発掘ニュース

No.092

2016.02.05

情報番組

巨匠が語る“人生を変えた一冊”、最終章!その1

これまで何度かご紹介してきた『若い広場』の人気コーナー「マイブック」。
いよいよ最終章です!

今週と来週、2回にわたって7人の方々の珠玉の言葉の数々をご紹介していきます。

まずはこの方!

小説家の松本清張さんです。
「この本だけは、絶えず傍らから離さないで、ほんの5分でも10分でも時間があれば読んだもんです。」

紹介したのは、木村毅著「小説研究十六講」という、小説を書くポイントをまとめた本。松本清張さんが小説の書き方を学んだいわば“教科書”です。

「わたしが読んだのは昭和2~3年の頃で、非常に不景気で世の中どうにもならない、私自身の気持ちも暗い時代で…。それまでには小説は色々好きで読んでいましてね、雑読したんですが。この『小説研究十六講』を読んで、非常に自分の読んでいた小説を整理してくれたという感じがします。

初めて近代的な研究書というので、私は二十歳前後でしたか、非常に感銘を受けたんです。」

この本を読めば、私たちも松本清張さんのような小説が書けるかも!?…そんな淡い期待も抱かせてくれるお話です。

続いては遠藤周作さん!

遠藤さんの一冊は、弥次さん喜多さんのコンビが旅をする『東海道中膝栗毛』。

「それまで少年雑誌を読んでいたんだけれども、学校の先生に他の本も読まなくちゃいけないって言われてね、図書室で借りてきたのがこれなのよね。

それでもう感激しちゃってね、将来自分はこういう人間になりたいと思って。そして理想の人物になっちゃったわけ、弥次さん喜多さんが。」

『東海道中膝栗毛』の作者ではなく、登場人物の弥次さん喜多さんになりたいと思ったところが面白いですよね!夏休みに2人を真似て、住んでいた大阪から友だちと旅に出たことも…!

「東京まで歩いていこうって言ってね。2人で夏、弥次さん喜多さん気どりで歩きはじめて…途中でへたばって京都につかないうちに家へ帰った記憶があります。

ああいう面白いおかしいことが、次から次へと起きないかと思って。何も起こらなくてね(笑)」

人生の中でたびたび読んだこの本に、遠藤さんは元気づけられたといいます。

「特に戦争中ね、周りのことがだんだん嫌になってくる時代でしたからね。その時これ読みますとね、なんか弥次さん喜多さん通して、人間がまだ信用できるような気がしてね…。」

次は『ひょっこりひょうたん島』の原作者としてもお馴染みの井上ひさしさん!希望する大学に入れず失意のどん底にいたときに出会った本です。

「志望するところに行けなかったわけです。行けなかったということが、ものすごい劣等感なわけです。東京へ来て見ると自分の行きたかった学校の学生が歩いているでしょ。すると駅なんかでぶつかると、本当に俺はダメな人間だと思うわけですよ。

でもその本を読んだ時から、いいじゃないかと。逆に見ればいいんじゃないかと気が付いたわけです。この逆に見ればいいんじゃないかというのは、ずーっと、それ以来、僕の一番大事な処世訓なんです。」

井上ひさしさんが紹介した、唐来参和という人が書いた「莫切自根金生木(きるなのねからかねのなるき)」は江戸時代の読み物『黄表紙』の一冊で、今の週刊誌に載っている劇画のようなものだといいます。思惑と反対のことが起きてしまうお金持ち夫婦のコメディーで、井上さんの発想の原点ともいえるそうです。

「この作者の正体というのは、あまりはっきりと分かっていないんです。まだ色んな人が調べてますけどね、よく分からないんです。

江戸時代のよく分からない人が書いたものが“活字”になって今も残ってね、何代か後のヘンな男の励ましになってるわけです。そういう意味で僕は、ものを書くっていう仕事が好きになったのもそういうことなんですね。」

「その人の名前は消えても、面白いものや良いものを書けば、それがやがて後世にひょこっと読まれる。そして、ある人間の力になる…そういう意味でも、僕は非常に印象が強いんです、この作品は。」

今回も『ひるまえほっと』(関東地域のみの放送)のスタジオにはキャスターの山本哲也アナウンサーと松尾衣里子リポーター。

そして何人もの巨匠にインタビューをした女優の斉藤とも子さんです。

斉藤とも子さん「(井上ひさしさんが紹介した本の)あのタイトルがね、『莫切自根金生木(きるなのねからかねのなるき)』。下から読んでも上から読んでも同じなんです。そういうお話をされていたのを、今日ふと思い出しました!」

松尾さん「井上さんはご自宅での収録でしたね!」
斉藤さん「そうなんです。あの時、ちょうど私風邪をひいていて、収録途中にセキが止まらなくなって…。お宅で寝かせていただいたんです。」

山本哲也アナ「(皆さんの言葉)あ~、そうだったのか!と思うことばっかりですよ。」
斉藤とも子さん「それぞれの方が人生に落ち込んだりした時に、本で救われているんですね。遠藤周作さんもおっしゃってましたね、まだ人間て希望が持てるんだと…。」

松尾さん「まだまだ、たくさん巨匠の方のインタビューがありますので、引き続きPART2をご覧ください!」

…と、ここから先は来週!お楽しみに。

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