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青森県でも新型コロナとインフルエンザの同時流行はあるのか、どんな備えをすればいいのか、専門家に聞いてみました
平岡千沙(記者)
2022年11月22日 (火)

8月に一度ピークを迎えた新型コロナウイルス。
その後感染者数は減少していましたが、先月から再び増加傾向にあります。
さらにことしはインフルエンザの流行も懸念されています。
同時流行はあるのか、どんな備えをすればいいのか、みなさんに代わって気になる疑問を専門家に聞いてみました。
(青森局記者・平岡千沙/データは11月17日現在)
感染これからどうなる?
今回話を聞いたのはこの人。県感染症対策コーディネーターの大西基喜医師です。
3年近く県内の新型コロナウイルスの感染状況について分析を続けています。
最近の感染状況についてどう見ますか?
一度減った波がまた増えてきたというのは確実。
もうすでに第8波始まっている?
そう考えていいんじゃないでしょうか。
これまでは都会が先行して感染者数が増加して、その後に地方が増える傾向でしたが、特に今まで少なかった秋田県や山形県でむしろ先行するように増えています。全国で本当に波が一斉にきているような感じかなと思います。
いつピークになるんですか?
ピークは分からないんですよね。なぜ分からないかっていうと、特に、ワクチンの接種状況っていうのは、7波の時とか最初のほうと違っているからです。
ただ、(ピークが)12月いっぱいあるいは、年始にかけてもまだ進んでいくということもありえると思います。
インフルエンザとの同時流行
次に気になるのは、インフルエンザとの同時流行。
心配されている同時流行、青森県はどうなりそうですか?
インフルエンザの全国の状況を見ていますと、少なくとも去年とおととしよりは、感染者数が相当報告されている。
インフルエンザが一定程度流行するのは、やはり覚悟しなきゃいけない。
同時流行は県内でもありうる?
ありうると思います。コロナが12月あるいは1月までピークがのびていくとなると、インフルエンザもちょうどその辺でピークになりますんで。
大西医師によると、この2年間は新型コロナウイルス予防のため、手洗いや換気などが徹底され、インフルエンザの感染が抑えられていたんだそう。
ただ、インフルエンザにかかる人が大幅に減ったことで、インフルエンザの免疫力が低下している恐れがあり、それが同時流行の恐れを高めているということもあるそうです。
どんな備えをすればいい?
県が最近明らかにした試算では、新型コロナとインフルエンザのピークが重なった場合、発熱患者の発生は1日で最大で7315人。
休日や年末年始には、熱が出ても病院にかかれなくなるほど、医療提供体制がひっ迫するおそれもあるといいます。
医療提供体制へのひっ迫を避けるために、身の回りの人に感染させないために、そして自分が感染しないためにはどんな備えが必要なのか。
大西医師にポイントを聞きました。
①「打てるワクチンは打つ」
両方ともワクチンを今打てる状況にあるので、オミクロン株のワクチン、それからインフルエンザワクチンはしっかり接種していく。
(新型コロナの)波に対抗できるのはワクチンだけなんですよ。ですから今(感染者が)どんどん伸びているので、今できるだけ多く打っていくことが、やっぱり波を抑えるのには大事なんですね。
大西医師が接種を呼びかけるのは今も猛威をふるうオミクロン株に対応したワクチンです。
このワクチンについては、接種券が届き次第すぐ、インフルエンザのワクチンについては効果を発揮するまでの期間を考慮すると、できれば11月中、遅くとも12月前半までには接種を受けてほしいとしています。
②「これまでの対策の再徹底」
今までマスクだとか手洗いとかソーシャルディスタンシングとか、それから会食への注意とか今まで出てきたことは、もう1度しっかりやっていくということだと思います。
それと、今回オミクロンではやはり空気感染的な要素が結構強いので、建物の構造を意識して換気をしっかりやりながら人と会うということが必要になると思います。
そして欠かせない基本的な感染対策。
新型コロナで実施してきた対策はインフルエンザにもしっかり効くといいます。
冬場はどうしても窓を開けることをためらってしまいますが、大西医師は定期的な換気を呼びかけます。
③「かかったときのために薬の備蓄を」
日常的に薬を備蓄することも含めて対応を考えていく必要があると思います。
(診断までに)時間がかかることもある。
そういう時にはもう早めに解熱剤を飲んで症状をとるのは非常に大事だと思いますので、そこはもうあまり診断つくまでとかじゃなくて、すぐ解熱剤を使うということも十分あることだと思いますし、推奨されます。
最後に、薬の備蓄。
新型コロナウイルスについては検査キットを自分で入手することも可能ですが、医療機関が同時流行でひっ迫してくると、インフルエンザの検査がなかなかできない事態も予想されます。
日頃から解熱剤などを準備しておくことも必要ではないかということでした。
これから年末年始、帰省やイベントなどを検討している人も多いと思います。
大西医師は感染症を恐れて行事などへの参加を取りやめる必要は、今のところは、ないと話していました。
ただ、年末年始を楽しく過ごすためにも、これまで以上に、対策は徹底しておく必要があるのは間違いないようです。