記者特集

【記者特集】ホスピタルアートで心の癒やしを

完成した作品1

病院を芸術作品で彩る「ホスピタルアート」という取り組みをご存じでしょうか?秋田市の病院に専修学校の生徒たちが制作した作品が飾られました。患者だけでなく、コロナ禍で緊張を強いられる医師や看護師の心の癒やしにもつなげたいという思いが込められています。

(秋田放送局記者 毛利春香)

手術室に「癒やしの木」

完成した作品2

色鮮やかな、大きな1本の「木」。「葉」にあたる部分には、やさしい色づかいの大小さまざまな円が、寄り添うように集まっています。

この「ホスピタルアート」。秋田赤十字病院の手術室の入り口など2か所に飾られたばかりです。医療スタッフの反応もよく、「明るい気分にさせてもらえる」「フレッシュな気持ちで仕事に臨める」「来るのが楽しみになった」という声があがっていました。

患者や医療従事者に心の癒やしを

手術室雑感

作品がある手術室周辺は、白い壁で、これまで殺風景ともいえました。病院側は、手術を受ける患者の不安を少しでも取り除きたいとして、ホスピタルアートを取り入れたのです。

石井さん

ホスピタルアートを企画 石井匡人看護師
「手術室に入ってくる人は、手術に対する不安や、その後の生活の変化を心配してネガティブな気持ちを抱えている人が多くいます。少し心があたたかくなるような環境をつくりたいというのがあって、今回ホスピタルアートという形で実現を目指しました」

もう1つの理由は、新型コロナです。この2年間、医師や看護師など医療従事者は緊張を強いられています。医療現場で高まる緊張を少しでも和らげたいとしています。

地元の専修学校の生徒が制作

生徒たち

今回、ホスピタルアートを手がけたのは秋田公立美術大学附属高等学院の生徒たちです。このうち1年生の中津川京子さんは、すい臓の病気のため、小学生の時からこの病院に通っています。作品の制作を通じて病院のために役立ちたいと考えました。

中津川さん

中津川京子さん
「コロナ禍でも変わらずに親身になって接してくれて感謝しかないです。自分が通っている場所で自分も何か恩返しとかできたらいいなと思い、参加しました」。

作業の様子

中津川さんたちは、病院での長時間の作業を避けるため、事前に準備した下絵をもとに「幹」や「葉」の部分を壁に貼り付け、全体のバランスを整えていきました。中津川さんも、暗い「青」を目立たない位置に配置するなど細部にこだわり、見る人が安心感を得られるように工夫しました。

完成の瞬間

作業の途中には、通りかかった病院の医療スタッフも生徒たちと一緒に制作にあたる姿も見られました。そして、2日間にわけて行われた制作を終え、ついに完成。生徒たちの思いが込められた作品です。

制作した生徒
「手術する前は不安だと思うので、少しでも安心してほしいです。地元の学生たちで作ったので、1人じゃない、手術を頑張ろうという前向きな気持ちになってほしいです」

別の生徒
「病院の重い感じをなくしたいです。コロナ禍でみんな暗い気持ちになってしまうので、少しでも明るい気持ちになってくれればうれしいと思います」

中津川京子さん
「お世話になった医療スタッフの人たちに、私たちが作ったんだよって見てほしいです。感謝の気持ちも込められているし、癒やされてほしいという気持ちもあるので、そういう気持ちが伝わったらうれしいです」

地域の連携の新たな一歩に

記念撮影

こうして完成したホスピタルアート。手術室や集中治療室などがある病棟に描かれているため、一般公開はしていませんが、殺風景だった手術室周辺は明るい雰囲気に変わり、医療スタッフの中には立ち止まって作品を眺め、思わず笑顔になる人もいるそうです。

病院側は、地元の専修学校の生徒たちと連携したことが、地域での結びつきを強めることにもつながると考えています。

石井さん

ホスピタルアートを企画 石井匡人看護師
「コロナ禍で厳しい世の中であっても、協力することに意義を感じました。病院だけでなく同じ秋田で生活するいろんな組織をつなぐという意味でも、コロナの中、アフターコロナでの今後の新しい活動の形になるのではないかと思います」

記者紹介

毛利春香
平成30年入局
この場所で2年ほど前に手術。
今回は取材を通じて生徒たちと医療スタッフの皆さんに元気をもらいました。

▲ ページの先頭へ