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副反応は?効果は?乳幼児のワクチンとは?
早瀬翔(記者)
2022年12月08日 (木)

感染者の増加が続いている新型コロナ、注意が必要な状況が続いています。
こうしたなか、青森県でも生後6か月から4歳までの子どもを対象にした新型コロナワクチンの接種が始まっています。
ただでさえワクチン接種の多い乳幼児。どんなワクチンなんだろう。
ほかの予防接種と一緒に打てるの?副反応は出るの?
1歳と3歳の接種対象の2人の子を持つ記者が取材しました。
(青森局記者・早瀬 翔)。
接種が進む現場へ
私がまず訪れたのは、実際にワクチン接種をしている青森市内の小児科でした。
取材に行った日には、事前に予約した10人近くのこどもがワクチン接種のための待合室に通されて、順番を待っていました。
通常の注射と同じく、泣く子がいたり、その泣き声につられて怖がる子どもがいたり。子どものBCGの予防接種について行った現場を思い出しました。
早速、接種を終えた子どものお父さんやお母さんたちにも話を聞いてみました。
県内でかなり感染者が増えてきているし、年末に秋田の実家に帰る予定もあるので、家族のためにも打った方が良いかな。子どもが感染して苦しんでいるのはあまり見たくないので、ワクチンを打って子どもと安全に過ごせればなと思います。
上の子たちもみんな打って、この子だけ打っていなかったので、リスクが高いなかで暮らすのはかわいそうだなと思って打つのを決めました。副反応よりは、打った方が多分良いんじゃないかな。
青森市小児科医会の会長で、今回取材させてもらった小児科の木村義治院長は、ワクチン接種の予約は思っていたよりも少なく、全体的に慎重な傾向があるとした上で、予防効果が期待できるワクチン接種を推奨したいと話していました。
木村義治院長
乳幼児はマスクができないし、あちこちベタベタ触って騒ぐ。ワクチンが唯一予防に対して効果的なものじゃないか。効果は十分あるという報告なので、小児科医としては接種をおすすめしたい。
とはいえ…不安もありますよね
接種が始まっている一方で、なかなか伸びてこない現状が見えてきました。
病院を出て次に向かったのは青森市の子育て支援センター。
小さな子を持つお母さんたちはどんな不安があるのか聞いてみました。
接種させたいなって思います。マスクも出来ない状態なので、どこでかかるか分からないなと思ったときにワクチンしか予防策が具体的にない。ただ、ワクチン以外の予防接種が多いので時期とか組み合わせで変な副作用があるんじゃないかとかちょっと心配かな。
10代未満は副反応とか気になるのでちょっとまだやっていない。痛いとか2、3日で終わる副反応はいいけど、大きくどんと出たときにどうなるのかが怖い。
多くの人が不安に思っているのは副反応でした。
一方で、マスク着用やこまめな手指消毒が難しい小さい子どもをコロナから守るにはワクチンしかないという意見も多く聞かれました。
そもそもワクチンって?
では、乳幼児向けのワクチンとは一体どんなものなんでしょうか。
乳幼児向けのワクチン接種で使用されるのは、ファイザー社製のワクチン。
費用は公費負担で無料で接種が受けられます。
1回の接種に含まれる有効成分は成人の10分の1、5歳から11歳の子どもの3分の1程度と少なくなっているのが特徴です。
有効成分の量が少ないことから、3回の接種で1セット。
1回目の接種から3週間ほどあけて2回目の接種、その後少なくとも8週間以上あけてから3回目を接種するとされています。
ワクチンの効果は?副反応は?
では、ワクチンに期待される効果は一体どんなものなのでしょうか。
ファイザー社が乳幼児を対象に行った臨床試験では、乳幼児用のワクチンを3回接種したあとの「発症予防効果」は73.2%だったということです。
このため、医薬品の審査を行う機関の報告書では、一定の有効性が期待できると判断しています。
一方で、気になる副反応。
ファイザー社が行った臨床試験ですが、生後6か月から1歳では
▽38度以上の発熱が3回とも7%前後
▽機嫌が悪くなった子どもがそれぞれ全体の半数程度
▽食欲の減退がそれぞれ20%ほど
などとなっています。
また、2歳から4歳では
▽38度以上の発熱がそれぞれ5%ほど
▽けん怠感が25%から30%ほど
▽頭痛がいずれも5%近く
などとなっています。
機嫌が悪くなったり、けん怠感が出たりというのは、かなりの子どもで確認されるようです。
ただ、国は、ワクチンの副反応はほとんど軽度か中程度で、回復していることが確認され、現時点では、安全性に重大な懸念は認められないと判断されるとしています。
ほかのワクチンとの兼ね合いは?
そしてこちらも子育て中の人たちから多く聞かれた、接種のタイミングやほかの予防接種との兼ね合いの疑問。
厚生労働省や県によると、新型コロナのワクチンは、乳幼児でもインフルエンザワクチンとは同時に接種できるということです。
一方、インフルエンザ以外のワクチン接種は、原則、接種の間隔を2週間以上空ける必要があります。
つまり、仮に12月1日に新型コロナのワクチンを接種した場合、BCGや水ぼうそうなど、インフルエンザ以外の予防接種は12月15日以降であれば接種できることになります。
細かい接種スケジュールなどはかかりつけ医などに相談すると確実かと思います。
学会は乳幼児ワクチン接種を推奨
ワクチン接種について、日本小児科学会は、
▼小児患者の急増に伴って、重症例や死亡例も増加していることや、
▼これまでの5歳~17歳までのワクチン接種の効果も考慮し、
発症予防のメリットが副反応などのデメリットを上回るとして、
ワクチン接種を推奨しています。
今後も、国の全国旅行支援や年末年始などで人の往来が増えることが見込まれます。感染対策としてのワクチン接種など、家庭で取れる対策を進めていくことが引き続き重要です。