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本屋さんは必要?大型書店が消える一方で増える独立系書店・・・ 書店のこれからについて王林さん・ブックアドバイザーの菊池壮一さんと考えます。

5月17日放送 発見!あおもり深世界「どうなる!?まちの本屋さん」より
  • 2024年05月17日

まちから書店が消えてゆく

4月30日、弘前市土手町にある県内有数の大型書店「ジュンク堂」が12年の歴史に幕を閉じました。   
弘前市では、これまで2000年に今泉本店が、2019年に全国展開する紀伊國屋書店が閉店。   
八戸市でも去年、96年間地元に親しまれた木村書店が店を閉じました。   
県内の書店は10年前の4分の3ほどに減っています。

本屋さんは必要?

まちの人たちは書店についてどう思っているのか、青森市で話を聞いてみたところ、以下のようなさまざまな意見が聞かれました。

(書店は)必要だと思う。決まった本を買いに行く場合もあるけど。

読む人のニーズ、そういうのに合わせて変化していくものなのかな。

ネット販売とかで、買うことが多い。

今回のゲストは、ブックアドバイザーの菊池壮一さんです。 
菊池さんは東京・池袋の大型書店で40年務めたのち、その経験を活かして日比谷図書文化館で様々な企画を手掛けてこられました。

菊池さんは、書店が減少した理由を次のように考えています。

菊池さん「1996年をピークにして本の売り上げは落ちてきているわけですけど、2000年に大きなネット書店が日本に上陸してきまして、その影響も大きかったかなと思います。さらに、スマートフォンを使用する時間が読書の時間を奪ってしまっているというところもあると思います。そういうことに対して、書店の方もいまひとつ、力を入れて対策を練ってこなかったという部分もあると思います」

増える“独立系書店”

こうしたなか、実は今、新しい書店が誕生する動きもあります。      
2020年にオープンしたこちらの書店。元は居酒屋だった7坪の店内に、およそ1500冊の本が並びます。 

店主の奈良匠(なら・たくみ)さん。この書店を一人で営んでいます。以前は青森市のホテルで働いていましたが、4年前、本好きがこうじて、地元・弘前で書店を始めました。

奈良さんのお店のような、個人が経営する規模の小さい本屋さんは「独立系書店」と呼ばれ、いま全国的に増加傾向にあります。 

独立系書店の魅力のひとつは店主こだわりの選書にあります。      
こちらの棚のテーマは「人生について考える」。単行本や文庫本、古典文学からコミックエッセイまで。従来の書店では同じ棚に並ばない本が収まっています。

自分で選んだ本を売ることに喜びを感じる一方で、経営の厳しさも感じています。

奈良さん「本の利幅、要は利益の部分が定価の2、3割なんですよ。そういうなかでやっぱり切り盛りするっていうのはうちに限らずいろんな書店さんが大変なんじゃないかなと思います」

店主・奈良匠さん

奈良さんは従業員を持たないことで、なんとか経営を成り立たせています。      
まちに書店があることを大切に考えているからです。

奈良さん「本屋さんって、本屋さんが中心っていうわけではないと思うんですよね。ほかの周りにいろんな文化があっての本屋だと思うので。例えば音楽なり、映画なり演劇なりアートだったり、そういう文化を支えるような、本屋としての立場っていうのが大事にしていきたいなと思っています」

独立系書店は、個人が経営していて、選書(ラインナップ)に独自性がある書店のことをいいます。     正確な店舗数はまだ調査が進んでいませんが、全国的に増えていると言われています。

こうした書店が増えているのはなぜなのか?菊池さんは次のように考えています。

菊池さん

こういった書店を経営する方はやはり、本に対する思い入れが強い方が多いと思います。なんとか書店の灯を消してはならないと、そういう思いに支えられている部分は大きいと思います。    
棚ごとに棚主を変える“シェア型書店”というのもありますし、自分でネット通販を工夫して行っていたり、そのなかで本の紹介をされていたり、古書も導入したりという形で頑張っていらっしゃいます。

