No.111
2016.06.24
ドラマ
藤岡弘、さん 42年前の坂本龍馬を語る
“幻の”大河ドラマのひとつ『勝海舟』(1974年放送)。幕末から明治、日本の未来を見据えた勝海舟の半生が描かれました。今も根強いファンが多い作品ですが、NHKには3話分しか保存がありませんでした。
今回新たに『勝海舟』の4話分を発掘!録画テープを提供してくれたのは、ドラマの重要な登場人物の一人・坂本龍馬を演じたこの人…
藤岡弘、さんです!当時28歳。画面から伝わる若さと躍動感、実にエネルギッシュです!
現在のお姿はこちら!
今もパワーみなぎる藤岡さん、42年前に演じた坂本龍馬を、昨日のことのように熱く語ってくださいました。
ご出演いただいたのは、毎月1回、番組発掘の成果をご紹介する『ひるまえほっと』の「発掘!お宝番組」。
藤岡さんが提供して下さったビデオテープに録画されていた4話とは…
第32回 池田屋(8月11日放送)
第35回 孤独(9月1日放送)
第37回 こぼれ花(9月15日放送)
第44回 龍馬死す(11月3日放送)
すべて坂本龍馬が活躍する回です!
島津アナ「これは藤岡さんご自身で残されていたんですか?」
藤岡さん「龍馬は私にとってひとしおの思いがありましてね。どうしても映像を残しておきたいという一心で、Uマチックという(当時)最新の録画機器を購入しました。それをある時期、VHSにダビングしたのがこれです。」
島津アナ「坂本龍馬の役の話が来た時はどんなお気持ちでしたか?」
藤岡さん「私は四国出身で隣の県(愛媛)なので、幼少の頃から影響を受けていました。郷土の偉大な人間ですから燃えましたね。子供のころから武道をやっていたので親近感を感じて、自分の中に龍馬像が棲み続けていたんです…どう演じて良いか自分で分からなくて、色んな龍馬の資料を読みあさって想像しながら、なりきるしかないんじゃないかと…。龍馬自身もおそらく試行錯誤しながら生き抜いたと思うので。」
『勝海舟』のなかで藤岡さん最後の出演回となったのが第44回「龍馬死す」。
この回のクライマックスは龍馬が暗殺されるシーンです。
リハーサルなしの一発勝負、龍馬に迫る刺客は俳優ではなく殺陣師が演じました。
「いやぁ…思い出します。鮮明に覚えていますね、思い出深いシーンでした。リハーサルも何もなかったんです。一発本番で、全てアドリブで。それも殺陣師と一緒に臨機応変で、龍馬の思いをそのまま…。緊迫感と同時に、自分で何をやったか分からないくらい…龍馬が乗り移ったような気持ちになって終わったあと放心状態で…。」
「龍馬の思いを爆発させたかったんです。目的が遂げられなかった悔しさ、無念さというのは、今でも龍馬の中に残っていると思うので、その思いを代弁しなくちゃいけないなという。」
ドラマの中で龍馬は、絶命する直前、最後の力を振り絞りピストルの引き金を引き、弾を一発発射します。この演出は藤岡さんが提案したといいます。
「私の提案でもあった一発の銃。魂を込めて、成し遂げられなかった思い、悔しさ全てを込めて、生きていきたかったという思いを絞り込むように、一発に思いを込めて発射しました。いまでも鮮明に覚えていますね。」
「夜明けを夢見た龍馬、それは悔しかったと思いますよ。遂げられなかったわけですからね。」
島津アナ「年も同じくらいでしたよね。31歳で亡くなった龍馬、28歳の藤岡さん…」
島津アナ「こうした作品を今の若い人たちにも見ていただきたいと思うのですが、映像を残すことの意味はどんなことだと?」
「歴史をえぐり取って残すということは、後世に活かすこともできるし、教訓もいっぱい入っていますし、そういう意味では大事なことだと思うんです。これから日本を背負っていく若い人たち、未来を夢見る人たちに、是非こういう映像を見てほしい。歴史というものは忘れてはいけない。残すことは意義のあることだと思います。」
そして…
「まだまだ私の倉庫には眠っているんですよね、お宝が。」
「まだテープが残っているわけですか?!」
「ですから何とか、忙しい中も発掘したいなと思っています。これからも一生懸命探します。私は“残したい”という思いで録っていますからね、“お宝”を発掘します、必ず。」
「勝海舟の全部をもういちど最初から終わりまで見てみたいですね。歴史を命懸けで突っ走った、当時の若い人たちの生き様というのは見ごたえありますからね。真剣に生き抜いた息吹を、ドラマを見ながらもう一度自分を燃やしたいなと。」
エネルギッシュに最後まで語り続けてくださった藤岡弘、さん、ありがとうございました!番組終了後、ちょっとワガママを言って懐かしの変身ポーズを…。
感激です!藤岡さんの倉庫から『勝海舟』全回分が発掘されますように!プロジェクトのスタッフ一同、祈っております。