アカイさんノート: 2011/02/04

時代劇人気シリーズ『御宿かわせみ』

 時代劇には人気シリーズとなる作品が多いが、女性が主人公のドラマを続編、続々編と計5シリーズも放送したのは『御宿かわせみ』だけだ。実はNHKだけでなく、民放でもたびたびドラマ化、舞台にもなっているこの作品の魅力や、放送当時のエピソードなどを振り返る。

 真野・小野寺コンビで全47回

 『御宿かわせみ』の原作は平岩弓枝の同名ロングセラー小説だ。江戸の大川端にある小さな旅籠「かわせみ」を舞台に、わけあって武家を捨て旅籠を営むるいと、その恋人で与力の息子・東吾が仲間たちとともに事件を解決していく人情捕物帳。
 第1弾の『御宿かわせみ』(全24回)は、1980年10月スタート。夜8時からの水曜時代劇で半年間にわたって放送された。主人公るいを演じたのは真野響子、そして恋人・東吾は小野寺昭。続く1982年10月からの第2弾(全23回)でも、主要なキャストはほとんど同じ顔ぶれで、"真野・小野寺コンビ"の「かわせみ」としてファンが定着した。
 この2回シリーズの主題歌は、高橋真梨子が歌う「祭りばやしが終わるまで」。番組の雰囲気によく合っているとファンからも好評だった。
 水曜時代劇は、半年間にわたる放送なので、第1弾、第2弾と合わせると1年間全47回の放送となり、大河ドラマにも匹敵する充実した内容となった。それだけに、"真野・小野寺コンビ"の印象が強く、再び「かわせみ」をドラマ化するまでに20年近い歳月が必要となった。
 

 

20年ぶりに"かわせみ"再び

 2003年4月、装いも新たに『御宿かわせみ』(全8回)が金曜時代劇に登場した。るいは高島礼子、東吾は中村橋之助だ。
 満を持しての「かわせみ」とあって、長年のファンにとってもうれしい出来事があった。それは、開業して半年の「かわせみ」で、長崎遊学から戻った東吾とるいが再会するシーンが描かれたこと。小説には思い出話としてしか出てこない。小説の執筆を続けて30年余りという平岩弓枝の構想だが、「長年のシリーズを補足するつもりでドラマに取り組んでいただけたようです」と、当時のプロデューサーが語っている。
 前シリーズや小説のるいに思い入れのあるファンも多いということで、スタッフにも相当なプレッシャーがあったようだ。しかし、新たなキャストで取り組んだ「かわせみ」は、ある意味、大人の雰囲気が漂う作品になった。
 るいを演じる高島礼子が、もともと小説のファンだったことも大きかったようだ。るい役が決まる前から彼女の中で"るい"という女性のイメージができていたため、過去の作品を意識せずにすんだと言う。るいが一途に東吾を愛する素直なまなざし、その一方で旅館の女主人として、どんと構えている姿など、るいの新たな魅力を演じきった。

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第2章で"おなじみ感"が

 『御宿かわせみ~第2章』(全16回)と銘打った金曜時代劇版「かわせみ」第2シリーズは、1年後の2004年4月から放送が始まった。
 前回は20年ぶりに復活したということで、やや肩に力が入り気味だった出演者、スタッフだったが、このシリーズでは「いい意味で"緩み"が出て、それが味になっている」と指摘したのは平岩弓枝。気心の知れたおなじみの顔ぶれ、それは快適さと同時に生き生きとした現場を作ることになるという。「かわせみ」のもつ温かい人情世界が、まさに体現されていったといえそうだ。
 「かわせみ」人気は、るいと東吾の切ない恋とともに、1話完結で事件を解決していくテンポのよさ、そして2人を取り巻く人々のさまざまな個性。とぼけていたり、生真面目だったり、とにかく人間味豊かな顔ぶれが毎回、さまざまな役割を担って登場する。その"おなじみ感"が見る側にも魅力となっているようだ。

 

東吾とるいがついに・・・

 そして再び1年後の2005年5月、金曜時代劇『御宿かわせみ~第3章』(全12回)が始まった。
 第2章、第3章とも、やはり一部キャストの入れ替わりはあったが主な出演者は共通だ。新鮮な顔ぶれといえば、定町廻り同心・畝源三郎を沢村一樹が演じている。
 第3章最大の見どころとなったのは、なんといっても忍ぶ恋を続けてきたるいと東吾が、さまざまな障害を乗り越えて、ついに結ばれたこと。
 3年間にわたって、るいを演じてきた高島礼子は、台本を読んだときは「やっと結婚するんだ」とほっとしたような気分だったそうだ。ところが、いざ祝言を挙げるシーンの撮影が始まると、その眼から涙がわき上がり、止まらなくなった。長年、演じてきたことで、るいと気持ちが同化してしまい、とても幸せな気分になれたという。
 東吾役の中村橋之助もやはり「じーんときた」と話して、「ジミ婚だけど、地味な中に周りの人たちの温かさが伝わってくるいい祝言でした」と話していた。


 

