シリーズ「18祭先輩たちのうしろ姿」〜あの時みんな18歳世代だった〜

麻貴[4期生]

初対面だからこそ、弱みも見せられる

 18祭は、アーティストに会うのではなく、アーティストを通じて出会うはずじゃなかった人たちと出会えたと思っています。それは、数年経った今の18祭に関する記憶のほとんどが、「同じブロックで話した人たち」と「ステージから見える18歳世代」だというところからもそう感じます。

 当時の感想を僕の日記から引用すると、

「普段なかなか言えない悩みとか辛いこととかを素直に言いたくなったし言えたし、そういう話をしてくれたことも嬉しかった。俺がそんな話を聞いて欲しくなったのはきっと一人ひとりが夢とか悩みとかそういうのがあって、でもそれを馬鹿馬鹿しいとか思わないでしっかりと受け止めてくれるって安心感があるからだと思う。その安心感ってのは、一人ひとりが色んなことに挑戦したくて、挑戦できたりできなかったりして、悩みながら、悔やみながら、それでも一生懸命生きてるから生まれるものやと思う。だから飾らずにいられるし、嘘偽りない自分で接することが出来た。誕生日とか家族構成とか好きな物とかその人のアイデンティティを何も知らなくても信頼できるってほんまにすごいこと。詳しい自己紹介とか全部すっ飛ばして1つの音楽を作り上げただけで、こんな素晴らしいことが出来たって、音楽の力強さやパワーを改めて感じた」

 初対面だからこそ、自分のいい所を見て欲しいって思いもありました。一方で、初対面だからこそ、弱みも見せられるんだと思います。

 18祭の後、大きく2つ変わりました。

 ひとつは社会問題に対して行動を起こし始めたこと。来年から社会人になります。仕事は再生可能エネルギー関連に就くことになりました。まだ地方の小さい会社で、住んだことのない土地での新生活が始まりますが、不安よりも社会を変えられるかもしれないことにワクワクしています。

 もうひとつは、自分らしさを隠さなくなったことです。就活は、メンズスーツを着てノンメイクで行いました。「普通」に抗うと世間の風当たりの辛さはありますが、自分を偽っている方がもっと辛い。いつもできるほど強くはないけど、受け止めてくれる人と18祭で出逢えたことで変われました。

 今は、セクシュアルマイノリティが生きやすい社会と、再生可能エネルギー100%で回る社会を目指しています。自ら発信して、周囲を巻き込んでいける人になれるように。