかりつけの医師に半ば入院を強制され、その後、南ドイツのグラーフェネックに造られたガス室で殺された。回復の見込みがない病気や障害で働けない人間に生きる価値はない ――― ナチス・ドイツの方針だった。
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ガス室は、ドイツ国内6か所に造られた。中西部の町、ハダマー。山の上の精神科の病院に向かうバスはいつも満席だったのに、帰りは空だった。煙突からのぼる煙の臭いに、ある兵士は「戦場で死体を焼く臭いと同じだ」と言った。病院で行われていることに市民は気づいていたが、何もできなかった。
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障害者の虐殺については、遺族も沈黙を守ってきた。プッシュマンさんの叔母はてんかんのために殺されたが、その事実が家族の間で語られることはなかった。存在していたことさえも消されてきた叔母。その尊厳を取り戻したいとプッシュマンさんは訴える。