シリーズ「18祭先輩たちのうしろ姿」〜あの時みんな18歳世代だった〜

藤巻壮太郎[1期生]

辛い時、いつもあの時に戻れる場所。

 18祭に参加した時、私はダンスを頑張りながら、教員を目指すひとりの高校生でした。正直、応募した最初の理由は、ONE OK ROCKと一緒に歌いたい!でした。

 練習会や本番でたくさんの18歳世代と話しているうちに、「そうか、自分と同じような悩みを持ってる人もいるんだ。」とか「自分以上に大変な思いをしてる人もいるんだ」と気づき始めました。自分の中にある不安と希望を歌に込め、思いっきりステージにぶつけたあの日は、一生忘れることのできない景色となりました。

 その後は裏方ボランティアとして、WANIMA 、RADWIMPS 、[Alexandros]の18祭のお手伝いをしました。初めて18祭に参加する人が、お互いに悩みを話したり、励まし合ったりできるよう、いろんなサポートを考えました。18祭の裏方メンバーは、超がつくほど元気いっぱいな人や愉快な人がたくさんいて、でも、一人ひとりが熱い想いを持っていました。一緒にボランティアをしていて、いつも勇気をもらっていました。ひとりぼっちに感じる時、18祭のみんなを思い出すと、自分も頑張ろうと思うことができます。

 僕は今、夢見ていた教員になることができました。小学校の教員です。コロナ禍で、頑張って掴んだ自分の夢でした。

 でも、想像以上にきついことばかりで、一年目は全く上手くいきませんでした。一生懸命に努力をしているつもりでしたが、なかなか思うようにいかず、クラスもみるみる崩れていき、1年目の終わりには周りの教員からも信頼を失うようになりました。「なんでだろう」「自分はダメだ」という気持ちで頭がいっぱいになりながら、暗い道をもがき歩いているような感覚です。

 そんな今、18祭の放送を見返すと、今までと違った見え方をすることに気付きました。将来への不安と、やりきれない思いと、それでも前に進みたいんだという気持ちでいっぱいな18歳が、心をそのまま歌にこめて、ぶつけ合う。「1人じゃないよ、あなたは、color in the dark(暗闇の中の色《ひかり》だから)」と、一つひとつの歌詞が心に滲んできて、涙が出てきました。

 きっと、自分のように辛い思いをしている同世代もいる。それでも、その人だってもがき苦しみながら、頑張って生きているんだ。そう感じました。あの日に夢見た景色とは、少し違うけれど、18祭に出た時の強い気持ちは、きっと嘘じゃないんだと、自分を奮い立たせています。

 辛い時、いつもあの時に戻れる場所。それが、僕にとっての18祭です。

 追記
 あの時、自分はダンス動画を撮った。久しぶりに、好きな景色の中でダンスを踊ってみようと思い、撮ってみました。ぎこちないけれど、なんだか懐かしく、久しぶりに楽しい気持ちになりました。仕事の合間に、また少しずつ踊ってみようと思います。