発掘ニュース

No.153

2017.05.19

趣味/教育

コント番組?いえ、英語講座のパイオニアです!

入学、新学期…新しい生活が始まった4月から1ヶ月あまり。
「今度こそ○○語をマスターするぞ!」と気合を入れてNHKの語学講座を始めた方も多いと思います。三日坊主になっていませんか?頑張って続けてくださいね!

さて今回は、そんなNHK語学講座のパイオニアともいえる番組の発掘です。こちら…

『A STEP TO ENGLISH』という1972(昭和47)年放送の英語講座です。写真のデニー・エングルマンさんをはじめ、数人の外国人出演者がドラマ形式で英語のフレーズを教えてくれます。何がパイオニアかって、そのドラマがなんともいえず面白いのです!

この日のテーマは「How old are you?」。登場したのはこの方…

俳優の沼田爆さん、当時32歳。外国人出演者と一緒に、毎回コントのようなドラマを演じてくれます!まずご紹介するスキットは、今日が誕生日というKimさんを訪ねる設定です。

「Hi! Kim.」
「Hi! Baku.」
「Happy birthday, Kim.」
「Thank you!」
「This is a present for you.」
「Oh!」

箱を開けてみると…

「Oh, it’s beautiful! It’s a Japanese doll(ジャパニーズ ドール)!」

「はぁ?ジャパニーズ・ドル?
Excuse me,Kim.え~、あの~、日本はドルじゃなくてね、円を使うんですよ。」

「Baku-chan, wait a minute.」

1ドル札を持ってきたKimさん…
「This is a ドール.And this is a ダラー, “one ダラー”.」

「あっ、ちょっと違うのね。“どる”して、どうして…」
「…」

「Baku-chan ! By the way, how old are you?」
「へっ?どうしてこんなところで新しい言葉が出てくるのかしら…?」

爆さんが向かったのは、困ったときに助けてくれる“助っ人”!

コンピューターです!手作り感満載、なんてったって昭和47年ですから。

「なんて言ったっけかな~?ハウ、メニー…じゃあないんだよな。ピピピのピっと!」

「はい、コンピューターです。何を悩んでるのですか?そんな歳して。」
モニターに映ったのは流暢な日本語を話す外国人女性の顔、結構きつい言葉のコンピューターです(笑)
「よしてくださいよ~」

「How old are you? が分からないのでしょう?How many lemons? は先週やりましたから大体の使い方はわかるでしょ?How のこと。」
「えっ、えっ、なんとなくね。」
「では、どのような時に使いますか?」

「それはですね、How many lemons.というのは、ものの数をたずねるときに使います。」
「その通り!How old are you? は、どれだけ歳をとっているか、すなわち何歳ですか?という意味であります。」

「なんだ、それだけ。それじゃ、私の歳は15っていうときは?」
「I’m fifteen.」
「簡単なんですね!」

「じゃあね、バイバイ!」
…と消えてしまうコンピューターの女性。

「あれ行っちゃった?残念だなぁ、How old are you? ってさ、コンピューターに聞いてあげようと思ったんだけどな。」
「うら若き女性の歳など聞くもんでない!」
「スイマセン!」

こんな風にクスッと笑えるコント形式のスキットが20分の番組の中に10あまり。ほとんどに沼田爆さんが登場します。ユーモアのあるスキットを題材にして学んでいくという形式は今ではオーソドックスですが、この番組はそのパイオニアともいえる存在です!

そんなスキットのほかには、英語の歌のコーナーが…

登場したのは当時人気音楽番組だった『ステージ101』で、歌や踊りを担当していた人気グループ「ヤング101」。教育テレビもこの頃から色々なチャレンジを試みていたんですね!

さてさて、この回のラスト・スキットは…

女の子の誕生日のお祝いに操り人形を持ってきて、その人形で自分だけが楽しそうに遊ぶ爆ちゃん。それを見ていた女の子は。

「How old are you?(あなたいくつなの)」
沼田爆さん、ユーモアたっぷりのキャラクター全開の英語講座です!

ちなみにNHKアーカイブスに保存されている一番古い英語講座を調べてみました。
ラジオの『基礎英語講座』という番組が残されていて、1925年つまり大正14年放送とみられています。わずか2分間ですが、皆さんのお近くにある番組公開ライブラリーで無料でお聞きいただくことが出来ますので、是非どうぞ!

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