発掘ニュース

No.149

2017.04.14

ドラマ

93歳の久米明さん、和田勉ドラマ&大河第1作

今回の発掘番組提供者は、先週の発掘ニュースでも登場したこの方!

俳優の久米明さんです!1974年の大河ドラマ『勝海舟』で医師の赤城筑甫を演じた久米さんは当時50歳。

93歳の現在も現役で活躍される久米さんをナレーションの収録現場に訪ねました。

この日はNHKのおなじみ『鶴瓶の家族に乾杯』のナレーション、その合間にお話を伺いました。

「何かお役に立ててればと思い一念発起して家の中を整理したらこんなものが出て参りました。『石の庭』という和田勉が入局3年目に演出したBK制作の単発ドラマです。」

『石の庭』は1957(昭和32)年に放送されたドラマ。“BK”というのはNHK大阪放送局のことです。室町時代、応仁の乱後の京都を舞台に、龍安寺の石庭にまつわる兄弟愛と封建社会の階級制をえぐり出したドラマです。

久米明さんが演じたのは龍安寺の庭造りを任された庭師の兄・小太郎です。自分の名は後世に残らなくても素晴らしい庭が造れればそれでいいという小太郎。兄を支えつつも、自分たちの名を残したいと考える弟・善次郎。二人は悲運の最期を遂げます…。

「彼(和田勉さん)が僕をキャスティングしてくれたんです。初対面の席でいきなり僕に向かって、ずっと前からファンでしたと言うわけです。こんな若造にずっと前からファンなんて言われた事は無かったのであまり信用出来ない奴だなと思っていたら、最終日に彼に呼ばれて『久米さんこのドラマには僕の情熱と魂が宿っているのでずっと持っていて下さい』と言ってキネコ(※)のテープを貰ったんです。その時にこいつはいい奴だなって感心しました。そのキネコをVHSにダビングしてもらってずっと持っていました。」
(※)テレビ画面をフィルムで撮影して記録したもの。

「とにかく当時は全てが生の時代でしたから、段取りの確認やら役者の動きやらで1週間かけて稽古するわけです。しかもスタジオにはテレビカメラが2台しかなくて、カメラワークも限られた動きしか出来ないわけです。ですから本番の時は緊張の連続で混乱しながら演じていましたね。」

この『石の庭』は和田勉さんが残したであろうキネコの映像がすでにアーカイブスに保存されていましたので新たな発掘とはなりませんでしたが、このほかに久米さんは音声テープの数々を提供してくださいました。

久米さんが朗読を担当した『私の本棚』など1960年代の貴重な音源で、どんな番組が録音されているのか調査中です。

NHKアーカイブスに残る久米さんのお宝映像も一つご紹介しましょう!

大河ドラマの第1作『花の生涯』の編集前のフィルム映像です。なんと久米さんが演じたのはアメリカ人のハリス!

「それまでは舞台俳優として活動する傍らラジオの仕事が中心でした。テレビ時代の幕開けを感じた作品が『花の生涯』でしたね。」

「当時は日本に今のような外国人俳優が見当たらなかったんです。それで私に白羽の矢が立ち、特殊メイクで鼻を高くしてもらって時間をかけて役になりきったんです。
ラジオの仕事では自分に照明が当たる事がなかったのでテレビ時代の番組作りには戸惑いも感じながらやっていましたね。特に唇の色を自然に映し出すのに苦労していた時代です。紫色に見えてしまいがちになるのを色彩感と格闘していました。」

「当時の想い出は鮮明に蘇ってきますね。乗馬のシーンがあって天城山脈から下田まで向かうシーンだったんですが、馬が言う事を聞いてくれなくてそれはもう大変でした。結局最後まで馬とは友達になれず撮影は終了したんですが、さぞぎこちないシーンに映った事と思います。まさに“馬が合わなかった”んですね。」

久米明さんにとってテレビとは…
「テレビ草創期からこの仕事に携わってこれた事は感謝の一言に尽きますね。自分では時間が経つ事を忘れて夢中になって、1つ1つの積み重ねで今に至っているわけですから。
その時代のテレビの在りようは時代と向き合っているのではないでしょうか?

とにかく当時はスタッフが目の色を変えてテレビというオモチャに夢中になっていました。ドラマセットで収録し終えたら、その場がスタッフ達の寝床となり生活全般がスタジオ内で完結してしまう程でしたから。僕も若かったので良く一緒に付き合っていました。」

映像を残していくことの意味とは?
「これは何ものにも代え難い財産といって良いでしょうね、過去があるから今があり未来が見えてくるのと同じで、過去の自分の作品を見返す事で未来の自分を創造出来ると思います。もっとも当時は私も含めて残しておく事の重要性は気にせず仕事していましたけどね(笑)」

久米さん、貴重なお時間をいただきありがとうございました。提供いただいたテープはしっかりと調査しアーカイブスに残してまいります。これからも益々お元気でご活躍下さい!

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