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青森・外ヶ浜 ベトナム人技能実習生のお願い「もっと 友達がほしい!!」

出張!ナノコエ
  • 2021年07月02日

今回耳が出張したのは、トゲクリガニシーズンまっただ中の外ヶ浜町。

このトロッとして濃厚なミソをもつ旬のトゲクリガニを堪能するため・・・
ではなく!みなさんの素朴な疑問やお悩みを聞くべく、蟹田駅前の直売所と、陸奥平舘郵便局前に耳を置きました。

声を寄せてくれた22組のみなさん、ありがとうございました!

外ヶ浜町で若者が増えている?

みなさんが口を揃えて話してくれたのは、「人が減って寂しい」というお悩み。
昔はたくさんあった商店が減っていき、地域のイベントも少なくなりました。
そんな中、「最近たくさん外国人の若者を見かける」という声が!
いったいどういうことなんでしょう。
詳しく知っている人がいないか、耳の横で待ち受けていると・・・
あ!この人たちのことでしょうか?

仕事帰りに立ち寄ってくれた、ベトナム人の技能実習生のふたり。左にいるのがハーさん、右がヴィエンさんです。
外ヶ浜町でも、「技能実習生」が徐々に増えてきているそう。
お仕事大変じゃないですか?

ハーさん
「大丈夫よ。仕事は、楽しみ。(一緒に働いている日本人の)お母さんと話せるから、楽しいです。」

よかった~。職場の人と仲良いんですね。
ふたりの仕事もちょっとのぞかせてもらいました。
やっているのは、魚介類の加工。
ホタテのウロ(食中毒の危険がある黒い部分)をとったり、焼干しの加工をしたり。

細かい作業を手際よくこなしていました。
2年前からここで働いているふたり。
まだ日本語が苦手な後輩たちに、ベトナム語で仕事を教えているそう。

ここではなんと、従業員の約4分の1がベトナムから来た技能実習生。
工場にとっても、大事な存在になっているんですね。

コロナ禍での技能実習生の悩みとは?

外ヶ浜町で一生懸命働くふたり。
お悩みは、「コロナ禍で、人に会えなくて寂しい」こと。
なぐさめになっているのは、家族との電話。
仕事が終わってから、毎日2~3時間必ず話しているそう。

実はハーさん、6歳になる息子をベトナムに残し、旦那さんと一緒に日本に働きに来ていました。
お金を貯めて、家族で暮らす家を建てること、勉強好きな息子をちゃんと学校に行かせることが夢だそう。

ハーさん
「もう会わなくなって2年間過ぎる。「お母さん帰ったら、大きい大きい家建ててくださいね。2階・3階(の家がいい)、1階はダメ。」って(笑)子どものためにがんばってる。」

旦那さんは、外ヶ浜ではなく、千葉で働いています。
以前は千葉に会いに行くこともありましたが、コロナ禍の今、それもかないません。
大事な家族と離ればなれ。寂しさがつのりますよね。

コロナ禍で減っていく交流の場

ほとんどの時間を寮と会社で過ごすふたり。
そんな中でも、楽しみにしていたのは、会社を通じて参加していたねぶた祭やお花見、地域のイベントでした。

地域の人と話したり、日本の文化を知ったりして、家族と会えない寂しさも紛らわすことができた大切な時間。
こうしたイベントも、コロナ禍で中止せざるを得なくなっていました。

私が取材に行ったときに、ヴィエンさんがこんな言葉をくれました。

ヴィエンさん
「あなたが来てくれて嬉しい。日本人の友達、本当にほしい。」

家族と離れ、地域との繋がりも減っている今、楽しく話せる日本人の友達がほしいみたい。
なにか力になれる方法はないか取材してみます!

青森の外国人と日本人をつなぐ交流会って?

コロナ禍でも、ふたりが気軽に日本人と交流できる方法を探すと、こんな団体が。
「青森おはなし国際ひろば」。
青森に住む外国人と日本人をつなぐ交流イベントを行う団体です。

団体の代表 森内力也さん
「技能実習生は、同じ地域に住んでいても(日本人との)つながりが少なくて、ずっと家にいたりすることが多い印象があります。悩みだったりを相談できる場所を作りたい。」

もともと対面でイベントを開催していた森内さん。
今はオンラインで交流イベントを開催しています。
ハーさんとヴィエンさんの話をすると、突然の申し出にもかかわらず、オンラインでのイベントを企画してくれました。

ふたりもベトナム人の参加者を見て、ちょっとほっとした様子。
日本の夜行バスの辛さや、花見の思い出、家族の話、いろいろな話で盛り上がります。
特に盛り上がったのは、お互いの国の料理の話題。
写真を画面共有しながら、ベトナムのつけ麺「ブンチャー」や、外ヶ浜町の発酵食品「すかかす」など、いろんな料理を紹介しあっていました。
あんまりにもベトナム人の3人がブンチャーを懐かしがるので、よっぽど美味しい食べ物なんでしょうね・・・。
横で聞いていた私も、ブンチャー食べてみたくなっちゃいました。
ちなみに「すかかす」は和風ヨーグルトと形容されるお粥の発酵食品。
こんな不思議な料理があるなんて・・・青森の食も奥深いです。
お互いの料理を持ち寄ってパーティをしたいという話も。
コロナが落ち着いたら、ぜひ私も参加させてほしいです!

1時間以上続いた交流会も終了。
ふたりとも、交流会どうでしたか?

ヴィエンさん
「(次はみんなで料理作るパーティを)やりたいですね。楽しみと思います。」

ハーさん
「この女の人は、外ヶ浜の人?会える?会いたいね。」

楽しんでくれてよかった~!
ふたりがベトナムに帰る前に、次は直接会って、もっと仲良くなれたらいいですね。
私も次ふたりに会うときは、地元大分の郷土料理「やせうま」を持って行こうっと。
お口に合うかな~。
コロナ禍の中、ふたりに限らず新しい友達と知り合うことって難しいですよね。
私もコロナが流行してから青森に赴任になったので、全然友達ができない!と悩んでいました。
そんなとき一番嬉しいのは、誰かが自分のことを気にかけてくれることだなーと思います。
ふたりが働いている地域では、野菜や魚、アイスクリームを技能実習生に差し入れしてくれる人や、少しでも日本で暮らしやすいようにと、色々工夫しながら日本語を教えている人もいました。こういう「ちょっと気にかけてくれる人」の輪が、今回の交流会や番組を通じて広がっていくとうれしいです。

  • 平井良江

    ディレクター

    平井良江

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