第9弾

ボッチャ × ひうらさとる

原作・ひうらさとるさんインタビュー

“ボッチャを通して、日常にあるささいな幸せの大切さを伝えたい”

「アニ×パラ」のオファーを受けたときのお気持ちは、いかかでしたか?

ひうら 自分の作品がアニメになるというのが初めてなので、うれしかったですね。自分の描いた絵が動いて、声優さんが声をあててくれることとか、どんな曲がつくのかとか、すごく楽しみです。

パラスポーツにはいろいろと種類がありますが、今回、ひうら先生がボッチャを描こうと思われた理由を教えてください。

ひうら 制作にあたっていくつかの競技を提案していただいたのですが、正直、私はボッチャのことをあまり知らなかったんです。でも、障害者の方だけではなく、健常者の方もやってらっしゃるスポーツだと聞いて、楽しそうだなと思いました。

選手の合宿に取材に行かれたと聞きました。試合の様子を見て、感じたことやテーマにしようと思ったことはありましたか?

ひうら とにかく、選手の皆さんの技術力に驚きました。素人目でぼやっと見ているだけでは、戦略がどのようになっているのかは分かりませんでした。でも、協会の方にいろいろと説明をしていただいてから見たら、面白さが全然違いましたね。「ここに来ればいいんだろうな」っていうところに、ピタッとボールを投げられることに感動しましたし、将棋みたいにお互いが先の先まで読んでプレーする頭脳戦な部分も興味深かったです。東京パラリンピックの代表に内定している廣瀬隆喜選手から、「ちょっと意地悪な方が強い」と聞いて、そこも面白いなと思いました。白いジャックボールを投げたらゲームが始まるという手軽さも魅力のひとつだと思います。
手軽なのに、そのゲーム性の面白さにすぐにハマってしまう、とても楽しいスポーツ。そんなボッチャを、一般のOLの女の子の目線から見て、何か仕事として生かせないのかと奮闘する物語にしてみようと思いました。

今回はその、廣瀬隆喜選手もアニメにも登場しますね。

ひうら 廣瀬選手は、ボッチャの第一人者の方で、もちろんこれまで大変なこともたくさん経験されてきたと思うのですが、お話を聞いていると出てくる言葉がすごい前向きなんです。そして、私にもとても丁寧に優しくいろいろと教えてくださいました。普通の女の子が訪ねてきても、同じように接してくださるんだろうなという想像できたのが、登場していただくことになった大きな理由です。

健常者である女性を主人公にしつつ競技の魅力を描くために、どのようなことに
こだわって設定を決められたのでしょうか。

ひうら まず主人公は、25、26歳の女の子に設定しました。多様性だとか、働き方改革だとか、世界は今変わっていっています。そんな中で特に30代前の女性は、やりたいことや、やらなければいけないことがあふれていて、もう毎日忙しいんですよ。しかも、まだそんなに仕事に満足できていなかったりして、心にわだかまりが残っていたりする。そういう普通の女の子がボッチャに出会うことでちょっと前向きに歩んで行けるようになるというお話を描いてみようと思いました。

競技の魅力を描くという点では、今回、私のマンガを読んでくださる方は、『ホタルノヒカリ』を知っている方が多いのかなと思ったので、部長と蛍を登場させてみました。ボッチャを見たり、知ったりするたびに、部長が好きそうだなと思って。部長がボッチャにハマって、でも実際にやってみると失敗するっていうのを、蛍が突っ込む。そういうシーンを入れることで、少しでも親しみが持てるようになっていたらうれしいです。

今回のアニメを通して、視聴者に一番伝えたいメッセージは何でしょうか。

ひうら ボッチャの楽しさ、魅力、手軽さはもちろんですが、「ちょっとしたことで前向きになれるんだよ」といことを伝えたいです。1人で悩んでいることがあっても、友達と遊んだり、新しい人に会ってみたりすると、別に悩む必要もなかったなと思うことっていっぱいあるんですよね。今回の場合は、仕事で煮詰まっている主人公の結衣が、先輩・蛍に新しい世界に連れ出してもらって、ボッチャに触れて少しずつ変わっていく姿を描くことで、日常にあるささいな幸せの大切さを伝えられたらいいなと思っています。

本日はありがとうございました。