地域みんなで助かるために
- 2024年03月29日
こんにちは!NHK青森放送局アナウンサーの北向敏幸です。
皆さんは災害への備えをしていますか?私は、自治体発行の水害ハザードマップで自宅周辺の状況を確認しています。普段からのちょっとした心構えが大切ですよね。
そして地域に目をちょっと広げてみると、災害時に心配なのは高齢者や障害のある人たち。万一の場合、自力では避難することが難しい人も多いんです。
NHKでは自治体とタッグを組んで、そうした人たちの避難をどのように進めるかを考える「地域ミーティング#みんなで助かるために」を全国で行っています。今年(2024年)3月9日、県内で初めての地域ミーティングが弘前市との連携で開催されました。
町会長や地域の皆さん、福祉関係者など120名近い方にご参加いただきました。
この地域ミーティングが目指すのは、具体的な「個別避難計画」作成の後押しです。
「個別避難計画」とは、高齢者や障害のある人など、災害時の避難に支援を必要とする一人ひとりの状況に合わせた避難のプランです。避難の際に支援を必要とする人を「要支援者」と呼びますが、過去の災害ではそうした人たちが犠牲になるケースが相次ぎました。そこで要支援者それぞれの状況に合わせた「個別避難計画」を事前に作成する努力義務が自治体に課されています。
個別避難計画では「いつ」「どこへ」「誰と一緒に」「どうやって逃げるか」を定めますがでは具体的に避難をサポートするのは誰でしょうか?
それは地域の人たちです。大規模な災害の時、自治体の担当者がすべての避難をサポートするのは不可能だからです。そこで大切になるのが地域のみんなの力です。
今回は弘前市の4つの町会の皆さんに集まっていただきました。どの町会も岩木川のそばにあり、洪水などが発生すると浸水が想定される地域です。町会ごとにグループに分かれ、ワイワイ話し合いながら進めていきました。
今回、避難の際に支援が必要なご本人やご家族にも参加していただきました。まずは不安に感じていることを挙げてもらいました。
80代の要支援者の家族
「酸素ボンベを使用していて、災害時に停電になると機械が使えなくなる。外出用のものもあるが長時間は持たない」
80代の要支援者
「足が不自由で長い距離を歩くのは不安」
70代の要支援者のケアマネージャー
「要支援者は病気のため長時間座ることができない。時々横になる必要がある」
「横になるのにも誰かの手助けが必要。避難場所は迷惑がかかるかと行きたがらない」
10代の要支援者の家族
「避難の際に本人が興奮してパニックになるかも。周りに迷惑をかけてしまわないか不安」
それぞれの立場で様々な不安があることが分かり、一人ひとりに合わせた避難計画の必要性を実感しました。
課題が分かったところで、誰一人取り残さない避難のために何に取り組んでいくか話し合いました。多く挙がったのは「顔と顔が見える地域のつながり」です。
「町会で支援できるようにして、要支援者の家族がいない状況でも避難ができるようになれば」
「今回のミーティングで要支援者の家族と町会がつながったのがよかった」
「町会を率いるメンバーが高齢で存続の危機。若い人が出てこれない状況を変えなくては」
「ミーティングに来るまでは何をするのか半信半疑だったけど、これを出発点として考えていきたい」
さらに青森ならではのおもしろい意見もありました。
「『地域ねぷた』があるから、そのつながりも生かしていきたい」
弘前市には夏祭り「弘前ねぷたまつり」があります。大型の山車が何台も出陣する歴史ある祭りですが、祭りに合わせて小型の山車を製作して練り歩く地域があります。祭りであれば気軽に楽しく参加できますし、そのつながりは万一の際の避難に生かすことが出来ますね。
NHKでは今後も「地域ミーティング」を行う予定です。
県内の自治体で「ぜひ私たちのところでも開催したい!」というところがありましたら、ぜひNHK青森放送局にお問い合わせください!