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大雨から1か月・美しい夕日の町 残る被害の爪痕

執筆者平岡千沙(記者)
2022年09月12日 (月)

大雨から1か月・美しい夕日の町 残る被害の爪痕

県内各地で浸水や農業被害などが相次いだ先月の大雨。被害の大きかった自治体や産業の1か月たった今をシリーズで伝えていきます。

最終日はわたし、青森放送局の平岡が、鉄道の運転再開の見通しが立たないなど、被害の爪痕が残る深浦町を取材しました。

一時孤立した地区は今

松原地区の道路

私が、まず向かったのは、山あいにある「松原地区」です。
増水した川の流れで土砂が崩れて道路が陥没し、地区は一時、孤立状態に追い込まれました。
その道路は応急工事が終わり、今月(9月)から片側交互通行で車も通れるようになりました。

道路脇の応急処置の様子

ただ、本格的な道の舗装や川の護岸工事は、まだ着工の見通しが立っていません。

サーモンの稚魚を育てる養殖場

次に訪ねた、サーモンの稚魚を育てる養殖場です。
大量の土砂や流木がいけすに流れ込む被害が出ました。

サーモンの稚魚を育てる養殖場

今回訪ねてみるとほとんどのいけすが掃除され、生き残った稚魚にえさをやるなど日常が戻りつつありました。
一方で、およそ1割のいけすは壊滅状態で、また、作り直さなければなりません。

養殖場を経営する岡村大祐さん

養殖場を経営する岡村大祐さんは、お盆休みを返上して土砂を取り除くなど復旧作業を続けてきました。

養殖場を経営する岡村大祐さん
生きている魚を早く救出していい環境に置きたいというのがあったので、急いで魚を移動した。
大量の魚が死んでしまったのでそれを拾う作業とかは、ぼくら卵から育てているので、非常に残念だなと思いながらやってました。

サーモンの稚魚が泳ぐ様子

およそ80万匹いた魚は今は5分の1のおよそ15万匹に減少。
残った魚も長い期間えさをやれなかったため、生育には懸念が残るといいます。
それでも、今後は、生き残ったサーモンの養殖に励むとともに、再び災害が起きたときの備えについても考えていきたいとしています。

養殖場を経営する岡村大祐さん
ことし1年はどうしても生産量落ち込んでしまうなと思っているんですけども、また来年から気を取り直して大量生産に向けて、お客さんのニーズに応えていけるようにしたい。

夕日

深浦町といえば、日本海に沈む美しい夕日です。車窓に見える景色は鉄道ファンなどの観光客に人気で町を盛り上げてきました。
しかし、土砂崩れなどの被害で、JR五能線の運転見合わせが続いていて、町に暗い影を落としています。

がらんとした深浦駅

観光名所にある飲食店では、先月(8月)はおよそ200人が予約をキャンセルしたということです。
運転が再開され、美しい夕日を目当てにここ深浦町に多くの観光客が戻ってくる、そんな未来を思い描ける状況を1日も早く作り出すことが、地元の人たちにとって復興に向けた一歩になると思います。

青森放送局の平岡千沙記者に聞く

Q.JR五能線の復旧の見通しは?

平岡千沙記者
現状では時期は明確になっていません。
JR五能線は深浦町にとって生活や観光の要です。
影響が深刻であることなどから、三村知事は今月5日と6日に、JR東日本の本社と国土交通省を訪れ、五能線などの運転再開を急ぐよう要望しました。
このうち、JR東日本は、復旧の具体的な時期は示さなかったものの、地域の足を守るべく全力で取り組むと回答したということです。

Q.大雨から1か月たったが、県内の被災地の状況はどう捉えればいい?

平岡千沙記者
夏の豪雨災害は県内では去年に続き2年連続です。
去年は下北半島で、ことしは広い範囲で産業や暮らしに大きな爪痕を残しました。
今回、県内各地の被災地を再度取材してきましたが、復旧にはほど遠い現状も見えてきました。
また、「青森は比較的災害が少ない方だ」という認識は気候変動の影響などもあり、変えていく必要があるのかも知れません。
私たちも引き続き、被災地の復旧・復興、課題などさまざまな観点から伝えていきたいと思います。

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