発掘ニュース

No.098

2016.03.18

ニュース/報道

「スポットライト」青い目の人形 山あいの町に再び!

今回は、まもなく閉校になる山あいの小学校で、発掘された番組が子供たちを前に上映されたというニュースです。

上映されたのは何度かご紹介している『スポットライト』というユニークな歴史番組です。1973(昭和48)年に放送された「人形使節 メリー」という回、愛知県にお住まいの視聴者の方から10年ほど前に提供いただきました。

まず、どんな番組だったのかといいますと…

―――日米間の国民感情が悪化していた1927(昭和2)年、友好の証しとしてアメリカから1万2千体の「青い目の人形」が贈られ日本各地の小学校や幼稚園に配られました。しかし太平洋戦争が始まると、多くの人形が敵国アメリカから来たという理由で処分…。ところが1967(昭和42)年、群馬県の小学校で校舎建て替えの際、一体の青い目の人形が見つかりました。なぜ人形は残っていたのか?当事者を取材し人形の秘密に迫ったのが1973年3月15日に放送した「人形使節 メリー」です。

その番組の舞台となったのが、まさに上映会が行われたこの小学校なのです!

群馬県沼田市立利根東(とねあずま)小学校。1874年(明治7年)に開校した伝統ある小学校ですが、この3月末で142年の歴史に幕を閉じ、近隣の小学校と統合されます。訪ねたのは3月9日、冷たい雨が降っていました。

今回、番組公開ライブラリーで「人形使節 メリー」を公開することになり、その手続きを進める中で小学校に連絡を取ったところ、今も人形は小学校に大切に保管されていることが分かりました!郷土学習として人形をテーマに授業を続けてきたこともあって、閉校する学校行事の一つとして上映会をしたいということになり、NHK前橋放送局の後援で実現しました。

社会科を教えている星野竹志先生です。この1年間、郷土学習の一環として、学校に伝わる青い目の人形の歴史を主に6年生に教えてきました。

こちらが、およそ90年前に贈られた人形。子供たちの間で今も「メリーちゃん」と呼ばれ親しまれています。

星野先生の提案で、低学年の児童も含めて全校児童57人で番組を見ることになりました。
上映会のスタートです!

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「着ているものもだいぶ色あせてまいりまして、見たところ何の変哲もない一つの人形でございますけれども、実はこのお人形さんには秘められた、ある一つのお話があるんです。」
という、司会のフランキー堺さんの優しい語りから番組は始まります。

登場したのは“メリーちゃん”です!着ている洋服も今と同じ、まぎれもなく小学校で大切に保管されている『青い目の人形』です。

1927(昭和2)年、友好の証しとしてアメリカから日本各地の小学校や幼稚園に贈られたおよそ1万2千体の『青い目の人形』、その一つでした。

太平洋戦争中、全国各地の人形たちは敵国のものとして、ほとんどが処分されてしまいました。番組には、当時密かに保管していた教頭先生が登場します。

「戦争がはげしくなりまして、毎日私たちの村からも出征軍人が出る…、敵国米英に対する敵対心も高まって大変な時代でした。したがって人形をどう扱うかということが大問題でした。

職員会議でも問題になって、人形を焼け、壊せ、なかには竹ヤリで突いて壊してしまえという意見も出て…。意を決して、教頭にまかせてくれと発言して。先生たちも“よろしい”と、教頭に一任ということになったんです。」

金子さんは皆に内緒で、夜そっと学校の中の見つからない場所に隠したとのことです。

当時、小学校に通っていた宮川ひろさんは番組の中でこう話しています。
「戦争がだんだん激しくなり、先生が教えられた若者が次々と召集されていって、5人10人とかたまって戦死の公報が入るわけです。そして合同の村葬というのが小学校の校庭であって…。」

「先生の目からご覧になったら“若い”というより“幼い”遺影を、先生が飾り付けをなさって式場を作られたと思うんですが、次第に若者たちをみんな隠してしまいたいというお気持ちに無意識のうちになられたのではないでしょうか。

その隠したい気持ちが人形を隠すことにつながったんじゃないのかなって思うんです。山深い中の学校だから、それが出来たんでしょう…。」

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およそ30分の番組が終了。調べ学習で知ってはいたものの、“生きた証言”を聞くのは子供たちも、先生たちも初めてでした。

この日の様子は、NHK前橋放送局が制作する夕方6時40分からの群馬県内のローカルニュースで放送されました。

「昭和の初めにアメリカ側から送られた“青い目の人形”についてです。」
「これまで保管してきた沼田市の小学校が今月で閉校になるのを前に、きょう人形をテーマにしたNHKの番組の上映会が開かれました。」

子供たちの反応もニュースの中で紹介されました。

1年間、郷土学習で“メリーちゃん”の歴史を調べてきた6年生、戦争をくぐり抜け小学校で大切に保管されてきた意味をしっかりと学んでいるようです。

この上映会の企画を立てた社会科の星野先生は…
「利根東小学校に文書で伝わってきた金子武男先生や宮川ひろさんの肉声を聞くことが出来て感慨深いです。郷土学習の内容を掘り下げるには、素晴らしい教材でした。」

活字で学んだ情報を、ビデオ映像を通して当人が話す言葉で聞くことの説得力は、アーカイブスで過去の番組を見ていても感じます。

利根東小学校は、別の小学校と統合しますが、青い目の人形“メリーちゃん”は、4月からは統合する小学校で引き続き保管されることになっています。

今回ご紹介した『スポットライト』は発掘した何本かを全国の番組公開ライブラリーでご覧いただけるよう準備を進めています。4月1日公開の予定です。ご期待ください!

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