2019年08月26日 (月)お祭り評論家 山本哲也の 一度は行きたい! このお祭り 「富山 おわら風の盆」


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おわら風の盆

お祭り評論家・山本哲也さんが、一度は行きたい日本の祭りを「みちしる」の動画の中から選びました。今回は富山の「おわら風の盆」。その見どころや、見に行くためのアドバイスを紹介します。

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山本哲也

1970年大阪府東大阪市生まれ。近畿大学理工学部卒業。お祭り評論家。学生時代に行った青森ねぶたで祭りの楽しさに開眼、以来全国300か所以上の祭り・イベントを訪問。自ら趣味で制作したお祭り情報サイトがきっかけで、旅行雑誌で祭り情報の連載を担当。編集プロダクション勤務を経て、現在テレビやラジオ・雑誌・インターネットなど各種メディアで活躍。一般参加者の視点から、祭りの楽しさ・奥深さを伝えている。

 

 

職業柄「おすすめの秋祭りは何ですか?」と聞かれることの多い筆者ではありますが、この「おわら風の盆」(9月1日~3日)はできれば「おすすめしたくない祭り」であります。

つまらないとか、面白くないとかが理由ではなく、風の盆が持つその幻想的なイメージとは裏腹に「生半可(なまはんか)な気持ちで行ってほしくはない」「どうしてもというなら、覚悟と気合いをもって行くべき」と言える祭り・年中行事なのです。

決して広いとはいえない八尾町の旧市街に3日間で20万人もの観光客が訪れ(それでも以前よりは減った)、宿泊も町内や富山駅周辺では絶望的に予約がとれず、ツアーで行くと宿泊地が加賀温泉郷や奥飛騨温泉郷とか(バスで片道何時間かかるのだろう)、踊りの観覧席券もなかなか予約がとれず、町流しを見るにも、何時間も前から場所取り。食事もトイレも大行列。これだけがんばっても、少しでも雨がパラパラすると容赦なく町流しは中止に追い込まれます。楽器の胡弓(こきゅう)が水にとても弱いから、外ではおわら節を披露できなくなるためです。

帰りは帰りでバスは大渋滞、列車に乗るのにも最大5時間待ちの行列を覚悟する必要があります。

かなり厳しいことばかり書きましたが、もし今この文章を見てへこんでいるようなら、今ご覧の「みちしる」を見て幻想的な気分に浸っていただくのが幸せでしょう。

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観光客でにぎわう「おわら風の盆」

それでも覚悟をかためて越中八尾の駅に降り立ち、若者が町ごとにおそろいの浴衣姿で日本舞踊のごときしなやかな踊るさまを見て、胡弓のもの悲しい音色に人生のはかなさを感じ、終列車がなくなったあと深夜の町並みで見せる、観光モードではない地元のひとたちの楽しみである「夜流し」に遭遇すると、今までの疲れとか、我慢がすっと消えていくような感じがするものです。

そして朝5時頃、越中八尾駅で上り下りそれぞれの始発列車のときだけ披露される「見送りおわら」。車窓から次第に小さくなっていく踊りを眺めていると、きっとこう思うに違いないでしょう。

「来年も行きたい」

写真撮影:山本哲也

投稿時間:09時55分


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