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信号機のない横断歩道 車に一時停止してもらうためには!?

  • 2022年04月11日

今回は八戸市在住の「おばちゃんドライバーさん」から質問が寄せられました。

「おばちゃんドライバーさん」がこのような疑問を持つようになったのは、3年前に子どもと2人で長野県を訪れたときのこと。

信号機のない横断歩道の近くで立ち止まって話をしていると、道路を走ってきた車が急に停止したといいます。どうして止まったのか、疑問を感じましたが、ドライバーが2人をずっと見ていたので、横断歩道を渡ってもらうためだと気がついたそうです。

「おばちゃんドライバーさん」にとって、この出来事は衝撃的だったといいます。なぜなら、青森県では信号機のない横断歩道を渡ろうとしても、車がなかなか止まってくれないからです。

青森県でも、車が止まってくれるようになるためにはどうしたらいいのか、考えるようになったといいます。

車は一時停止の義務が!

そもそも道路交通法では、歩行者や自転車が横断歩道などを横断したり、横断しようとしているとき、車は一時停止しなければならないと定められています。一方で、青森県ではこのルールが実際には守られていないという現状があります。

JAF=日本自動車連盟が去年行った調査によりますと、信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしている際に、一時停止をする車の割合は、青森県は14%で全国で3番目に低い結果でした。

実際に、死亡事故も起きています。ことし3月には、八戸市で60代の男性が信号機のない横断歩道を渡っていたところ、車にはねられて死亡しました。

車は止まらない?実際に渡ってみた

信号機のない横断歩道で実際に車はどのくらいとまるのか。
「おばちゃんドライバーさん」がよく通るという八戸市新井田にある横断歩道で検証してみました。
現場は片側1車線の直線道路で、車がひっきりなしに通行しています。

横断歩道を渡ろうとチャンスをうかがいましたが、車はほとんど止まってくれません。
私だけでなく、多くの歩行者が、なかなか渡れずにいました。
検証の結果、50台の車のうち一時停止したのは約2割の11台にとどまりました。

JAFが全国のドライバーに行ったアンケートでは、一時停止をしない理由について「歩行者が渡ろうとしているのかわからない」という回答が多かったということです。

“ハンドサイン”で一時停止率が大幅にアップ!

こうしたなか、三重県では歩行者のちょっとした取り組みで、一時停止をする車が大幅に増えたといいます。

それが、ドライバーに横断歩道を渡る意思を手を挙げて示す“ハンドサイン”です。
ポイントは、歩行者がドライバーに視線を向けて、手を挙げること。
車が止まってくれたら、左右の安全をもう一度確認することや、ドライバーに感謝の気持ちを伝えるため、軽く会釈をすることも大切です。

三重県では、3年前(令和1年)には一時停止率が3.4%と全国最下位でしたが、ハンドサインを呼びかけるキャンペーンなどもあって去年は47%まで増加し、全国で上から7位と大幅に改善しました。

ハンドサインで車が止まった!

本当にハンドサインで車は止まるのか。八戸市新井田の横断歩道で検証してみました。

走ってくる車に向かって手をあげてみると。
私に気がついて止まってくれました。反対車線の車も停止しました。

実際にドライバーの目線で見てみると、渡ろうとしているのがはっきりとわかります。
50台にハンドサインを試した結果、止まった車は約6割の29台にのぼりました。

この「ハンドサイン」について、三重県警察本部で3月まで交通安全対策室長を務めていた伊藤勝彦さんに聞きました。

「ドライバー側からすると、横断歩道の付近に人がいるのはわかっていても、その人が果たして横断歩道を渡るのかどうかわからないこともあります。歩行者が意思表示をするのがいいと思い、ハンドサインのキャンペーンを始めました。手を挙げて横断歩道を渡るのは恥ずかしいとか抵抗があると感じるかもしれませんが、ドライバーは、横断するんだなということがわかって止まるようになりますし、歩行者も安全に横断することができるので、ハンドサインをお願いしたいと思います。」

青森県でもハンドサインを呼びかけ

実はこのハンドサイン、青森県警察本部も呼びかけています。

このようなポスターを、去年11月から県内の警察署に掲示するなどしています。
ポスターには「ハンドアンドサンクス」と書かれていて、信号機のない横断歩道を渡る際には手を挙げることと、ドライバーにお礼をすることを呼びかけています。

恥ずかしがらずにハンドサインを!

横断歩道で手を挙げるのは子どもがすること、といったイメージを持っている人も多いかもしれませんが、手を挙げるのは難しいことではありません。

私はハンドサインをして車が止まってくれたとき、意外に止まってくれたので、うれしい気持ちになりました。皆さんもぜひ試してみて下さい!

  • 小原敏幸

    記者

    小原敏幸

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