老舗書店の取り組み

こうしたなか、県内の老舗書店はどうやって経営を維持しているのか、取材しました。

青森市、新町商店街にあるこちらの書店。去年12月、店舗内を大幅リニューアルしました。

書籍を3割減らし、3階にあった文具コーナーを1階に移動。売り場をコンパクトにしました。

店長・栃木史穂さん

栃木さん「こちらインバウンド需要が高くてですね。万年筆を手前のほうにもってきております。おかげで筆記の売り上げがあがっております」

青森港にはことし過去最多の38回、クルーズ船の寄港が予定され、外国人観光客の増加が見込まれています。港に近い、この書店でも外国人客の姿が目立ちます。 

この書店では、インバウンド需要を取り込みながら、長年、親しまれてきたこの店を守りつづけたいと考えています。

社長・福田則人さん

福田さん「要するに効率を求めていくっていうところでの複合書店として、文具もあり、CDもあり、本もありっていうなかで情報発信基地としての成田本店っていうものを崩さないようにやっぱり頑張っていきたい」


弘前・土手町から1分のところにあるこちらの書店。 
大正13年に創業、ことしでちょうど100年目になります。 
もともと、この店の店主の祖父が始めたこのお店。 
家族や従業員で顧客をつなぎとめながら100年間、守ってきました。

この書店が長年力を入れているのが定期購読者への配達です。 
その数のべ400か所にものぼります。 

配達先のこちらの店とのつきあいも45年以上になります。

宝飾店 店主・大浦カツさん

大浦さん「やっぱり黒滝(書店)さんがいちばんいい。やっぱり個人のお店を大事にしたいと思うから」

店主・米澤京子さん

米澤さん「うちにできることをしていこうというのでコツコツコツコツとやって来ました。皆さん続けて私が持ってくのを待っていてくれている、そんな感じ。本当に皆さんに感謝ですね。感謝しかないです」

市が運営する本屋さん

書店の経営が難しくなってきているいま、こうした地域の書店を守ろうと、行政が動き出しています。

八戸市の中心市街地にある「八戸ブックセンター」。 
明るい店内には、落ち着いて本が読めるイスやハンモック。 
読書会ルームや執筆のためのブースも。

最大の特徴は、市が運営する公共施設だという点です。

扱う本には民間書店とのすみわけがあります。 
哲学や宗教、歴史など「人文書」と呼ばれる、一般的にはあまり売れ筋ではないジャンルが目立ちます。   

八戸ブックセンター・森佳正さん

森さん「お客様の注文を受けない限り(民間の書店で)なかなか店頭で置かないようなものが多かったりする商材になります。それを公共が補完できないかというのが一つのコンセプトです」

よく売れる本は民間書店で買ってもらい、ここではそれ以外の本を扱う。 
市民は市内のどこかでお目当ての本に出会うことができます。

八戸ブックセンター・所長 音喜多信嗣さん

音喜多さん「どこで本に出会うかっていうのは人それぞれだと思いますので、その中で選択肢が増えるっていうのは、やはりこれからには絶対必要なことなのかなっていうふうに考えてます」

さらに店舗運営でも、市の職員だけでなく、民間の書店も関わっています。      
書店員として、民間書店で作る組合からスタッフを派遣してもらい、市からは、組合に人件費が支払われるという仕組みになっています。

またブックセンターでは、あらゆる機会を使って本との出会いの場を提供しています。     

この日行われたのは、三戸町出身の作家・髙森美由紀さんのトークショー。 
地元を舞台にした小説の発売を記念して行われました。

作家・髙森美由紀さん

髙森さん「なかなかその書店さんとかと絡む機会がないし、また読者さんともちろんほとんどないので。貴重な体験をさせていただいてありがたいと思っています」

参加者 

参加者「トークショーっていうのはなんか敷居が高いような気がして、出たことがなかったんですけど、地元の高森さんのお話だっていうので、楽しかったですよ」

八戸ブックセンターでは、自治体が運営する書店として、本を通じたこうしたイベントも重要な役割だと考えています。 

音喜多さん「そもそもとして本と出会う場所がなくなるっていうのが一番、あってはならない。そういった中でやはり商売だけでない考え方の私たちのようなあのブックセンターの立ち位置っていうのは、まちの中にやはりあるべき姿ではあるのかなと」

どうなる?まちの本屋さん

八戸ブックセンターの取り組みについて菊池さんは、次のように考えています。

菊池さん 

八戸ブックセンターは私も一度うかがいましたが、品ぞろえ、店舗環境、それから地元の書店と連携されているという部分に関しても、とにかくすばらしいと思います。公金を本に関することに投入するというと図書館が頭に浮かびますが、図書館は本を買って読むということにはなかなかいかないので、公金を書店につぎ込んで、「本を買って読みましょう」とかあるいは「読書推進をはかります」とか、そういうことはやはりすばらしいことだと思います。    
もし許されるのであれば、学校でもですね、電子を導入するばかりではなく紙の本の大切さ、そういったものを教えていっていただければいいのかなと思います。


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