発掘ニュース

No.289

2021.04.09

情報番組

16秒半で検温完了!これが48年前の電子体温計

コロナ禍で毎朝、“体温計”を使っているという方も多いかと思います。今回の発掘ニュースは、その“体温計”の歴史を感じる一本、『みんなの科学』「技術のあゆみ 電子体温計」(1973年放送)です。

現在は一般的になった『電子体温計』。ちょっと大きめの測定器に見えるこちらが、1973(昭和48)年当時の電子体温計です!懐かしいトランジスタラジオのようにも見えますよね。

私たちが子供の頃の『体温計』というと…

こちら『水銀体温計』です!
「10分くらいじーっと押さえておく必要があるんです、正確な体温を測定するためには。」
そう、たしかに温度が上がりきるまでには10分ほど時間がかかるんですよね。

そして体温計をリセットして温度を下げるためには、体温計を振らなければなりません。ぶつけて割ってしまうことも…。そうした水銀体温計に代わるものとして現れた『電子体温計』、その元祖がこれです。

「10分かかったものが15秒くらいで測れるんです。棒の先端に体温を測るところがあります。これを口の中、舌の下へはさんで口を閉じてください。」

「出ました!36度5分、所要時間は16秒半。非常に速く測れるのと、数字で結果が出ることで目盛りの読み違えなんてことが無いんです。この体温計を作った篠田昌幸さんにお話を聞きましょう。」

番組に出演して『電子体温計』の仕組みを説明しているのは篠田昌幸さん。篠田さんのご家族から今回ビデオを提供いただきました。ありがとうございました!

★電子体温計の仕組みは…?

篠田さん「普通、水銀体温計で私たちの体温を測る時は、わきの下に体温計を挟んで3分計ですと青い線をたどるように水銀体温計の目盛りが上がっていきます。もうこれ以上あがらないという飽和点に達するのに10分かかるんです。」

このグラフを使って体温を“予測”するのが、電子体温計です。

測り始めから1秒後の体温T12秒後の体温T2、この2つを元にして3を計算します。つまり体温を測り始めた数秒間の情報から10分後に安定した状態になったときの体温を、計算によって“予測”して表示するということです。

いかがですか、理解できましたでしょうか?いかにも『みんなの科学』という科学番組らしい紹介で、このあと電子体温計の内部も見せてくれます。

篠田さん「棒の先の部分が温度のセンサー『サーミスタ』。熱の変化を抵抗の変化に置き換えて、その変化量を電子回路に伝えて計算、最終的に数字に置き換えて表示します。」

「一番の強みはこのLSIと申しまして、最近の電子計算機などにもふんだんに使われています。これを採用したために非常に小型になり安定して表示できるようになりました。実は、大きさや重さの半分以上を取っているのは電池なんです。」
泉さん「もっと、もっと小さくすることは出来るんでしょうか?」
「現在の電子技術ではこの程度が限度かと思います。」

番組ではさらに、当時最新の体温計を次々に紹介しながら“未来”を語っています。

★48年前の“最新”技術は…?

液晶を使った体温計は、液晶の丸いシールを肌に貼り付けて色の変化で体温を推定するもの。温度によって色が変わるという液晶の特徴を利用した体温計で、色をカラーサンプルと比較しておおよその体温が分かります。3段階くらいの違いしか分からないのが弱点。

こちらは口の中に入れて、色が変わった部分の数を数えて温度を測る体温計です。華氏で表示され、使い捨てとのことです。

温度カプセル。口から飲み込んで、体内を回っていく過程でカプセルの中の温度センサーがとらえた温度を発信し、体外にある受信機で測定します。医療用の精密な体温計です。

ガストロサーモメトリー。胃カメラの先端に温度計が付いていて、胃の微小な部分を100分の1度という精密な温度で測定することが出来ます。胃の潰瘍の温度分布を調べて診断に使おうというものでした。

★電子体温計の“未来”は?

さて『電子体温計』、どんな改良が加えられたら一般の人たちも使えるようになるのか?という質問には…
「まず、もっと安くならなければなりませんね。いま5万円程度ですから、とても一般家庭では使えません。はるかにコンパクトになって安くならなければなりません。」

今から48年前の体温計のお話いかがでしたか?このあと10年もしないうちに家庭用のコンパクトな電子体温計が開発されて現代に至っています。
科学番組の発掘は、科学の歴史を掘り起こすことでもあります。テレビが伝えた当時の最新技術、今後も発掘していきます!

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