発掘ニュース

No.114

2016.07.15

情報番組

大人の“おはなし”?! 女優・田島令子さん

今回ご紹介するのは1970年代初期の「おはなしこんにちは」という朗読番組です。

1年半にわたって語り手を担当していたのが女優の田島令子さん!田島さんご本人から映像を提供いただきました。

一見すると大人の雰囲気がムンムンの「おはなしこんにちは」、実は“幼児向け”のお話コーナーだったのです!?

毎月恒例の『ひるまえほっと~発掘!お宝番組』で、この気になる番組を特集!

田島令子さんに44年前の思い出を語ってもらいました。

実は「おはなしこんにちは」は、NHKの幼児番組『おかあさんといっしょ』のコーナーの一つでした。

1959年から続く長寿番組ですが、当時は今とは違い曜日ごとに歌やお話、人形劇などテーマを変えて放送していました。

毎週金曜日、15分間の一話完結で語られる“おはなし”は、別役実さんをはじめとした作家の皆さんが番組のために書き下ろした作品です。

こちらは「みんなスパイ」というおはなし。

ある日、傘屋を営む主人公は見知らぬ人から手紙をもらいます。
そこに書かれていたのは…『拝啓、あなたはスパイです』

「わたしがスパイ??」
突然のことに驚き、戸惑う主人公。その姿を見た人々が、主人公にこう告げます。

「悩むことは無いのさ。あの手紙はみんなもらっているんだ。だから言ってみれば町中の人びとがみんなスパイなんだよ。ですから、あなた以外の人はもしかしたら“犯人”かもしれない。」

島津アナ「本当に幼児番組なのかなっていう感じがしたのですが…?大人にも理解するのが難しい高度なお話ですよね。」

田島さん「別役実さんをはじめ、童話を書いたことが無い方がお書き下さいまして、ちょっと“大人の童話”っぽいですよね。」

お話の内容とともに特徴的だったのが、田島さんのお話のスタイル。幼児番組というと、今も昔もカメラに向かって話しかけるのが定番です。しかし田島さんはほとんどカメラの方を見ず、淡々と読み続けます。

島津アナ「幼児番組というとカメラに向かって『お話の時間だよ~』とか…」
田島さん「それをやめましょう!と始まったプロジェクトなんです。後日談ですけど、民放の方が見てくださって、『10年先を行っていた番組だった』とおっしゃっていたみたいです。」

島津アナ「時々、お人形がて出てきて、かろうじて子ども番組なんだな…と思いますね。」
田島さん「プぺとパペって言うんです…たしか、どっちがどっちだったか忘れちゃいましたが(笑)

すごく自由な収録でした。リハーサルはするんですが、スタジオに置いてある小物、たとえば傘を手にとろうが、開こうが開くまいが良し。ベッドに座ってお話をしても、寝転がっても良し。プぺとパペに関わっても関わらなくても良し…。」

勝田リポ「そういう演出は、当時、幼児だけではなく中学生や高校生までも夢中にさせたそうですね」
田島さん「ファンレターは中学・高校・大学の男子が多かったですね…。午前10時が最初の放送で、午後3時とか5時に再放送があるんですね。それで学校から急いで帰って見てくださったみたいですよ。」

さて、もう一つご覧いただいた“おはなし”は「空中ブランコ乗りのキキ」。田島さんが一番印象に残っている作品です。

「そのサーカスで人気があったのは、なんと言っても空中ブランコ乗りのキキでした。」
常に一番のブランコ乗りでいたいと願うキキ。誰もやったことのない4回宙返りを、命と引き換えに挑戦します。

「見ててください。4回宙返りは、この1回しかできないんです…。」
4回宙返りを成功させたキキ。しかし直後、キキは忽然と姿を消してしまいます。

「翌朝、サーカスの大きな天幕のてっぺんに、白い大きな鳥がとまっていて、悲しそうに鳴きながら西の方へ飛んで行ったといいます。………おしまい。」

…なんと、お話の最後に感極まり泣いてしまった田島さん。

島津アナ「最後、泣いてらっしゃいましたね?」
田島さん「あー、いけませんねプロとして(笑)反省。…(おはなしこんにちは)の演出を最初から担当してきた渡邊さんというディレクターの方が異動で番組を離れることになって、その最後の作品だったんです…。キキのお話とオーバーラップした部分があって、ああいうことになって…恥ずかしいです!」

その演出の渡邊治美さん、残念がら去年他界されていました。番組発掘プロジェクトのスタッフが奥様のすみ子さんにお会いしたところ、新たな「おはなしこんにちは」の映像と、渡邊さんが書斎に飾っていたというパネルを田島さんへの贈り物として預かって来ました。

「奥さまのすみ子さんと、いつもご夫妻で舞台を見に来てくださって。ほんとにありがたくて。今ごろ見てらっしゃるんじゃないかしらって…」

「期せずして今月が一周忌になりますね…」と感極まる田島さん。

島津アナ「こうして大切な映像を残しておくことの意義は何だと思われますか?」
「最初は“若くていいな”とかバカなこと考えてたんですが、『歴史』ですよね。そういうものを残しておくということはとても貴重なことです。振り返って、自分が出ていることだけじゃなくて…大切なものを。私は好きだったんですね『おはなしこんにちは』が。」

田島令子さん、心に残るお話、そして不思議な世界を子供たちに見せてくれた「おはなしこんにちは」を提供してくださりありがとうございました!

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