発掘ニュース

No.301

2021.11.19

情報番組

番組発掘プロジェクトが紹介されました!

「発掘ニュース」もついに300回を超えました!いつもお読みいただきありがとうございます。
今回は手前みそではありますが先日「番組発掘プロジェクト」が紹介された『どーも、NHK』(毎週日曜午前11時20分~総合テレビ)のご報告です。

ナレーション:番組発掘プロジェクトを進めているのは、埼玉県川口市にあるNHKアーカイブス。専門のスタッフが、未保存の番組の制作に関わった人たちや、出演者、情報を寄せてくれた視聴者に、家庭で番組を録画したテープが残っていないか、地道に聞き取っていきます。

家庭に残っていたテープに貴重な番組が録画されている可能性がある場合には、NHKアーカイブスに送ってもらいます。9月には、ある家庭から2000本ものテープが到着!
ベータテープや1/2オープンリールなど、現在は珍しいものばかり!背表紙には、1960年代や70年代に放送されていた番組の名前がびっしり書かれています。

「NHKに番組保存がない時期とちょうど重なっているので貴重な映像が収められていると思われます。」

受け取ったテープは、実際に再生。いつ放送されたものか、アーカイブスに保存されているかどうかなどを、詳しく調べます。

世界初の家庭用ビデオ“1/2オープンリール”。再生すると…「四つの目」という番組が録画されていました。今から50年以上前の、青少年向け科学番組です。

「シャーレの中に今にも芽を出しそうな大豆を入れてフタをするんです。 どうなるんでしょう、これは“時間の目”で見てみましょうね。」
6年間放送しましたが、これまでアーカイブスに保存されていたのは1本だけ。
今回送られたテープの中には、数十回分が録画されているとみられていて、初期の科学番組を知る上で貴重な資料になります。

2000本のテープを送ってくれたのは眼科医の安達京(みさと)さん。実家の父親が録りためていた番組のテープを半世紀以上、大切に保管していたのです。父の耕三さんも眼科医。日中は忙しく時間がなかったので、好きな番組を録りため、診察後に見ていたといいます。

「いつもテレビが3台並んでいて、3台とも全部録画して何回も再生して見ていました。私のために『四つの目』とかも録ってくれたりしていました。父が他界してからこのままテープを眠らせることなくこういう機会を頂き、こちらこそ良かったなと思います。」

プロジェクトには、“あの番組をもう一度見たいので発掘してほしい…”という声が多く寄せられています。その声に応えて、重点的に発掘をしている番組もあります。

その一つが、1979~80年まで放送したアニメーション紀行『マルコ・ポーロの冒険』。当時、アニメーションとドキュメンタリーを組み合わせた新しいスタイルが話題を呼びました。

43回シリーズのうち、NHKに残っていたのは2本のみ。プロジェクトでは3年前から本格的に発掘を開始し、原盤となる16ミリのネガフィルムを“全巻”発見しました!
しかしそこには、映像しか記録されていませんでした…。

音声の記録はないか?関係者に聞き取り調査をし、粘り強く交渉を重ねて、家庭で録画されていたテープを提供してもらいました。そしてこの夏、ついに全話分の録画テープが集まったのです!

家庭で録画されていた音声と、16ミリフィルムの映像を組み合わせれば、復元できる可能性があります。

テープを提供してくれた一人、上田和佳子さんは現在オランダ在住。『マルコ・ポーロの冒険』を見たことがきっかけで、アニメーターの道を目指すようになったといいます。

「どういう仕事をするか方向を決めた作品なので…。当時の制作会社に連絡をとってアニメーターになったんです。思い入れがあってずっと大事にしてきました。 こういう(発掘)プロジェクトは大々的にやってほしいと一ファンとしては思います。」

こうして集まった番組のうち、新たにアーカイブスに登録されたのは現在およそ12000本。中には、修復をほどこし再放送された番組も!

『連続人形劇 プリンプリン物語』。1979年から82年まで全656回が放送されました。多くの人に愛された番組ですが、NHKには3分の1程度しか残っていませんでした。

視聴者や当時制作に関わった人たちが、家庭で録画していたテープを寄せてくれたことで、残るはあと1本のみとなりました。

提供してくれた視聴者の一人が、プリンプリン物語の一部が再放送されたあと、こんな手紙を寄せてくれました。(お母さまのひとみさんが『プリンプリン物語』の大ファン、息子の裕介さんがホームページに投稿、発掘にいたりました。)

「ああ…もっかい ちゃんと人形たちが歌ってるとこ 見たいなあ…とにもかくにも命あるうちに、どうか一刻も早く 続きを放送してください!!」

プロジェクトではラジオ番組の発掘も行っています。今、ラジオ第一では、愛好家や関係者の協力で発掘された音源を中心に紹介する番組を毎月放送しています。

「発掘!ラジオアーカイブス」(毎月最終土曜13時5分~ラジオ第1)、10月は三木鶏郎さんのラジオ番組の数々をお届けしました。三木鶏郎さんは、作詞家・作曲家、放送作家として戦後のラジオ界に旋風を巻き起こした方。戦後間もない昭和20年代の貴重な発掘音源は、三木鶏郎さん自らが保存していたものでした。

「発掘プロジェクト、地道な作業ですね~。でもこうして大切に保管してくださっている方のおかげで自分の親や祖父、祖母が当時どんな番組を楽しんでいたのか時代を越えて私たちも触れることが出来るのはとってもうれしいことですし、少しずつ増えていくと良いなと思います。」

いかがですか?番組発掘プロジェクトの活動の裏側が少し分かりましたでしょうか?
では最後に、今回『どーも、NHK』の中で紹介された、埼玉・川口にあるNHKアーカイブスからのメッセージです!

「まだまだ発掘されていない番組が多く残され、視聴者の皆様からも昔の番組に対する思い出や、もう一度見たいという声をたくさんいただいております。こうした視聴者の皆様の期待にこたえるためにも、発掘プロジェクトとしては引き続き粘り強く発掘作業に取り組んでいきたいと考えております。」

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