発掘ニュース

No.237

2019.07.05

音楽

18000本の番組テープを提供、桐生の安部さん訪問!

4月から始まったラジオ第1の新番組『発掘!ラジオアーカイブス』(毎月最終土曜日放送)、第3回が先日6月29日に放送されました。皆さんお聞きいただけましたか?

今回は没後30年となった美空ひばりさんのロングインタビュー『この人に聞く 歌手 美空ひばり』(1988年)を放送しました。病から復帰し「復活コンサート」を2か月後に控えたひばりさんが、“命懸けでやる”というコンサートへの意気込み、亡き母への思い、そして入院中に考えていたことなどを力強い口調で語った貴重な音源です。

そして今回の『発掘!ラジオアーカイブス』は2部構成、後半は『発掘現場探訪記』
この人が訪ねました!

番組の“管理人”として発掘された音源をご紹介している神門光太朗(かんど こうたろう)アナウンサー!第1回に放送した『若い広場』、第2回の『夜のサスペンス』どちらも提供してくれた安部さんとはどんな方なのかを探る探訪記です。

まずは埼玉県川口市にある「NHKアーカイブス」に来た神門アナ、保管庫の一角で…

「あれ!この付箋紙に桐生って書いてあります。桐生1から桐生4の棚がありまして、そこに入っているのが、ラジオのいわゆる6ミリテープです。箱の色合いが様々、青だったり紺だったり緑だったり黄色だったりひとつ取り出してみます…。」

「ちょっと箱を開けてみましょうか。うわ~。6ミリのオープンリールのテープですが、色が茶色くなってまして…安部って書いてますよ、ラベルのところに。提供してくださった安部さんですね。桐生・安部、このキーワード。群馬県桐生市の安部さんのところへ行ってみましょう!」

…ということで、群馬県の桐生市にやってきた神門アナ。

安部さんは、およそ1万8000本もの番組テープをアーカイブスに提供してくださった方!そのうち、ラジオは7515本で、1本のテープには複数の番組が収録されていますので、番組数に換算すると6万6911番組にも及びます。その安部さんとご対面!

安部直弘さん87歳です。まずは、NHKのラジオ番組を録音し始めた経緯を話してくださいました。

「私は高等学校の教員でした。昭和34、35年頃でしょうか、群馬県放送教育委員会からの指定校に私の勤める桐生市立商業高校がなったんです。指定された学校は研究授業というのをやらされるわけですね。研究授業っていうのはNHKさんが出している放送のなかから選んで生徒に聞かせて、それを教育の手段のひとつとしてやるというもので、国語があったので、私やりますって言ったんです。15分の番組ですね。それを聴き始めたら、やっぱり面白いんですよね。」

研究授業の一環として、NHKラジオで放送していた番組を生徒に聞かせるために録音を始めた安部さん。『地方に居ながらも東京と同じものを、放送を聴くことで感じてもらいたい』という思いがあったと言います。

「東京にいれば非常に便利でしょ。博物館もあり、美術館もあり、それからお芝居もお金さえ出せばなんとか見られる。ところが地方にいる人間は、ある意味NHKさんなどに頼って、放送という手段でやっと間接的に鑑賞できるという宿命がありますよね。 地方の人間というのはやっぱりいろんな渇望、のどが渇いて水を飲みたいというのと同じように、文化的なもの、学問的なもの、そのほか実感できそうなものを、放送を通して体験するしか方法がないと。」

生徒のために始めた録音…。しかし当時NHKが番組保存に熱心ではなかったことを知った安部さんは、いつからか、NHKで放送した番組を“保存すること”が目的になっていったと言います。

「NHKは当時保存していなかったわけですよね。じゃあ私がやってやるぞという気持ちでした、やっぱり残さなければ。図書館に本があるのと同じで一種の文化財として利用価値のあるNHKのラジオ放送、テレビ放送をできるだけ収録したいと。自分ひとりではどうにもならんだろうという思いはあったけれども、やめなかった。

どうしてこんなにNHKの音と映像に入れあげちゃったんですかね。自分でもよく分からないところがあるんです。ただそれは、地方に生まれて実物に接することがなかなか難しかったから、それに近いものをできるだけ手に入れたいと。」

「一生懸命録って、いずれはNHKに寄付したい。そういう気持ちがありました。だから僕はNHKアーカイブスで保存し、かつそれを使えるようにしてくださるというのは、私の方から感謝申し上げます、ありがたいです。」

神門アナ「こちらこそ、本当にありがたいです。『発掘!ラジオアーカイブス』という番組で、安部さんにご提供いただいたテープから発掘した番組を放送したんです。」
安部さん「土曜日でしたかね?1時05分?聴きましたよ。」
神門アナ「いかがでした?喋ってたのが私なんですよ。神門と申します。」
安部さん「そうでしたか~!ごめんなさいね。いや~本当に嬉しいですなあ。」

安部さんがNHKに提供してくださった1万8千本ものテープは、本当に貴重なものです。
私たちは、安部さんが長い年月を掛けてご尽力くださった録音の数々を、大事に大事に扱いながら、放送につなげていきたいと思います。

安部直弘さん、本当にありがとうございました!!!

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