弘前さくらまつり ことしはどうなる?
- 2021年03月22日
今回は去年、新型コロナの影響で中止になった「弘前さくらまつり」について、ことしはどうなるのか、というテーマについて考えてみたいと思います。
「やってほしいけど…心配」
まず、弘前市の皆さんがことしの弘前さくらまつりについて、どう思っているか聞いてみました。
「去年みたいに門を閉めてしまうと、すごく残念」
「去年は寂しかったから、ことしはやってほしいけど、全国から観光客がたくさんくるのは心配」
開催してほしいという人が多かったのですが、新型コロナの感染拡大を心配する声も一部に聞かれました。
私はおととしの夏に青森県に転勤してきて、弘前さくらまつりを楽しみにしていましたが、まだ弘前公園の桜を見ることができていません。ことしこそ見に行きたいという気持ちは強いです。ただ、まつりをきっかけに感染が拡大しないかという意見はもっともだと思いました。
「共通認識はさくらまつりの開催」
弘前市の桜田市長はどのように考えているのか、聞きました。
「皆さんの共通の認識は、さくらまつりを開催してほしい、日本一を自負する桜を多くの方で楽しみたいということだと思います。ことしは弘前さくらまつりを開催します」
弘前さくらまつりは弘前市と商工会議所、観光コンベンション協会、観光物産協会の4つの団体が主催していて、4者は4月23日から5月5日まで開催する方向で準備を進めています。
開催の判断 理由は?
去年は弘前公園の歴史上初めて、公園を閉鎖して、弘前さくらまつりを中止しました。新型コロナは、まだ収束していませんが、なぜ、ことしは開催へと舵を切ったのでしょうか?
去年、中止を決断した時点では、新型コロナは未知の感染症でした。しかし、ことしは三密の回避や、飲酒を伴う飲食を避ければ、感染を防止できることがわかり、状況は大きく変わりました。
また、2年連続で中止になれば死活問題だという経済界の声にも配慮せざるを得なかったと思います。
「ゴーストタウン」「打つ手がない」
弘前市では新型コロナの影響で苦しむ飲食店などを支援しようと、2月から3月にかけて、毎週水曜日、市役所で飲食店などの弁当をテイクアウトできる「弘前エール飯マーケット」が開かれています。出店した飲食店などに現在の状況を聞きました。
「緊急事態宣言もあって、お客さんの動きがなく、安いプランを赤字覚悟で出して、なんとか経営しているという状況です。ことし、さくらまつりがないと、もう打つ手がないのでやっていただきたいのが本音です」
県内最大のイベント
青森銀行のコンサルティング会社、「あおもり創生パートナーズ」によりますと、おととしの弘前さくらまつりを訪れた観光客は289万人。青森ねぶた祭を上回って、県内のイベントで最も多い人出でした。さらに去年、中止になったことでおよそ290億円にのぼる損失があったと試算されています。
新型コロナの地域経済への影響は1年以上続いていて、まつりの開催で経済の回復につなげたいという経済界の声も理解できます。
感染防止対策は
では、どのような対策をとって、さくらまつりを開催するのか。今のところ決まっている対策です。
飲食は大丈夫?
飲酒は禁止されているものの、飲食は可能な点について、不安に思う方もいるかもしれません。
弘前市は、飲酒の感染リスクが最も高いとして禁止し、歩きながらの飲食もリスクが高いとして禁止にしました。
一方で、家族や少人数での飲食については、感染を拡大させるリスクは低いと判断して認めることにしました。
こうした対策の検討にあたって、弘前市は県とも相談し、ほかの地域の対策も参考にしています。今後、さらに対策の詳細を詰めることにしています。
弘前さくらまつりが安全に開催できるかは、その後に控える青森ねぶた祭をはじめとする各地の祭りにも影響すると思いますので、引き続き、注目していきたいと思います。