第1弾「キャプテン翼」

高橋陽一 作 ブラインドサッカー

ブラインドサッカー選手:川村怜さんインタビュー

“ブラインドサッカーは、人間の可能性を感じられる競技”

まず、アニメをご覧になった感想をお聞かせください。

川村 面白いな、というのが率直な感想です。試合の場面はもちろんですが、日常を描いた部分もすごくリアルでした。音を聞いているだけでもイメージしやすかったですね。視覚障害者がどういう世界観をもって街を歩いているか、ということがすごく伝わってきたので、入りの部分ですごく面白いと感じましたね。

ブラインドサッカーは、実際のプレーでも結構スーパープレーが出ますよね。アニメでの表現はどう思われましたか。

川村 あの“トルネード”や“タイガー”というのは、僕も挑戦してみたいですね。一人ではできないし、選手同士の信頼関係がないと成り立たないと思うので、仲間と練習を重ねて。ブラインドサッカー界としての視点から見ても、夢のある技だなというのは感じました。

アニメを通じて、ブラインドサッカーの面白さやすごさが広く伝わったり、プレーしたいと思う人が増えたりしてほしいですね。

川村 見えない中でサッカーをプレーするということは、たぶん一般の方が想像する以上にスピード感や迫力があります。でも、伝わりづらい感覚だと思うので、アニメでプレーシーンが描かれることで、こんなにボールの動きが速いんだとか、こんなに迫力があるんだとか、選手同士の信頼関係やコミュニケーションによってプレーの幅が広がるんだとか、いろいろなことが伝わると思います。このアニメでブラインドサッカーを知って、プレーに挑戦したり、関わったりしてくれる人が増えるといいですね。

今回、OKAMOTO'Sとともに「見えないからこそ見えるものがある」というテーマで、アニメのテーマ曲や映像を作りましたが、そこで考えたことがあります。健常者は見えているものしか認識できませんが、見えていない人は360度全てを敏感に感じているのかなと。

川村 普段、健常者の人と一緒に歩いているとき、後ろから来る自転車や人、車への反応は僕の方が早いんですよ。そういう意味では360度見えているというか、気を張っているんでしょう。認識レベルが高い、とはいえると思います。

音だけでなくて、気配や空気というものを感じるのでしょうか。

川村 壁などの圧迫感は、空気の流れを感じているのかもしれません。プレー中にも、サイドフェンスに近づくと選手がよく止まるんですよね。そういうときは僕も触って確認しますけど、空間認知の感覚は鋭いのかな。でも、ほとんどの情報は耳からです。アニメでも、みんなが目で見て得た情報と僕らが耳で聞いて得た情報というのは頭の中では同じ、というような場面がありました。情報の入れ方が違うだけで、頭の中でイメージして、判断して、行動に移すという意味ではそれほど差がないんだろうなと思います。選手によって、また、その日の調子や環境にもよりますが、僕は音や気配から、敵の位置やゴールの大きさなどが見えてきますね。

2020年の東京パラリンピックに向けて、アスリートとしての目標を教えてください。

川村 パラリンピックでは、もちろん金メダルを目指して挑みたいと思っています。それにはまず、パラリンピック前に開催されるアジア選手権や世界選手権で世界のトップ4以上に勝ち上がって、いつでも金メダルを目指せる位置に立っていたいです。これまではブラジル代表が大きな壁でしたが、技術やメンタリティーといった全ての要素を高めていけば、越えられるという実感はあります。「凡事徹底」という言葉の通りに、日常の全てがサッカーにつながると捉えて行動しながら、世界に挑戦していきたいと思っています。

これからブラインドサッカーのファンになっていく人に向けて、注目してほしいところなどを教えてください。

川村 ブラインドサッカーは、人間の可能性を感じられる競技だと思っています。見えない選手たちが、音などの空間認知能力と選手同士のコミュニケーションだけでサッカーをすることは、健常者から見ると不可能だと感じるかもしれません。でも、不可能だと思ったことも工夫すればできるようになる、というメッセージが、この競技にはあるんじゃないかと。僕らが純粋にサッカーをプレーすることで、多くの人にこのメッセージが届けばと思っています。会場で観客には、プレー中は静かにしてゴールが決まったときだけ「わー!」と声を出してもらっています。会場が一体となって楽しめるというのも、観客側の魅力かな。

選手と観客とのコミュニケーションがあって成り立つ応援は、独特の面白さがありますね。

川村 「頑張れ!」って、声を出したくなるんですけどね。黙ることが一番の応援というのは、他にないんじゃないかと思います。

パラスポーツやブラインドサッカーには、これからどうなっていってほしいと思いますか。

川村 日本代表が世界で活躍する姿を多くの人に見てもらいたいですね。実は、パラスポーツはいろいろなところで試合が行われていますので、身近なスポーツとして多くの人に知ってもらえればと思います。ブラインドサッカーの会場にも来ていただいて、ぜひ魅力を感じてもらいたいですね。

本日は、ありがとうございました。