2020年01月10日 (金)篠井英介 ふるさと石川を語りつくす! 前編


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 石川県金沢市出身の篠井英介さんが、「みちしる」の動画を見ながら、ふるさと石川の魅力を語りつくします。今回は、加賀百万石を象徴する庭園・兼六園、伝統工芸・加賀友禅、石川ならではの冬のごちそう・かぶら寿司について語ります。

<プロフィール>

 1958年生まれ。日本大学藝術学部演劇学科卒業。84年、劇団『花組芝居』を旗揚げ。退団後、92年には第29回ゴールデンアロー賞演劇新人賞を受賞。代表作は舞台「欲望という名の列車」「サド公爵夫人」、ドラマ『総理と呼ばないで』など。NHKでは大河ドラマ『翔ぶが如く』『八重の桜』、連続テレビ小説『瞳』『まれ』など。2014年、石川県観光大使に任命される。日本舞踊、宗家藤間流師範・藤間勘智英の名を持つ。


■金沢市民には身近な庭「兼六園」

<2015年放送「兼六園」>

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Q、兼六園は、観光地として全国的に有名ですが、金沢の人たちにとっては、身近な場所なんですか?

篠井僕は高校生までしか金沢にいなかったんですけど、少なくともその時までは、兼六園に入るの、無料だったんです。しかも夜中じゅう開いていた。だから、金沢市民は普通に通勤通学で、兼六園の中を通って学校や会社に行ったりしていました。僕が通っていた小学校は、兼六園から歩いて20分くらいのところにあったんです。だから、「今日は写生大会を兼六園で」って先生が言って、みんなで兼六園に行って、自由にわかれて好きなところを絵に描く、なんてことよくありました。本当にみんなの庭っていう感じでしたね。今でこそ門があって、入園料も取りますけれど、当時は、誰でも気軽に、夜中でも朝でも何時でも、好きなように出歩けましたから。本当に皆さん、自分の庭のような気持ちでいたと思います。あまりに身近なところなので、地元の人は普段、兼六園の素晴らしさを意識していないですよね。灯台下暗しというか、そういうものですよね。僕も大人になって、ほかの庭園に出かけたり、観光したりするようになってから、「ああ、兼六園ってすごいんだな」って改めて思いました。

Q、篠井さんおすすめの兼六園の楽しみ方ってありますか?

篠井:けっこう広大なので、ゆっくり時間をとってご覧になるのがいいのかなと思います。水あり、山ありで、わりと起伏に富んでいるので、ゆっくりまわるのがおすすめですね。あと、兼六園には、四季それぞれの顔というものがあって、冬の雪の積もった兼六園も素敵ですし、春なら春、桜の頃ももちろんいいですし、それぞれの季節でお楽しみいただけるんじゃないかなと思いますね。わりと都会の金沢の町中に、これだけ緑と水が残っているというのは素晴らしいことだと思います。訪れた方は、ぜひ豊かな自然の中に身を置いて、癒されてもらいたいですね。

■"ひなびた"魅力 加賀友禅

<2011年放送「加賀友禅」>

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Q、高い技術で作られている加賀友禅。金沢の家庭などでは比較的身近にあったりするものなんでしょうか?

篠井:うちは、おばあちゃんが同居していたんです。そのおばあちゃんがお出かけするときは、大概、着物でした。特に珍しいことではなくて、そういう時代だったんですね。で、そのおばあちゃんの着物の中には、加賀友禅がいくつかあったと思います。あと、母の花嫁衣裳、お色直し用の振袖があって、これも友禅でしたね。だから、かつては、金沢の各家庭で、女の方たちが加賀友禅を一枚、二枚持っているのは、わりと普通だったと思います。

Q、篠井さんは、ご自身も着物を着られますし、また、多くの着物を見てきたと思いますが、加賀友禅の良さってどんなところにあると思いますか?

篠井:京友禅と加賀友禅があったら、やっぱり京友禅は華やかでゴージャスなんですよ。見比べると、加賀のほうが、いい意味で今一つ、ひなびているっていう感じがするんです。その、ひなびた感じが加賀友禅の良さなんですよ。豪華絢爛な華やかさが京友禅だとしたら、ちょっと落ち着いた感じの、色目でもなんでも、ちょっとくすんだようなところがあったりするのが、加賀友禅の良さだと僕は思っています。もちろん、加賀友禅もゴージャスで華やかなんですよ。でも、京友禅と比べると、ひなびている、落ち着いている感じなんですよ。それは、加賀友禅の人たちが、京友禅とは多少違うものを作りたい、加賀友禅らしいものを作りたい、と思っていらっしゃるからなんだと思います。その伝統が今も続いているんじゃないかと思っています。

■冬のごちそう かぶら寿司

<2015年放送「かぶら寿司」>

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Q、動画にも出てきていましたが、かぶら寿司は、ハレの日の食べ物なんですか?

篠井:そうですね。やっぱりかぶら寿司といえば、お正月っていうイメージがありますよね。僕はあまり作り方とかは知らなかったんですけど、母が、麹に漬けたのを、こたつの中に入れていたのを覚えていますね、発酵を早めるために。あと、ブリはやっぱり高級魚だったのでニシンとか、ほかの魚で代用したり、かぶらを使わずに大根を使ったり、麹を取り除かないで、麹ごと食べるとか。それぞれの家で作り方のバリエーションがあって、それぞれの家の味があったように思いますね。金沢のお正月、冬には必ず出てくる食べ物ですね。

Q、寒ブリを使っていましたが、石川は寒ブリが名産ですよね。

篠井北陸地方は、石川県に限らず、富山でも福井でも、冬はやっぱりブリですね。地元で食べるのは味が全然違います。焼いてもいいし、煮てもいいし、もちろん刺身でいただいてもすごくおいしい。あと今は「ブリしゃぶ」なんていうのを出すお店もあって、これも臭みがなくてとてもおいしい。かぶら寿司も、そんな冬においしくなる寒ブリを使っているんですね。その土地の名産って、土地の気候風土に合わせてできていると思うので、かぶら寿司も、冬の寒さがあって、冬においしくなる食材があって生まれてきたものだと思います。だから、地元の人間からすると、かぶら寿司は晴れがましい、冬の、お正月のごちそうって感じがありますよね。

<加賀百万石の名残を残す庭園、工芸、食について語る篠井さん。次回は、門前町としての金沢について、また、今も続く町衆の文化について語ります。お楽しみに!>

投稿時間:11時00分


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