【制作にあたって】
撮影は2020年9月。新型コロナウイルスの感染拡大と重なってしまい、実施するかどうか本当に難しい判断が必要でした。前例のない事態を前に、背中を押してくださったのは、ほかならぬ村の皆さん。「ぜひ撮影を!」と声をかけてくださったのです。さまざまな対策を尽くした上で本番を迎え、無事乗り切ることができました。「不要不急」が言われる中で、私たちはいろんなことを考え、議論しながらこのドラマを作りました。物語の中で主人公の早苗が見つける「信念」は、いまを生きてゆくひとつのヒントとなるはずです。
(制作統括 天野元裕)
【作】
瀬戸山美咲
〔主な作品〕
映画「アズミ・ハルコは行方不明」、「リバーズ・エッジ」など
ラジオ FMシアター「あいちゃんは幻」(第42回放送文化基金賞 脚本賞受賞)
舞台 東京グローブ座「THE NETHER」(第27回読売演劇大賞 優秀演出家賞受賞)
〔コメント〕
自分の幸せとはなんだろう。今年はそんなことをたくさん考える一年でした。社会が大きく揺れ動くとき、身近な人と自分の考えの違いもあらわになります。考えが違う相手に対して自分を押し殺して同調するか、自分を押し通して断絶するか。その二択しかないように感じて私たちは立ち止まってしまいます。でも、違うまま一緒に歩む方法もあるのではないか。その手がかりが大潟村にありました。村の皆さんに取材する中で感じたのは、土地に対する思いと、新たな社会をつくろうという思いでした。そして、その思いを農業と文化が支えていました。
完成した映像を見て、改めて大潟村の景色に圧倒されました。田んぼの美しさは人間の営みの美しさでした。そして、岸井ゆきのさんをはじめ素晴らしいキャストのみなさんが、迷いながら生きる人々を体現してくださっています。困難な時代の中、このドラマが小さな一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。
【音楽】
orbe
田辺玄とharuka nakamuraによるDUO。
田辺玄
ギタリスト、サウンドエンジニア。山梨に暮らし「Studio Camel House」を主宰。「WATER WATER CAMEL」、森ゆに・青木隼人とのトリオ「みどり」、haruka nakamuraとのユニット「orbe」として活動しつつ、映像・空間のサウンドデザインなど、音を通じて人や場と関わり制作を続けている。
haruka nakamura
音楽家・青森出身。最新作はミュート・ピアノソロアルバム「スティルライフI・II」杉本博司「江之浦測候所」のオープニング特別映像、国立新美術館「カルティエ 時の結晶」安藤忠雄「次世代へ告ぐ」などの音楽を担当。京都・清水寺成就院よりピアノ演奏をライブ配信。Nujabesをはじめ、ミロコマチコなどジャンルを越えセッションを重ねる。