 小説『御宿かわせみ』は、1973年から連載小説がスタートし、2005年まで出版社を変えながら30年余りにわたって書き続けられた作品だ。
 根強いファンのいる小説のドラマ化だったが、江戸下町情緒を生かした作品は前半の水曜時代劇版、後半の金曜時代劇版、ともに好評を博した。
 その後、小説は明治維新以降に飛び、子ども世代が中心の『新・御宿かわせみ』となっている。こちらも、いずれドラマ化することになるのだろうか。そのときのキャストなどを想像してみるのも楽しい。

水曜時代劇『御宿かわせみ』第1シリーズ
◇放送期間:1980年10月8日〜1981年3月25日
◇原作:平岩弓枝
◇脚本:大西信行
◇演出:佐藤幹夫、松橋隆、清水満 ほか
◇主題歌:『祭りばやしが終わるまで』歌:高橋真梨子
◇出演:庄司るい:真野響子
    神林東吾:小野寺昭
    畝源三郎:山口崇
    神林通之進:田村高廣
    神林香苗:河内桃子
    嘉助:花沢徳衛
    お吉:結城美栄子
    長助:大村崑
    徳松:村上弘明  


水曜時代劇『御宿かわせみ』第2シリーズ
◇放送期間:1982年10月6日〜1983年4月13日
◇原作:平岩弓枝
◇脚本:大西信行
◇演出:佐藤幹夫、松橋隆、清水満 ほか
◇主題歌:『祭りばやしが終わるまで』歌:高橋真梨子
◇出演:庄司るい:真野響子
    神林東吾:小野寺昭
    畝源三郎:山口崇
    神林通之進:田村高廣
    神林香苗:河内桃子
    嘉助:花沢徳衛
    お吉:結城美栄子
    長助:大村崑
    徳松:塩屋智章


金曜時代劇『御宿かわせみ』
◇放送期間:2003年4月4日〜5月30日
◇原作:平岩弓枝
◇脚本:古田求、斎藤樹実子、梶本恵美、前川洋一
◇音楽:大島ミチル
◇主題歌:『悲しい歌はきらいですか』歌:田川寿美
◇演出:片岡敬司、富沢正幸、勅使河原亜紀夫
◇出演:庄司るい:高島礼子
    神林東吾:中村橋之助
    畝源三郎:宍戸開
    神林通之進:草刈正雄
    神林香苗:仁科亜季子
    嘉助:小野武彦
    お吉:鷲尾真知子
    長助:蛍雪次朗


金曜時代劇『御宿かわせみ〜第2章』
◇放送期間:2004年4月2日〜7月23日
◇原作:平岩弓枝
◇脚本:斎藤樹実子、池田政之 ほか
◇音楽:大島ミチル
◇主題歌:『悲しい歌はきらいですか』歌:田川寿美
◇演出:富沢正幸、松岡孝治 ほか
◇出演:庄司るい:高島礼子
    神林東吾:中村橋之助
    畝源三郎:宍戸開
    神林通之進:草刈正雄
    神林香苗:仁科亜季子
    嘉助:小野武彦
    お吉:鷲尾真知子
    長助:蛍雪次朗


金曜時代劇『御宿かわせみ〜第3章』
◇放送期間:2005年5月13日〜8月5日
◇原作:平岩弓枝
◇脚本:相原かさね
◇音楽:大島ミチル
◇主題歌:『悲しい歌はきらいですか』歌:田川寿美
◇演出:富沢正幸、松岡孝治 ほか
◇出演:庄司るい:高島礼子
    神林東吾:中村橋之助
    畝源三郎:沢村一樹
    神林通之進:草刈正雄
    神林香苗:仁科亜季子
    嘉助:小野武彦
    お吉:鷲尾真知子
    長助:蛍雪次朗


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みなさんからの投稿

  • 真野響子さんと小野寺昭さんの御宿かわせみは本当に小説を見ているようで楽しみでした。美人の女中と一両二分の女もこのお二人でドラマがあったように思えるのですがどなたかご存知ではないでしょうか?

    ねこ|投稿日2011年07月24日 22:13

  • ぽんさんへ
    ご指摘のとおり、結城美栄子さんが「お吉」役で、青地公美さんは「おきく」役でした。
    失礼しました。出演者リスト修正します。汗。

    オトメンさんへ
    沢口靖子さんも良かったですよね。確かテレビ朝○でしたが・・・

    アカイさん|投稿日2011年07月08日 11:46

  • 確か、沢口靖子さんと村上弘明さんが出演していたのもあったと思うのですが、私としては、その二人の「御宿かわせみ」がもう一度みたいのですが、何か情報があれば教えて下さい。よろしくお願いします。

    オトメン|投稿日2011年07月08日 02:16

  • 真野響子さんのシリーズは何度見ても飽きません。是非デジタルリマスターで再放送してください。ところでお吉役は結城美栄子さん、青地公美さんはおきく役だったような気がするのですが・・・。

    ぽん|投稿日2011年07月07日 14:43

  • 小野寺さんが「太陽にほえろ!」の殿下(島刑事)のイメージのまま東吾さんにスライドしてきた感じで、すっごくよかったです。

    更紗|投稿日2011年02月07日 12:32