第1弾

高橋陽一 作 ブラインドサッカー

原作・高橋陽一さんインタビュー

ブラインドサッカーのいま・未来を日本障がい者サッカー連盟会長・北澤豪と語る

お二人とブラインドサッカーとの出会いについて、それぞれお聞かせください。

高橋 10年ぐらい前、ブラインドサッカーという競技自体について何となくしか知らないときに代表戦の試合を初めて観戦しました。そのとき、障害者というのは関係なく競技としてとても面白いと思いました。それからは、フットサルやビーチサッカーなどと同じ、フットボールの延長線上にある一競技として注目して見るようになりましたね。

北澤 僕は2002年ごろに、元サッカー日本代表の釜本邦茂さんのお姉さんである釜本美佐子さんから、日本でのリーグ戦の定着に協力してくれないかと言われたことがきっかけです。美佐子さんは目が見えなくなる病気で、同じ境遇にある人たちにもサッカーを楽しめるような環境をつくっていきたいとおっしゃっていました。

日本のブラインドサッカーの初期から携わっている北澤さんから見て、現在のブラインドサッカーのレベルはいかがですか。

北澤 ボールの中に埋め込まれた鈴を鳴らしてしまうと相手にバレてしまうので、今や世界各国のトップレベルは、「いかに音を鳴らさないで抜いていくか?」という段階になってきています。ドリブルも、ボールの回転数を減らしたり空中で操ったり。「いや、見えてるでしょ!」と思うプレーも多いです。日本は以前、選手が壁にぶつかっていることが多いくらいのレベルでしたが、今や横から飛んでくるパスに対して、振りかぶってダイレクトシュートを打つという、難しいプレーができる選手も出てきましたね。

高橋先生にとって、ブラインドサッカーの魅力はどういったところですか。

高橋 障害者がプレーするスポーツではあるのですが、キーパーは健常者だったり、コーラーという指示を出す人がいたりと、健常者と障害者が一緒になってプレーするところは、より感動する競技だと思います。加えて、サッカーでは珍しく、選手が音に集中できるよう、音を出して応援してはいけないことも魅力的だなと。すごく集中して観戦できるし、ゴールが決まったときには本当に「わー!」って心から叫べますからね。また、目の見えない選手がどんなことを考えながらプレーしているのかを想像するのも、試合を見る楽しみのひとつ。そして、目が見えないのにもかかわらず、激突を恐れずに激しいプレーをする選手たちの“勇気”を感じとれるところですかね。

北澤 選手たちは、音にナーバスなのは間違いないですが、音だけではなくて、近くに誰かがいることを空気で察知しながらプレーする感覚的な視野も優れていますね。チームメイトの居場所が見えないから、パスをつないで連携を高めるのは難しいと思います。しかし、それができるのは、選手同士が頭の中で同じ絵作りができているため。これは、僕らにとっても参考になります。

「キャプテン翼」をはじめ、先生の作品はどれも選手のプレーを引き上げようとされていることを感じます。今後、ブラインドサッカーにはどういうレベルまでいってもらいたいと期待されていますか。

高橋  今回のアニメの絵コンテでも描いているのですが、ブラインドサッカーで浮き球をボレーできたら、すごいだろうなって。それを実際の選手がプレーしてくれたら、「アニメと一緒になった!」と驚いてもらえると思うので。

北澤  俺が子どもの頃に『キャプテン翼』を読んだときと同じ状態ですね。「うわ、やりてー!」みたいな。これって、プレーへの想像をかきたてることですよ。

高橋  そんなふうに北澤さんが読んでいたことを知って、とてもうれしいです。想像力は大事なんです。

今回のアニメの中で、見せ場だと思うところを教えてください。

高橋 動きがある、かっこいいプレーシーンになっていると思うので、そこが見どころですね。加えて、ブラインドサッカーの見方もアニメを通して知っていただける形になると思います。競技自体を知らない人が、ブラインドサッカーを知るきっかけになることを願っています。さらに、2020年のオリンピック、パラリンピックへの興味にもつながっていければいいですね。

お二人とも、貴重なお話をありがとうございました。

北澤豪 日本障がい者サッカー連盟会長
修徳高校卒業後、本田技研工業に入社。海外へのサッカー留学・日本代表初選出を経て、読売クラブ(現 東京ヴェルディ1969)へ。1998年にはJリーグ通算200試合出場を達成。 引退後は、(公財)日本サッカー協会理事兼フットサル・ビーチサッカー委員長、(一社)日本障がい者サッカー連盟会長、JICAオフィシャルサポーター等を務め、サッカーのさらなる発展・普及に向けての活動を行っている。