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連載コラム「お宝発見ニュース」

第8回 さらなる「お宝」、ご提供をいただきました!!

みなさんこんにちは。発掘アーキビストの【あ】です。
大河ドラマ「草燃える」の発掘キャンペーンでは、視聴者の方やNHKの内部からさまざまな反響がありました。ネット上や、新聞のコラムなどでも取り上げていただき、その多くが、活動に対する賛同や励ましであったことにとても感激しています。本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。モチベーションにもつながりますので、メッセージも送ってくださいね。

前回お伝えいたしました通り、「草燃える」のビデオ募集キャンペーンは今後も継続いたします。その中でまずは、「草燃える」の募集を進めてまいりますが、同時にこれまでにNHKに保存されていないすべての番組(主に昭和60年以前)についても情報提供は受けつけていきます。今後とも皆さまのご協力をお願いいたします。

→ NHKアーカイブス 番組発掘プロジェクト「映像募集」

安部直広さん

さて今回は、これまでになく7千本の提供をいただいたというびっくり仰天のお話です。
それは、政見放送の仕事で連日の深夜勤務が続いていた8月のある日のこと、川口アーカイブスから連絡が入りました。それが・・・。
「群馬県にお住まいの視聴者の方から、昭和30年代からのNHK番組の録音・録画、合わせて7千本の寄贈をしたいという申し出があったんだけど…。」というもの。

うわーっ、ななっ、せん、ぼん?!

「保管してある倉庫が取り壊しになるので、9月末までに全部運び出さなきゃならないそうだ。とにかく、見に行ってくれないか?」

蚕小屋を改造した倉庫

ということで、9月初旬のある日、「草燃える」のビデオチェックに忙しくしながらも何とか一日時間をあけ、ローカル電車を乗り継いで、群馬県の赤城山のふもとに向かった【あ】でありました。

迎えてくださったのは安部直広(あべ・なおひろ)さんという、とてもにこやかな老紳士でした。御年77歳とは思えないほどです。


保管状況その1(1階倉庫中央部)

【あ】 「ずいぶん広い倉庫ですね」

安部さん 「このあたりは昔、絹織物の産地で、この建物では養蚕をしていたんですよ。わが家の改築の時に、入りきれなくなったテープ類をここに置かしてもらうようになったんです」

【あ】 「この膨大な録音・録画、どうやって集められたんですか?」

安部さん 「いやあ、私は元々地元で高校の教師をしておりましてね。授業の教材として使うためにラジオ第二放送の録音を始めたのが昭和35年のことでした。私は国語科の教師だったんですが、だんだん録音の対象が国語以外にも広がっていって、出張で家にいない時を除いてほぼ毎日、何らかの番組を録音してました。
昭和40年代の半ばには、まだ珍しかったビデオの収録なんかも始めましてね。いつの間にかこんなにたまってしまったんです。」


保管状況その2(1階倉庫南側)

テープは広い倉庫にあふれるばかり。また、地下室にも段ボールで山積みになっています。


地下倉庫のようす

【あ】 「それにしても、7千本では済まないですよね。この分量」

安部さん 「最初にお電話した時は7千本ぐらいじゃないかと思っていたんですが、実際に数えたことはないんですよ。1万本以上かもしれません。1本のテープに複数の番組が収録されていることもありますので、いったい、どれぐらいになるのか…」


昭和30年代に地方の教育に力をそそいでいた安部さんは、「東京と地方にはいろんな格差があるが、NHKの放送は東京にも地方にも平等に届く。これを教育に利用しない手はない。」と考え、録音機を自分で購入、この膨大な録音・録画を始めたのだそうです。


安部さん 「昭和30年代から一時期、NHKラジオ第二放送の“番組委員”を務めていたこともあるんですよ。ですが、当時のNHKの制作者の多くは、“番組とは放送してしまえばおしまい。残すことは必要ない”という考え方の人が多かったんです。それで、“よおし、NHKが番組の保存をしないのなら、自分が番組を残す活動をしよう”」


と思ったのが、この録音・録画を始めたきっかけだったのだそうです。放送局としては、マスターに使うテープがとても高価だったので保存できなかった面もあるのですが、安価な市販の機械や民生テープでは保存しても再度の放送には使えないので、結局、保存がされてこなかったのです。そんな時代に、ここまで考えて行動されたのはまさに先見の明というしかありません。

これだけの大量のコレクションですが、安部さんも惜しくはあるけど、借りている倉庫が9月末に取り壊されると行き場を失ってしまうし、そうなると捨てるしかなくなるということでNHKに連絡をしていただいたのです。私は川口アーカイブスの責任者と連絡をとり、事情を説明しました。すると、あまりにも膨大な量に驚きながらも、「とりあえず全部のテープを川口に移送。その中でこれまでに保存のないものをすべて保存」という方針を決めてもらう事ができたのです。

これだけたくさんの機械を使って録音していた

いまでは再生手段のない4チャンネル録音機もテープと共に提供いただける事になりました。すぐに運送会社に連絡をとり、9月9日に再度担当者をともなってうかがうことになりました。その際の見積もりでは4トン車2台分もの量があり、荷造りから川口アーカイブスへの搬入まで全部で3日間かかる大オペレーションとなることが分かりました。
そして、その実行開始は9月24日と決まったのでした。
運び込んだ後、テープの中身をチェックし、内容を調べなければなりません。古い磁気テープは特殊な扱いをしないと、磁性体が剥離して再生ができなくなってしまったり、テープが切れてしまうこともあります。すべてを調べるにはおそらく1年以上かかるのではないでしょうか。はたしてどんな番組が発掘されるのでしょうか。このコラムでその後の経過もお知らせしていきたいと思います。

【あ】

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