発掘ニュース

No.274

2020.09.04

バラエティー

『お笑い三人組』発掘!91歳の金馬さんも感激!

今回は63年前に放送した人気公開バラエティー番組『お笑い三人組』の発掘です!
左から江戸家猫八さん一龍斎貞鳳さん、そして三遊亭小金馬さん(四代目三遊亭金馬さん)、この3人を中心に“あまから横丁”を舞台に毎週生放送で楽しいお芝居をくり広げました。

昭和30年からラジオで、31年からはテレビでもスタート、10年余りにわたって放送されましたが、アーカイブスに保存されている番組は3期あったシリーズ3期目の2本のみでした。(昭和39年3月3日「東おとこに京おんなの巻」、昭和41年3月15日放送「きょうは引っ越しの巻」)

今回発掘された映像は、『お笑い三人組』がテレビでの放送を開始しておよそ1年後の貴重な映像!第1期シリーズ「ドライブ熱の巻」(昭和32年10月8日放送)です。アーカイブスに保存された『お笑い三人組』最も古い映像となりました。

三人組の友だち、ミー子ちゃん美子ちゃんお花ちゃんの3人が秋のドライブに行ってみたいと井戸端会議をするところからお話しがスタート、当時の日常の中に起こる何気ない騒動が面白おかしく描かれます。

1957(昭和32年)当時の世相も…

美子ちゃん「何見てたの?」
六さん「珍しいもの、ほら五千円札!」
美子ちゃん「まあ、これが今度発行された五千円札なの?私ね、うわさには聞いてたけど初めて見るわ。もっとずっと大きいのかと思ってたら、案外小さいのね。」
六さん「そう、千円札と同じくらいの大きさだよな。…だけどこんな紙切れ1枚が五千円だって驚くね。同じくらいの大きさだってハガキなんか1枚5円だよ。新聞は8円でこんなに大きいよ。」

放送の1週間前に発行が開始されたばかり、新しい五千円札の話題です!
さすが生放送!

レギュラー出演者のほかに毎回、野球選手、力士、歌手、俳優など様々なゲストが登場、この回では、宝塚歌劇団出身、大河ドラマ『春日局』などにも出演した俳優の上月左知子さんが高級自動車販売のセールスウーマンを演じています。

これまで保存されていた2本には無い“貴重な発見”も!

番組冒頭では、芝居に入る前に当時の小金馬さんがお茶の間に向けて挨拶を…
「皆さんこんばんは。僕、酒屋の金ちゃんです。もう10月も半ばっていうと秋も真っ最中ってとこですね。ピクニックでも、ハイキングでも一番いいシーズンでしょうね。今も“あまから横丁”の角ではお花ちゃんたちが集まって、その噂に余念が無いんです。」

「アハハ、ウフフ…」の始まりで覚えているファンの方も多いテーマ曲(作詞:名和青朗、作曲:土橋啓二)は、曲調、歌詞が少し変わっていることもわかりました。ちなみにテーマ曲は、後に民放の志村けんさんのコント番組でも替え歌で使われました。

セットも、これまで映像が保存されていた後期のものと比較すると、背景が絵になっている簡易的なもので(酒屋の店内の一升瓶も絵ですね)、このフィルムの発見によって番組の変遷を見てとることができます。

この映像は、神戸市にある民営のフィルムアーカイブ「神戸映画資料館」から提供いただきました。神戸映画資料館には18000本以上のフィルムが保管されていて、民間の映画資料館としては国内最大規模です。これまでも貴重な映像が数々発掘されていて、NHKスペシャル『映像の世紀』でも映像の提供を頂いています。フィルムは館長の安井喜雄さんが長年かけて集めてきたコレクションですが、近年では神戸大学などの研究者による調査も行われているそうです。ご提供ありがとうございました。

今回は、資料館に保管されていた16ミリフィルムの劣化部分を修復したうえでデジタル化、半世紀以上前の映像がよみがえりました!フィルムが63年間どの様な経緯で神戸映画資料館にたどり着いたのかは知る由もありません。しかし、フィルムは保存環境によっては経年劣化で映像が消失してしまう事も考えられますので、復元可能な状態で見つかったのは幸いでした。

なんと、三遊亭金馬さんが映像とご対面!

今回発掘された『お笑い三人組』金ちゃんを演じていた三遊亭小金馬さん
現在の三遊亭金馬さん91歳、2年前に脳梗塞で倒れましたが、懸命のリハビリの末、高座に復帰され今も現役です!

8月には、無観客の中で動画を収録し配信する、初めての“オンライン落語”に挑戦!

「NHKさんが放送を始めた当初は、ラジオのスタジオっていうと誰もいないところで、笑ってもくれない中でマイク相手に落語をやってたんですから。…お客さんに忘れられないようにお目通りできる機会があればどこへでもうかがいます。」
と、お客さんが目の前にいないオンラインでも、落語が出来る喜びを語る金馬さん。

その“オンライン落語”の収録が行われた江戸東京博物館にお邪魔し、懐かしの映像とご対面いただきました!

まず発掘されたフィルムを手にした金馬さんは、「もしかして南極に行ってたフィルムじゃないだろうねぇ。」と一言。かつて娯楽の少なかった南極で楽しんでもらおうと、NHKが南極観測隊にフィルムを提供した記憶があると話してくれました。

そしていよいよ63年ぶりの対面…!

「これは古いよ!こりゃ、うん」映像をご覧になった金馬さん、まさか今になって映像が見つかるとは思ってもいなかったようで感激の様子でした。発掘された放送回に出演していたのは28歳当時。「若いこと、みんな!当たり前の話だけど。」

まだ“真打ち”になる前の“二ツ目”の時代に『お笑い三人組』に出演し大人気となった
金馬さんには、先輩たちからの反発もあったといいます。

「落語一本でもってできねぇようなヤツじゃしょうがねぇとかね、みんなに言われましたよ。“くだらねぇ芝居なんかやったりして駄目だあいつは”なんて言われたけど、本心は自分たちも(テレビに)出たいんです。そんなこと言ってる連中も、のちに映画やテレビに出てましたから。その先駆けというか。」

「先代(三代目金馬さん)も『何をやったっていい、芸人は売れなきゃ芸人じゃない。売れるんだったら何やったっていい、でも噺家なんだから噺は稽古しろ』って。これだけはちっとも守ってなかったね(笑)」

今月(9月)には息子で弟子の金時さんに“金馬”の名を譲り、自らは三遊亭金翁として引き続き高座をつとめ続けるということです。
「落語家は人前で落語がしたい、そのためには何としてでも生き延びなきゃいけないって思ってんじゃないですか。だから、ただ元気だったらお客さんに噺をきいてもらえる。皆さんも集まって聴けるような、そういうふうになってほしいと思うんです。コロナを克服して、皆が集まって顔をつき合わせて噺ができるような世の中になりたいですね。」

今回発掘された『お笑い三人組』放送のおよそ5か月後、三遊亭金馬さん(当時の小金馬さん)は真打ちに昇進日本を代表する落語家の一人として成長していきます。

金馬さんにとって大きなステップとなった『お笑い三人組』今回の発掘はNHKの番組の歴史を探る上でも貴重な一本となります。神戸映画資料館さま、ご提供いただき本当にありがとうございました。せっかくの発掘、皆さんに全編をご覧いただける機会を作れるよう検討してまいります!

思い出・コメントはこちら

ページTOP