発掘ニュース

No.021

2014.08.29

音楽

坂本九さんの笑顔が…“未放送”の映像発掘!

520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故から今年で29年。事故の直前に収録された坂本九さんの映像が発掘され、8月11日「NHKニュース おはよう日本」で放送されました。

この発掘秘話は先月、7月11日に「番組発掘プロジェクト」に届いた1本のVHSビデオから始まります。

テープには「この人 ダークダックスショー」と書かれています。

送って下さったのは男性4人のコーラスグループ、『ダークダックス』のマネージャー秋山敏臣さん。秋山さんは40年にわたってダークダックスのマネージャーを担当しています。

秋山さんによると、このテープには「この人 ダークダックスショー」という番組が収録されていて、坂本九さんが司会を担当した回だとのこと。
ただ、この番組は放送されなかったというのです。1985(昭和60)年、日航機事故の一か月ほど前に横浜市で公開収録されたものの、坂本九さんが事故で亡くなり放送が中止されたといいます。

テープを再生してみました…。

坂本九さんです!やさしい笑顔、穏やかな声…そこには元気な九ちゃんの姿がありました。この世を去った人たちが、ビデオの中では今も息づいているのを見るたびに、悲しみとともに、言葉に出来ない感動をおぼえます。

画面の下の方にある数字の列は「タイムコード」と呼ばれるもので、番組の編集作業をする時などに参考にします。このテープは担当のディレクターから、事故の後、しばらくして秋山さんに贈られたものだといいます。秋山さんは“宝もの”として大切に保管していたそうです。

50分あまりの映像の中には、坂本九さんの温かくユーモアに富んだ楽しい司会ぶりが記録されています。

まずダークダックスの皆さんの大学時代の出会いを、部室を再現したセットで聞き出していきます。ダークダックスの皆さんも、九さんとの会話を楽しみながら、思わずいろいろなエピソードを話している様子が良く分かります。

このVTRには、放送では見られない坂本九さんの姿も収録されていました。
それはコーナーとコーナーの合間、準備のためセットを交換する待ち時間を利用して、九さんが観客の皆さんのためにトークをしている場面です!
普通はディレクターが“場つなぎ”をするところですが、九さんのサービス精神ですね。

照明を少し落としているなか、
九さんがご自分のことを話し始めました…。

「僕の名前は“坂本九”っていうんですね。
九(きゅう)番目に生まれたから“きゅう”。
本名は『ひさし』って言うんです。」

「五番目に、“五”って書く、数字の。『坂本五』って。
これが五番目の兄貴。
何て読むかというと「さかもと いつつ」って言うんですけどね。
その兄貴が(収録場所に近い)駅前で薬局をやっているんです!
坂本薬局!帰りに必ず寄るように!」

会場からは笑い声が絶えません。

この『映像』は朝のニュース番組「NHKニュース おはよう日本」で取り上げられました。
明日で事故から29年という8月11日、こちらは7時台のオープニングです。

「520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故から明日で29年です。」というコメントで始まり、まず遺族の人たちが発行している会報「おすたか」が100号を迎えたというニュースが伝えられました。

そのあと…

「あの事故の犠牲者の一人、坂本九さんです。先月、坂本さんが亡くなる直前に撮影されたNHKの番組の映像が見つかりました。事故を受けてこの映像は放送されなかったのですが、関係者のもとに残されていました。29年ぶりに見つかった映像、そこにはいつも笑顔だった坂本さんの姿がありました。」

4分半ほどのニュースの中では、九さんの映像とともに番組に出演していたダークダックスの「ゾウさん」こと遠山一さんのインタビューが放送されました。

遠山さんは、「彼の笑顔の中に包まれるっていう…人を自然に楽しませてしまうっていう雰囲気はありましたね。」と語り、番組の収録後「楽しかったよ、またね」と話したのが最後の別れになったといいます。
そして「われわれに残っている姿というのは、この九ちゃんの笑顔しか残っていないから、そのイメージを大切にしていきたい…」と話してくださいました。

放送後、「おはよう日本」あてにお便りが何通か届きました。

皆さん“全編”が是非見たいというお便りです。
29年がたっても変わらない坂本九さんの“笑顔”が残されたビデオテープ。
九さんに対する皆さんの思いも変わっていないと強く感じた発掘でした。

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