発掘ニュース

No.004

2014.04.18

アニメ/人形劇

NHK最初のテレビアニメ!「3つのはなし」

今回ご紹介するのは、半世紀以上前に放送されたNHK最初のアニメーション番組『新しい動画 3つのはなし』です!長い間アーカイブスに登録されずに眠っていたものが去年見つかりました。

「♪お話いっぱい、ポッケにいっぱい…お腹がすいちゃうイイ話~」という中村メイコさんの歌で始まるこの番組は、「第三のさら」「オツペルと象」「眠い町」という3つの短編アニメで構成されています。

1960年(昭和35年)に放送された30分番組で、中村メイコさんが、語りや登場人物を色々な声を使い分けて一人で演じています。そしてそれぞれの話が始まる前にスタジオに中村メイコさんが進行役として登場し、元気いっぱいの明るい笑顔で物語の紹介をしています。

もちろん今のアニメにくらべれば動きは少なく、なめらかさなども比べ物になりませんが、画期的な番組だったことと思います。さらに挿入音楽はジャズ!そして当時としては最新の映像合成技術も!

それぞれの作品を簡単に紹介すると…

『第三のさら』

まだ人間がいない世の中、海と空、神様と天使だけがいたころのお話です。
神様は「第一のさら」を天使のルミに渡して、金の炎で世の中を明るくします。
太陽ですね!

「第二のさら」は銀の砂、こんどはお月さまです。

さらに「第三のさら」にはミルクが…でも、こぼれてお皿は割れてしまいます!

そのお皿のかけらが星に、ミルクは天の川になりました…というメルヘンチックなお話です。炎が太陽に変わったり、銀の砂が月に変わる場面など、アニメーションならではの映像技術が使われ、実写ではあらわせない不思議な世界が表現されています。

『オツペルと象』

金持ちの大地主オツペル、ある日突然やってきた白い象をだましてインチキな紙の靴をはかせた上、飾りだと言って足に重りまで付けて働かせます。
最初はだまされたことを知らず楽しそうに働いていたゾウは、次第に弱って笑わなくなります。
月の助言で仲間に手紙を書いて助けを求めると…
仲間のゾウが集団でオツペルを襲い白いゾウはなんとか助かります…という宮沢賢治の童話をアニメにしたものです。

『眠い町』

世界旅行をするケー少年は、誰でも眠くなるという「眠い町」を訪ねます。旅する人は恐れ、避けて遠回りするという町。ケー少年は、歩いていると眠くなり眠ってしまいます。

ケー少年を起こしたのは町の主のおじいさん。
自然を愛するおじいさんは、汽車を走らせるためにきれいな森が切り開かれ、木や花が無くなっていくことを憂いています。おじいさんは、世界中に「眠りの砂」をまいて人間たちを眠らせるよう、ケー少年にお願いします。

砂をいたるところでまいたケー少年、砂が無くなり眠い町へ戻ると…

そこには更に開発が進んだ町が…という不思議なストーリーです。児童文学作家の小川未明さんの作品をアニメ化したものです。

この番組では、日本のテレビ放送では初めてとなるクロマキーという合成技術が使われました。青いシートなどを張った場所に別の映像をはめ込んだりする映像合成で、現在も天気予報などでお馴染みです。この「眠い町」の始まり部分ではメイコさんとケー少年がクロマキーで合成されています。

長い間アーカイブスに登録されずに眠っていた「3つのはなし」。去年見つかり、BSプレミアムの『プレミアムアーカイブス』で、半世紀以上の歳月を経て再び放送されました。

懐かしそうに話して下さったメイコさん。七色の声はラジオの仕事で培われた技であることや、当時お母さんになったばかりだった自分自身の勢いの良さ、さらには子供にはちょっと難しいストーリーを親しみやすく語る工夫などを語ってくれました。

NHKのアニメの原点である「新しい動画 3つのはなし」、映像技術、演出、音楽…いろんなチャレンジにあふれた作品です。

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