No.100
2016.04.01
アニメ/人形劇
『紅孔雀』10話分、人形劇の神様から!
きょうから4月、新年度最初は記念すべき発掘ニュースNo.100です!
“幻の人形劇”発掘情報、大きな反響をいただいております。第2弾は『紅孔雀』です!
『紅孔雀』は1978(昭和53)年から1年間放送された連続人形劇。古代アステカの秘宝をめぐって、恋人同士がすれ違いながら戦い続ける運命に…という物語です。
第1回と最終回だけが残されていましたが、2011年に視聴者の方から第219回を提供いただき、合わせて3本がNHKに保存されていました。
今回発掘されたのは第100回から109回(106回を除く)と、最終回のひとつ前の第222回、計10話分です!
まずは主人公2人のご紹介から…
久美と小四郎は恋人同士。ところが“どくろかずらの汁”を飲まされた久美はしばしば悪人に変身し、ついには小四郎を殺そうとしてしまいます。
普段は優しく、おしとやかな久美。悪い心が出てくるとこんな顔に…!
文楽人形の“ガブ”と呼ばれる、からくり技術を使った仕掛けです。
では、どんな場面が発掘されたのかご紹介していきましょう!まず、今回の発掘ニュースと同じく“100回目”の放送となった回では…
★第100回「きよ姫の恋」
久美に殺されそうになった小四郎を助け介抱したのが『きよ姫』という美しい女性。
やたらと親切にしたうえ言い寄ってきますが…
★第101~105回「大蛇と小四郎」
『きよ姫』が水浴びをしている姿を見てしまった小四郎。実は『きよ姫』が大蛇だったことを知り逃げ出します。
一方、久美は白骨城で捕われの身となり、幻術使いの信夫一角(しのぶ いっかく)に無理やり結婚させられそうに…。
★第107~109回「父との再会」
久美は白骨城で実の父親・朱雀大納言と対面、しかし父は鉄仮面をかぶせられ外すことが出来ません。また小四郎も自分の父親・嘉門と再会します。
そして一気に飛んで…
★第222回「大団円」
最終回のひとつ前。すでに久美と小四郎は恋人同士に戻り、仲間たちとアステカの秘宝を探す旅がクライマックスを迎えています。
この回の見せ場は小四郎と一角の一騎打ち、見事に小四郎が勝ちます!一角は負けを認めてこれまでのことを詫びた上で、小四郎と久美の幸せを祈ると言って腹を切ろうとします。
そこに一角の手下の蛇五郎が抱きすがり、こう言います…
「お頭~死んじゃいやだ!こんな世の中でも生きていりゃあ、また良いこともあります。久美さまも宝も手に入らなくったって、死ぬほどのことはありませんや。嫌な奴だとお思いでしょうがこの蛇五郎、お伴します。さあ、新しい幸せを探して出直そうじゃありませんか。」
一角と蛇五郎の二人は、何か世の中の役に立つことをしようと思うと言って旅立ちます。
まさに大団円ですね!
さて、『笛吹童子』に続き『紅孔雀』のビデオテープを提供して下さったのはこの方!
人形操者の第一人者、伊東万里子さん!NHKの人形劇の歴史をすべて知っている人物、“人形劇の神様”と言っても過言ではない方です!
「人形劇は昭和29年か30年くらいからやってますね。まだNHKが内幸町(東京千代田区)にあって、MP(military police)が立っていましたから。
NHKの後ろに“ほったて小屋”みたいなスタジオを立てて、照明の数がすごくて暑いので屋根に水を流してスタジオを冷やしていました。 役者さんも汗だくでね、メイクがすぐに落ちてしまうからお化粧さんが1人に1人くらい付いていました。カットがかわるとすぐ飛んで行って直してましたよ。
ところが人形は汗かかないから、こんな便利なものはないってディレクターが喜んで。でも、人形を遣っている方は大変でした。」
「ビデオになってからは、本番の終わり間際にNGを出すと、ハイ!最初から!って…、みんな一斉にため息でね。またテーマソングからやり直しなわけ。編集するとお金がかかるから最初から撮り直した方が安いって。そうね、そんな時代だから番組が残るわけないわね。上書き上書きしていたのね。」
そして人形操者ならではのお話がこちら!
「一番大変だったのは、チロリン村でしたね。」
「チロリン村の人形は今の人形と違って、操作棒がついてなくて両手をいれて操作するんです。それでこうして頭の上にあげて動かしてたの。操作棒がついていると、映っていないときは空いてる手で体を支えたりして休めるのね。でも、こっちだとずーっと上げてないといけないの。それを9年もやったから(笑)」
「でも、子どもたちが親しんでくれたのは、操作棒がついてなくて、本当に生きてるみたいだったからじゃないかな?あと人形がどれも人間らしいでしょ?ピーナッツのピーコとかいっても人間よね。ひょうたん島になってしまうと、デザインデザインしてきて少し離れていくし、操作棒がついてくるからね。ひょうたん島のときは操作棒が嫌だなー、目ざわりだなーと感じていました。文楽も人は見えるけど、いない事になっていて操作棒はついていないでしょう。」
「録っていたテープは自分でやった事を少しでも勉強しようと思って、録っておかなきゃと記録してました。でも録ったきり全然見てないわね(笑)今になると大事なものになりましたね。」
その大事なビデオテープから発掘された“お宝人形劇”。次回も伊東万里子さんから提供いただいた、あの番組です!お楽しみに。