発掘ニュース

No.082

2015.11.20

ドラマ

杉良太郎さんから『国盗り物語』大発掘!

全く保存が無かった幻の大河ドラマ『国盗り物語』がついに発掘されました!
提供してくださったのは、こちらの方!

杉良太郎さんです!

さっそく発掘された回をご紹介すると…
第37回「将軍追放」<1973年9月16日放送>
第38回「小谷落城」<1973年9月23日放送>
この2本です!

『国盗り物語』はご存知、司馬遼太郎さんの原作。群雄割拠の戦国時代に、天下統一を夢見ながら野望半ばにして倒れた斎藤道三(平幹二朗さん)、その遺志を継いだ織田信長(高橋英樹さん)と明智光秀(近藤正臣さん)。3人の武将を中心に、下剋上の乱世を生きた人々をダイナミックに描いています。

このホームページで去年7月に特集した『レア度5つ星大河ドラマ』でもご紹介した通り、『国盗り物語』はこれまで保存ゼロ(総集編は除く)の大河ドラマです!

杉さんから提供いただいたのは100本を超えるUマチックテープ!この中に『国盗り物語』は残されていました!

ベータやVHSがまだ発売されておらず、家庭でビデオを録画することが一般的ではなかった時代、1971年に登場したUマチックには貴重な番組が録画されている期待がかかっています。事実、『国盗り物語』の他にも“お宝”映像が…!それは次回に。

では、発掘された『国盗り物語』の映像をいくつか見ていきましょう!
まずオープニングタイトル…

合戦のイメージ映像をふんだんに使ったダイナミックなオープニング、駆け回る馬の姿が印象的です。

杉さんが演じたのは近江の武将・浅井長政。小谷城の主だった長政ですが、織田信長の総攻撃によってこの第38回で落城、自刃します。

29歳の杉良太郎さん、カッコイイです!長政にとってのクライマックスとなるこの2話を、杉さんは録画・保存していたんですね!

さて今回の発掘、見どころの一つが出演者の皆さんの“若さ”です!

織田信長役の高橋英樹さん、杉さんと同じく当時29歳。貫禄とともに、時に狂気を感じさせる信長を見事に演じています。

現在放送中の連続テレビ小説「あさが来た」で、あさの義父を演じている近藤正臣さんは31歳。信長からの理不尽な扱いに耐えながらも、ついには本能寺の変を起こす明智光秀です。

BSプレミアムの「にっぽん縦断 こころ旅」で全国を自転車で旅する火野正平さんは、このとき24歳。“サル”こと木下藤吉郎(羽柴秀吉)を元気よく演じています。

40歳の伊丹十三さんは将軍・足利義昭。発掘された第37回では将軍の座を退くことになり、やつれ果てた姿に。

華奢で繊細、女性のような風貌だったといわれる竹中半兵衛を演じたのは39歳の米倉斉加年さんです。

21歳の松坂慶子さんは信長の正室・濃姫。今年の大河ドラマ『花燃ゆ』で毛利敬親の正室・都美姫を演じた松坂さん、『国盗り物語』は“大河ドラマデビュー作”です。

松原智恵子さんは28歳。杉良太郎さん演じる浅井長政の“妻”であると同時に、敵となった信長の“妹”であるという板挟みの中、夫への愛を貫き通す芯の強さを感じさせます。

こうして見ると、『国盗り物語』は20代の若手が中心となって活躍したエネルギッシュな大河ドラマだったことが、発掘された2話だけで伝わってきます!

貴重なビデオテープを提供いただいた杉良太郎さんに、番組の思い出などをうかがいました。

『国盗り物語』の思い出は?

戦国時代の物語はもともとあまり、好きではありませんでした。人間や政治が成熟していない時代の人物を演じることは、私にとって分かりにくかったからです。ただ、「思い切り演じよう」と考えていたことを思い出します。

時代劇への思いは?

現在に生きる方々にとっては、時代劇に関わるにあたり、その時代に触れたことも聞いたことも見たことも無いものばかりの環境にあり、その習慣や環境の整っていない若い人達が演じたり制作するのは難しく、どうしても時代劇の質が落ちてしまう側面があると思います。

例えば、今を生きる人達は日常で着物を着ることもなく、草履や下駄を履くこともないのですから、立ち居振る舞いは自然にはできません。時代劇の場合、当時と今では言葉遣いも違うのですから、その時代の人のような話し方をすることさえ、難しいと思います。滑舌も現代の人達は非常に噛み合わせが甘く、現代人特有の言葉になって現れてしまいます。

また、演出家や制作に関わる全てのスタッフがその時代の勉強や工夫をすることもなく、それらしく撮っているだけと見受けられる作品が多く、昔のように作品から熱い思いが血のように湧き出る作品を、是非、もう一度見たいと思います。

杉さんの時代劇にかける思いや期待が伝わってきますね!

さて次回はこのほかに発掘された杉さんからの“お宝”番組をご紹介します。
幻の朝ドラの発掘も!?お楽しみに!

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