発掘ニュース

No.162

2017.07.28

ドキュメンタリー/教養

早野凡平さん家族総動員の『レンズはさぐる』!

前回に続いて早野凡平さんのご家族から提供された科学番組『レンズはさぐる』です。

今回は『ウルトラ アイ』『トライ&トライ』、そして現在の『ガッテン!』にも通じる体を張った実験や工夫を凝らした撮影方法などを発掘映像から見ていきましょう!

まずはこちら!

「コケー、コ、コ、コ、コ!」凡平さんのニワトリの物まねから始まったこの回、1977年3月放送の「卵をかえす」

凡平さん「山下さん、コ、コ、コ、コ、ニワトリが卵を温めてかえすのに幾日くらいかかると思いますか?コケー、コ、コ。」
山下さん「知りません、そんなこと。」
凡平さん「僕はね、ニワトリが卵を温めているときの、あの幸福感、そして緊張感、一度味わってみたいと思っているのよ、コケー、コッコ!」

そう!凡平さんのお腹で温めた卵がかえるかどうかの実験です。

卵が4つ入る特製の腹巻を準備。凡平さんが四六時中温めるという作戦です。もちろん科学番組だけに、さまざまな科学的アプローチも!

例えば赤外線を用いた温度計で凡平さんとニワトリのお腹の温度を調べてみると…ずいぶん違いが!はたして凡平さんの卵はかえるのでしょうか??

受精卵を提供してくれたのはこのニワトリ!

鉛筆でA、B、C、Dと印をつけた4つの卵を凡平さんが温めはじめます!

もちろん仕事のときも、寝ているときも、何をしているときもお腹に特製腹巻をつけて温め続けます。

凡平さんが卵を温め始めて12日目!同じときに、ふ卵器で温め始めた卵に比べると成長は遅いのですが、光を通して卵の中の様子を調べる検卵器で見てみると…

“C”の卵だけがぼんやり赤く見えています。成長している印、卵全体に血管が伸びてきていることを示しています。

凡平さん「ヒヨコになるまで温めた方が良いでしょうか?」
先生「それも考えたんですが、そろそろ、ふ卵器に入れてあげたほうが良いのではないでしょうか。」
凡平さん「それは私の名誉ということではなくヒヨコのためにですね。」
先生「そうですね。」
凡平さん「私もかえしてみたいという気持ちは大きいんですがね…」

ということで、卵のためには凡平さんのお腹では限界という判断。ここからは「ふ卵器」で!

普通、ニワトリの卵は21日間でヒヨコにかえるそうですが、遅れること4日…

温度が38度に調節されたふ卵器で、Cの卵に変化が!殻を破り始めてからおよそ10時間、無事にヒヨコが誕生しました!生まれたてのヒヨコの毛はまだ濡れています。

凡平さんとふ卵器のリレーで誕生したヒヨコがスタジオに。凡平さん、本当に嬉しそうです。4個の卵のうち、結局かえったのはCの卵1つでした。
凡平さん「とっても可愛いの、何でも好きなもの買ってやるからね。それから名前付けてやろうかな。『レンズはさぐる』で生まれたヒヨコだから“レンコちゃん”」
山下さん「親バカなんだから…」

凡平さん本人が体を張ったリポートをしているだけではありません。ご家族も総動員!

海辺の生き物を探る回では家族揃って潮干狩りに行ったり、土の中の微生物を研究する回では自宅の庭がロケ地。息子の智之さんと土を採取していました。

さらに1976年4月放送の「われらサル族」。この回では、サルの仲間と人間の似ている点や違いを、レンズを通して探っていきます。

この回には、凡平さんの娘の明子ちゃんが登場!このとき4歳半。同じ年齢のチンパンジーのパンジー君と体重や身長を比べたり、人間代表として大活躍!

歩き方を比べるコーナーでは…

パンジー君が、足の裏に墨を塗って紙の上を歩いて足型を取り、そのあと明子ちゃんが同じように足跡を付けます。

分析をしているナレーションはこんな感じです… 「ほー、パンジー君は親指と他の4本の指の間がずいぶん開いてるねぇ。ちょうど人間の手に似ているぞ。…明子ちゃんはそれぞれの足をまっすぐに運んでいる、だけどチンパンジー君は片方の指と指の間に次の足のかかとが来てるね。」

このナレーションも『レンズはさぐる』の魅力のひとつ!ナレーター小林恭治さんの温かみのある語り掛けがピッタリはまっていました。『ウルトラ アイ』でも続く小林さんのナレーションは『レンズはさぐる』の時にすでに確立されていたことが分かりました。

さらに斬新な試みを2つ…

なんとチンパンジーの手相を見てもらうという企画。
「真ん中の運命線というのが一本ずっと伸びてるんです。非常にこのサルは優秀ですね。人間なら大政治家になるかもしれない…。」といった具合です。

さらに…

伝説の芸人・マルセ太郎さんが登場!形態模写を通じてサルの歩き方の特徴に迫ります。

早野凡平さん、そしてご家族が大切に残してくれたビデオテープには、NHKの科学番組がたどってきた歴史の貴重な足跡が記録されていました。

これまで『ウルトラ アイ』が一番の転換点かと思われていましたが、すでに『レンズはさぐる』の時代から数々のチャレンジが試みられていたことに感激しました!

凡平さん、ご家族の皆さん、本当にありがとうございました!!

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