No.229
2019.04.12
スポーツ
1958年ラグビー「オールブラックス」対「全早大」発掘!
今年は日本でラグビーワールドカップが開催される記念の年!
日本のラグビーの歴史を知るうえで貴重な発掘を、今回はご紹介します。
左側の黒のユニフォーム、胸元にはニュージーランド固有のシダ植物、シルバーファーン(銀シダ)をあしらったニュージーランド代表チーム「オールブラックス」(23歳未満の代表でしたが“オールブラックス”として来日)。一方、右側はモノクロのため分かりづらいですがエンジと黒の縞模様、今も変わらぬ「早稲田大学」のユニフォームです。
これは1958(昭和33)年2月23日放送、日本とニュージーランドの国際ラグビー第一戦「オールブラックス」対「全早大」の中継映像です!この試合に出場していた日比野弘さんから提供いただいた大変貴重な発掘です。
実況アナ「早稲田が反則を得てこれからゴールを狙います。スタンドオフの新井です。」
というこのシーンから映像は始まります。2時間番組のうち残されているのは約1時間9分で、番組冒頭は欠けているようです。
実況アナ「入りました!ペナルティーゴール成功してオール早稲田、3対0とリードしました。前半の9分であります。」
解説者「先取点を取っただけに、早稲田としてはここで大きく意気が上がるというところですね。」
このオールブラックスは23才未満の若手チームとはいえ、世界トップの強豪相手に先取点!さらに…
「スクラムハーフの宝田!新井にいった…!」
「トライ!!トライなりました、14番の日比野!11分であります。早稲田6対0とリードしました」この映像を提供してくれた日比野さんのトライです!
それにしても、前半10分余りでリードを広げるという素晴らしい出足!
ラグビーに詳しい方はお気づきかと思いますが、当時はトライでの得点が3点だったのですね!(現在は5点)
前半、後半それぞれ40分で戦うラグビー、画面の左上には5分ごとに経過時間が表示されます。“経”の字が省略形なのが時代を感じさせます。さらに両チームの得点表示は点が入ったときに大きく表示されるだけ。ラグビーやスポーツ中継の歴史も分かる発掘です!
視聴者の皆さんに、分かりやすく試合を見てもらうための工夫も…
オールブラックスの最初のトライを決めたウォルシュ選手を紹介する映像。選手の頭の左上に白い矢印があるのが分かりますか?選手が動くのに合わせて矢印で指し示し実況アナウンサーが情報を伝えます。今から60年前にこうした工夫がすでにされていたのですね!
実況や解説コメントの中にも時代を感じます!
実況アナ「ああいう低いスクラムというのは一貫して押すというのは難しいんでしょうね。」
解説者「やはり疲れますからね。3貫目の違いというのは大きいですよ。1人3貫目で8人でだいぶになりますからね。」
体重や身長を尺貫法で表現していました!
1貫が3.75キログラムなので…3.75×3×8=90キログラムの違いということですね。
「18番はミーズであります。ニュージーランドでも一番大柄な選手でありまして、6尺3寸4分、26貫900、たまったものではありません。投げ飛ばされました早稲田の選手。」。
観客席は2万5千人の観衆で超満員、立ち見のお客さんも出るほど!ラグビー、そしてオールブラックスの人気が想像できる映像、そして実況です。
「よく入ってますねぇ、どうでしょうこのお客様。(昭和)22年に完成いたしました秩父宮ラグビー場、切符の売れ行きから見ておそらく、ラグビー場始まって以来の入りじゃないかと言っていましたが確かにそうですね。」
試合は地力に勝るオールブラックスが着実に点を重ね「全早稲田」12対33「オールブラックス」でノーサイド。しかしオールブラックス本来の切れ味の良いオープン攻撃を封じ、早稲田が善戦した試合でした!
その中でも映像を提供してくれた日比野さんは…
「早稲田のチャンス!ウィングの日比野、日比野突進!抜けました、つかまりました。日比野の突進ならず。先ほども猛烈に50ヤードくらい走りました日比野。今また50ヤード近く走りまして、まさに快走に次ぐ快走!」と大活躍、この試合で早稲田の2回のトライを決めたのはどちらも日比野さんです!
オールブラックス(23歳未満代表)はこの全早稲田のほか、日本代表、全大学選抜などと試合をし、9戦全勝という強烈な強さを日本のラグビーファンに印象付けたそうです。
ラグビー、そしてスポーツ中継の変遷を知るうえでも重要な、今から61年前の番組の発掘です!日比野さん本当にありがとうございました!