No.311
2022.06.10
ドラマ
少年ドラマ完全再放送!『蜃気楼博士』全12回
「少年ドラマシリーズ」ファンの皆さま、お待たせしました!
なんと発掘したシリーズが一挙再放送されるといううれしいお知らせです。
その作品は…
『蜃気楼博士(しんきろうはかせ)』。都筑道夫さん原作の小説をドラマ化した作品で全12回。NHK名古屋放送局制作。1978年、44年前の1月に放送しました。
霊媒師・峠原忠明が行う守護霊を使った殺人実験。一方、超能力などありえないと断言する奇術師、ドクター・ミラージュ『蜃気楼博士』こと久保寺俊作。さらに事件の真相に迫ろうとする週刊誌記者・昭一と中学生・次郎の草間兄弟…そして驚きの結末。
各回の20分があっという間に感じられるほどテンポ良く次から次へと不思議な出来事が描かれていきます!きっと当時の少年少女たちをくぎづけにしたことでしょうね。
では、その放送予定です!
BSプレミアム で毎週月曜~金曜 午前9時から放送している『プレミアムカフェ』。
6月20日(月)、21日(火)、22日(水)の3日間、
毎日4話ずつ計12話をお楽しみいただきます。
▼第1話~第4話 6月20日(月)〔BSプレミアム〕午前9:00~ (再)翌 午前0:00~
▼第5話~第8話 6月21日(火)〔BSプレミアム〕午前9:00~ (再)翌 午前0:00~
▼第9話~最終話 6月22日(水)〔BSプレミアム〕午前9:00~ (再)翌 午前0:00~
皆さんと一緒にドラマを味わうのは少年ドラマシリーズに思い出を持つ2人のゲスト。
作家でコラムニストの泉麻人さんと映画監督で脚本家の犬童一心さん。少年ドラマシリーズをご覧になった世代ですが『蜃気楼博士』はお二人とも初めて!さて、スタジオではどんなお話が展開するでしょうか…!?
それではドラマを楽しむにあたって、登場人物を少し詳しくご紹介しましょう!
まずは『蜃気楼博士』久保寺俊作(井上昭文さん)。かつてアメリカでも有名なマジシャンとして活躍、“ドクター・ミラージュ”と呼ばれていました。心臓に持病があり、日本に帰ってからはマジックの表舞台には出ていません。超能力をことごとく否定します。
演じている井上昭文さんは2013年に他界されていますが、こちらには井上さんのNHKでの出演作品が紹介されています。
そして霊媒師・峠原忠明(剣持伴紀さん)。超能力で人を殺して見せると宣言し、テレビや新聞、週刊誌を巻き込み大実験を行います。そしてなんと本当に殺人事件が…!?
好奇心旺盛な中学生・草間次郎(田中健三さん)と、兄で週刊誌の記者・草間昭一(吉川淨さん)。実は今回の発掘はお兄さん役の吉川さんがこのホームページに書き込んでくださったことからアーカイブスへの登録につながりました!本当にありがとうございます。
さて最初の“殺人実験”はこちら…
「ロープで体を縛ることは出来ても、霊魂は自由だ」という峠原。
クローゼットの中にロープで縛られた状態で閉じ込められ、足元に短刀を置きます。短刀には昭一が書き込んだ印が。
「ある人物を、この短刀を使って私の守護霊が殺す」
というのが1つ目の実験、はたして…?
さらに2回目の実験はテレビで公開され、生放送で行われることに!
峠原はスタジオに設置した物置の中に縛られた状態で閉じ込められ、心拍数などの測定器具を付けて実験が始まります。今度の実験で使われる凶器は…
なんとライフル銃。2度の殺人実験の結果はいかに??さらに第3の実験も…。
そして本当に霊魂は存在するのか?
全12回、どの話も目が離せない展開が続き、子供たちをハラハラドキドキさせたことと思います。提供してくださった吉川淨さんが当時のことを教えてくれました!
「『蜃気楼博士』では“少し二枚目をやって”と注文を受け、根が三枚目なので非常にてれくさく、また“少しオーバーめに演技して下さい”という演出にはかなり抵抗を受けたのを覚えています。」
「今では当たり前ですが、このころから既に『自然で素のままの演技』がテレビ界では要求され始めていたからです。共演者の井上昭文さん、剣持伴紀さんも同じく“誇張したような演技”が要求され、苦戦されていた記憶があります。」
「当時のテレビカメラはレンズが広角・標準・望遠の3段切り替え式のものでしたから、アップの時はぎりぎりまでカメラが寄って来るので、これまた驚きとカメラを意識せざるをえないので大変でした。」
「『蜃気楼博士』は推理ドラマだったため、恐らく制作側の意図だったと思いますが、役者たちへの台本配布も1話ずつで、演じている私たちも誰がキーマンか分からないまま、いただいた台本の回を消化していました。原作を読めば分かったことですが、私に限らず共演者の皆さんはあえて読まなかったみたいです。これは打ち上げ時の後日談ですが…。
役者の立場としては敵対している共演者とはふだんから会話などは避けたりして演技に信ぴょう性を持たせようと努力するものですが、共演者は皆東京から名古屋に来ていましたので、ホテルや食事もほとんど同じ。いわば合宿生活みたいなものでしたから、共演者どうし自然に打ち解けました。プロデューサーから“いやに親しみが出てるね”と、演技では出てはいけないふだんの仲の良い素の部分が出て、NGがよく出ていたのを覚えています。」
「当時のビデオデッキは非常に高価で私のような駆け出しの役者にはとても手が届く品物ではありませんでした。ベータのデッキが20万円以上、住んでいた家賃の約20倍です。
でもどうしても自分の芝居を動く媒体で残しておきたくて長いローンを組み、分割で手に入れ、最初に録画したのが『蜃気楼博士』でした。でも録画を見て自己嫌悪に陥ったことは数えきれませんでした(笑)」
吉川さんには今回、全話再放送するにあたってのコメントもお寄せいただきました。本当にありがとうございます。
「NHKアーカイブス・番組発掘プロジェクトから私が出演した少年ドラマが全編再放送されるご連絡をいただき、正直驚きました。資料保存のお役に立てばと思い何気なく持っていた古いβテープを何本か送らせていただいただけのつもりでしたが、まさか全話再放送されるとは夢にも思っていませんでした。今からすごく楽しみです。
このドラマは主に小中学生を対象に制作された少年ドラマシリーズの作品でしたが、原作・台本がすばらしく、当時親御さんたちからも“先が読めないから毎回楽しみ”“毎日子どもと一緒に推理しながら楽しみに見ています”などなど、名古屋放送局宛てにたくさんのはがきやお手紙をいただきました。
当時熱心にドラマ制作に携わったたくさんのスタッフの皆さん、名優・井上昭文さんはじめ共演者の皆さん、またそれ以上に番組発掘に日夜情熱と意欲をぶつけてくださっているアーカイブス番組発掘のスタッフの皆さんのご尽力に、改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。 𠮷川 淨」
少年ドラマシリーズ『蜃気楼博士』に関してはこれまで2回、このホームページの「発掘ニュース」で取り上げています。そちらもご覧ください。
発掘ニュースNo.180 「40年前の少年ドラマ『蜃気楼博士』全12回発掘!」
発掘ニュースNo.264 「少年ドラマシリーズを動画でご紹介・第1弾!」
さあ!6月20日(月)午前9時から3日間にわたって始まる
少年ドラマシリーズ『蜃気楼博士』の完全再放送。
BSプレミアム『プレミアムカフェ』、どうぞお楽しみに!!