発掘ニュース

No.236

2019.06.21

ドラマ

追悼“ミラーマン”石田信之さんからの色紙と手紙

発掘でお世話になった俳優の石田信之さんが先日6月13日に亡くなられました、68歳でした…。70年代初めに特撮ヒーローとして子供たちに人気だった『ミラーマン』。そのミラーマンに変身する鏡京太郎を演じていたのが石田さんでした。

こちらが石田さんから提供いただいたテープです。ミラーマンから2年半後、1975(昭和50)年4月放送の銀河テレビ小説『霧の視界』全20回が、Uマチックテープ6本に丁寧に収録されています。

Uマチックの録画時間は1本およそ60分。銀河テレビ小説は一話20分。第2話以降はテーマ音楽の部分を省くなど節約をしてギリギリまで収録したようです。ちなみにUマチックテープは当時の値段で1本1万円でした。

メモ欄には一話ずつあらすじが書かれ、石田さんがこのドラマを大切にしていた様子がうかがえます。テープの背表紙やメモの文字はすべて石田信之さんの自筆です。

銀河テレビ小説の出演者の皆さんにお声をかけていた中で発掘されたのは一昨年の秋。 癌と闘いながら入退院を繰り返している中で、発掘ニュースの取材に応じて下さいました。当時、すでに癌であることを公表されていましたが、発掘ニュースNo.171では病気のことには特に触れず、発掘された銀河テレビ小説『霧の視界』の思い出や、デビュー当時のお話をご紹介しています。

父親の再婚相手(星由里子さん)を好きになってしまい、心揺れる大学生を石田さんが好演している『霧の視界』。石田さんがこの作品20話すべてを録画した理由は、このドラマへの思い入れが非常に強かったからでした。その時は保存などという気持ちは全くなく、まさかNHKにも残っていないとは思わなかったそうです。

実はもう1本、石田さんが心に残っているNHKの出演ドラマがありました。『ふりむくな鶴吉』第11話「風ぐるま」(1974年12月27日放送)。その録画ビデオもあるはず…と探してくださったのですが、残念ながら見つかったのはこちら…

第3話「長い夜」の終わりの部分、約3分。上書きで録画した後の、いわゆる「消え残り」です。これはあくまでも想像ですが、ご自分が第11話に出演するにあたって他の回をチェックしておくために録画なさっていたのではないでしょうか…?
第11話に関しては「きっと家の中のどこかにあるはず」と話してくださっていました。

番組発掘後、石田さんからいただいた色紙とお手紙です。

「鏡の国から」「鏡京太郎」そしてミラーマンの絵が描かれた色紙。手紙には…

「大変お世話になっております。こん回のVTR、お役にたてれば幸いです。寒さ一段と厳しくなってまいりました。お体ご自愛くださいませ。近々お会いしたいですね。
石田信之」

発掘取材の際も、気配りを忘れない優しい方で、まさにヒーローでした。

「自分はミラーマン。」癌をミラーマンの宿敵“インベーダー”になぞらえて6年あまりにわたり闘病を続けてきた石田信之さん。心からお悔やみ申し上げます。そして提供いただいた『霧の視界』はNHKアーカイブスの中で末永く保存してまいります。本当にありがとうございました。

思い出・コメントはこちら

ページTOP