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青森のりんごはなぜ木箱に入っているの!?

執筆者森谷日南子(記者)
2023年03月16日 (木)

青森のりんごはなぜ木箱に入っているの!?

八戸市のまめランにゃーさんからこんな質問が届きました。

八戸市のまめランにゃーさんからの質問

「木箱にりんごが入っている様子は趣があってステキなのですが、作業する農家さんにとっては重くて大変なのでは?と思います。それでも木箱が使われるのには理由があるに違いないと考えますが、実際のところどうなのでしょうか」。

これまで、りんごの競りなど木箱に入ったりんごのニュースをたびたび取材してきましたが、なぜかと聞かれると確かに知らない…。

どうして使われているのか。
りんごに関わるプロの皆さんにお話を聞きました。

津軽りんご市場

まずやってきたのは、板柳町にある「津軽りんご市場」です。

取材に訪れたのは、ことし(2023年)1月。
市場では、競り人が威勢のいい声を出すと、仲買人が指で値段を示し素早くりんごを競り落としていました。

市場には、ずらーっとりんごの木箱が並べられていました

市場には、ずらーっとりんごの木箱が並べられていました。全体の4分の3ほどを占めていて、残り4分の1はコンテナだということです。

昨年度、この市場で取引されたりんごの量、すべてを木箱に換算するとなんと225万箱分にもなるんです。

お忙しい中でしたがなぜ木箱が多いのか聞いてみました。

お忙しい中でしたが市場や農家の皆さんに協力いただき、なぜ木箱が多いのか聞いてみました。

すると・・・。

競り人
「色が木箱に入れることによって(色づきが)赤くなったような気もする」。

仲買人
「木箱だったら光の反射で、赤いりんごがきれいに見える」

津軽りんご市場 営業部長 對馬智範さん
「スタートが木箱であったのが継続している、というのが一番かと思います」。

姥澤さんとの出会い

さらなる答えを探して向かったのは、りんごの木箱を作る会社です。
社長の姥澤匡柳さんに会社を案内してもらいました。

木箱が高-ーーく積まれていました。

作業場には木箱が高-ーーく積まれていて、まさに壮観!!。
年間の生産量は、なんと12万箱!!。
県内随一の規模なんだそうです。
会社の創業は昭和34年。60年以上の歴史があります。

馬がりんごの入った木箱を運ぶ様子が映し出された古い白黒写真

見せてもらったのは、古い白黒写真です。
撮影日時はよくわかりませんが、馬がりんごの入った木箱を運ぶ様子が映し出されていました。
姥澤さんによると、昭和の中頃までに「りんごを入れるものといえば木箱」という認識が農家の間で広がったのではないかといいます。

そして、姥澤さんは、次の説も理由ではないかと考えていました。

姥澤匡柳さん
「色が薄いりんごがあるじゃないですか。そういうのを木箱に入れて冷蔵庫に貯蔵しておくんですが、そうすると入れたときよりも色が赤くなっている」。

木箱を作る作業風景

木箱が何らかの作用をして、赤いりんごの色がより濃くなるのではないかというのです。

最近、売り上げが減少傾向にあるというりんごの木箱。
姥澤さんは、木箱の魅力も次の世代に伝えていきたいと考えています。

姥澤匡柳さん
「(購入の)件数は減っているかもしれないですが、自然なものを切り出して形にしているが、それを置いているだけで、なんとなく自然を感じられると思うのでそういう魅力がある。市場に並んだ様も、やはり木箱のほうが魅力を感じますし、きれいですよね。そういう意味では木箱をずっと使ってほしいなと思います」。

さて、ここまでの取材結果を整理します。
大きく分けて3つの説が出てきました。

ここまでの取材結果 大きく分けて3つの説が出てきました。

 ①りんごを入れて貯蔵すると赤い色がさらに濃くなるから?
 ②箱に入れると光の反射で赤いりんごがきれいに見えるから?
 ③りんごを運ぶために入れたものが最初、木箱だったからでは?

このうち、①の赤い色がさらに濃くなるという説に関して根拠はあるのか、弘前大学でりんごを研究する田中紀充准教授に聞いてみました。

弘前大学 田中紀充 准教授
「りんごを木箱に入れるだけでは赤くなることはありません。貯蔵中に低温で、かつ光が当たる条件が必要です。木箱のぬくもりがりんごを赤く見せているかもしれません。これは、みかんを赤やオレンジのネットに入れておくと色づきがよく見えることと同じかもしれません」。

科学的根拠はないとのことでした。

このほかも青森県やりんご研究所など、りんごに関わる人たちに聞いて回りましたが、明確な根拠にまではたどり着くことができませんでした。

まめランにゃーさん、ごめんなさい!。

それほど青森のりんごは奥が深い…ということなのかもしれません。

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